例によって、イキナリ書評。
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パスティーシュは、後出しジャンケンのような物であろう。
後出しする以上、勝たなければ意味がない訳だ。その意味で、パスティーシュを書く以上、作家は相当なプレッシャーを感ずるはずであろう。何せ、本家を凌駕して勝たなければ、意味がないから。
パスティーシュで良くあるパターンは、或る作家の文体を(時にはモチーフをも含めて)真似て、別な物語を作る場合で、ミステリィの世界では、シャーロック・ホームズが良くパスティーシュの題材になっている。
しかし、今回読んだ柳 広司の『漱石先生の事件簿 猫の巻』は、タイトルからも察せられる様に、かの名作、夏目 漱石の『我輩は猫である』を、単に文体、モチーフに留まらず、ソックリそのまま、パクってしまったのである。
面白い。柳 広司の勝ちである。
実を云えば、本家の方は、大昔に読んだので、スッカリ忘れてしまっており、本来なら、本家を読み直してから、本作について語るべきで、その意味では、後出しならぬ先走りなのであるが、仮に、本家の存在を知らず、何の潜入感もなく、本作を先に読んでから本家を読むと、本家の方がパスティーシュに思えるに違いない、と云う予感がする程、本作は見事な出来映えであり、あたかも優れた物真似に依って、真似された側の歌手が再脚光を浴びる様に、私の中では、今から本家を読み直すのが楽しみである。
以下、作者自身の言葉(「」)で、本作の内容を語ると、「漱石が『我輩は猫である』に仕掛けた謎を解き明かすために生まれたのが、本書『漱石先生の事件簿 猫の巻』で」あり、「本書では、名なしの<猫>ではなく、ひょんなことから先生の家に居候することになった探偵小説好きの少年<僕>の目を通して、六つの事件が語られます」が、その全てが本家の「作品に実際に出てくるエピソードで」あり、「天の橋立を股ぐらからのぞいてみると、また格別なおもむきが出る」のと同様に「"文豪" 夏目漱石の"名作"『我輩は猫である』を<股ぐらからのぞいてみた>のが、本作品です。」
探偵役の<僕>に依る謎解きの過程は、所謂本格ミステリィ好きな読者には、物足りなく感じるであろうが、それを云うのは野暮と云うものであり、優れたパスティーシュを純粋に愉しみ、元の作品を憶うのが正しい本書の活用法であろう。
柳 広司は、たまたまアンソロジーの中の短編を一作だけ読んだことがあるだけで、これ迄は知らなかった作家であるが、今後は眼が離せない作家の一人となった。
Sun, Feb 27
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