Oldfield mouse(和名:?、学名:Peromyscus polionotus)と呼ばれるげっ歯類は、とても複雑な(巣の両端に2mもの長いトンネルを持ち、それぞれが入口と非常時の逃げ口となる)巣を作るんですが、

元ネタ先から引用。左が入口、右が逃げ口。
単純な(短いトンネルの出入り口がひとつの)巣しか作れない近縁種のdeer mouse(和名:?、学名:P. maniculatus)とのゲノム上の違いは僅かで、3-4の遺伝子領域の差に依って、行動の違いが生まれるらしい、
と云う論文が出ました。
先ず、lab内で、同じ環境に置いた時に、両者の巣が、野外で作られるのと同じ様なモノであることを確認(つまり、環境に依って、作る巣穴が変わるのではなく、どんな巣を作るのかは、遺伝的に規定されていることを確認)した後、両者を交配して(近縁種なので交配可能)、雑種を作成、更に、それをdeer mouseに戻し交配し、それぞれの雑種を使って、どんな巣穴を作るかを調べた結果、雑種第1代では、全てのmouseが、複雑な巣を作ったことから、oldfield mouse由来の遺伝的性質が優性的に現れたことを確認。ところが、戻し交配第1代では、個体に依り、様々な巣(長いトンネルだけど出入り口がひとつ、短いトンネルだけど出入り口がふたつ、などなど)を作ることから、巣穴の形状は、複数の遺伝子に依って影響されているらしい、と結論。
更に、DNAマーカーを使って、詳細に解析した結果、どうやら、トンネルの長さは、染色体の1番、2番、20番に乗っている3つの遺伝子領域に依る影響らしいことが判明。また、逃げ口を作るのは、染色体の5番に乗っている遺伝子領域(それぞれの遺伝子領域がひとつか、複数の遺伝子を含むのかは不明)の所為らしい、ことが判明。
いやぁ、素晴らしい。
生態学や動物行動学とか、マクロ系のセミナーを聞くと、いつも、只の観察結果で(それはそれだけで面白い場合もあるけれど、多くの場合)、so what? と云う感じで、これは、科学か?と内心,冷ややかに見て居たんですか、このレベルになると拍手ですね。
勿論、具体的に、遺伝子(が同定される必要が先ずあり、それ)が、どの様に行動に結び付くのか?と云うことが解明される迄の道程は遠いでしょうけど、その入口が見えて来たのは、喜ばしい。
所謂、本能と云う言葉で片付けられている動物の様々な行動が、全て遺伝子のレベルで語られるのは、まだまだ、ずーっと先のことでしょうなぁ。

元ネタ先から引用。左が入口、右が逃げ口。
単純な(短いトンネルの出入り口がひとつの)巣しか作れない近縁種のdeer mouse(和名:?、学名:P. maniculatus)とのゲノム上の違いは僅かで、3-4の遺伝子領域の差に依って、行動の違いが生まれるらしい、
と云う論文が出ました。
先ず、lab内で、同じ環境に置いた時に、両者の巣が、野外で作られるのと同じ様なモノであることを確認(つまり、環境に依って、作る巣穴が変わるのではなく、どんな巣を作るのかは、遺伝的に規定されていることを確認)した後、両者を交配して(近縁種なので交配可能)、雑種を作成、更に、それをdeer mouseに戻し交配し、それぞれの雑種を使って、どんな巣穴を作るかを調べた結果、雑種第1代では、全てのmouseが、複雑な巣を作ったことから、oldfield mouse由来の遺伝的性質が優性的に現れたことを確認。ところが、戻し交配第1代では、個体に依り、様々な巣(長いトンネルだけど出入り口がひとつ、短いトンネルだけど出入り口がふたつ、などなど)を作ることから、巣穴の形状は、複数の遺伝子に依って影響されているらしい、と結論。
更に、DNAマーカーを使って、詳細に解析した結果、どうやら、トンネルの長さは、染色体の1番、2番、20番に乗っている3つの遺伝子領域に依る影響らしいことが判明。また、逃げ口を作るのは、染色体の5番に乗っている遺伝子領域(それぞれの遺伝子領域がひとつか、複数の遺伝子を含むのかは不明)の所為らしい、ことが判明。
いやぁ、素晴らしい。
生態学や動物行動学とか、マクロ系のセミナーを聞くと、いつも、只の観察結果で(それはそれだけで面白い場合もあるけれど、多くの場合)、so what? と云う感じで、これは、科学か?と内心,冷ややかに見て居たんですか、このレベルになると拍手ですね。
勿論、具体的に、遺伝子(が同定される必要が先ずあり、それ)が、どの様に行動に結び付くのか?と云うことが解明される迄の道程は遠いでしょうけど、その入口が見えて来たのは、喜ばしい。
所謂、本能と云う言葉で片付けられている動物の様々な行動が、全て遺伝子のレベルで語られるのは、まだまだ、ずーっと先のことでしょうなぁ。
後記、註:正確を期す上で、訂正しました。