と云う訳で、突然書評。
ーーーーーーーーーーー
北
以下の5作品よりなる。
なぜ絵版師(えはんし)に頼まなかったのか
九枚目は多すぎる
人形はなぜ生かされるか
紅葉夢(こうようむ)
執事たちの沈黙
巻末の解説の千街 晶之(せんがい あきゆき)に依れば、タイトルは全てパロディになっているそうで、成る程、そう云われれば、私にも直ぐ判る物もある。ちょっと気になって調べてみた。
なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?
九マイルは遠すぎる
人形はなぜ殺される
紅楼夢
羊たちの沈黙
幾つかは、読んだことがあるが、未読のものもあるので、いつか時間が出来たら読んでみよう。
主人公は、葛城 冬馬(かつらぎとうま)、13歳、元号が明治と改まった月に松山で生を受けたが、未だに髷頭である。早くに父母を亡くして、徳川(とくせん)家の御世にこだわる頑固者の曾祖父に育てられた故であるが、その曾祖父も亡くなり、さて、漸く髷を落とせるか、と思ったら、遠縁のおじに「しばし待て」と止められ、その髷を結っていることが条件である奉公先を紹介され、東京大學医学部主任 エルウィン フォン ベルツ先生宅の給仕として東京へ出て来た。
各物語は、ベルツ宅へ出入りする他の外国人教師達やその他の人々と、冬馬の関わりを描き乍ら、巧に史実を取り入れて物語に深みを持たせ、医学的な見地からそれぞれの『事件』の謎が解明されて行く、と云うパターンである。各物語は、それ自身で完結しているので、その意味では、どれから読んでも良いのだが、時間軸は、上に挙げたタイトルの順通りなので、順番に読むのが正解である。『なぜ絵版師に頼まなかったのか』では、13歳の給仕であった冬馬が、『執事たちの沈黙』では22歳の医者になっており、冬馬の成長を各物語を通して追うのも見どころであるし、また、最初の話で、冬馬と出会った時は、新聞記者であった市川歌之丞が、物語が変わって冬馬が次回に会う度に、職業のみならず名前まで変わっており、最後には冬馬に(一方的に)弟子入りしてしまう、と云う過程を追うのも一興 。
タイトルの付け方の遊び心からも分る様に、一連の物語も(一見)肩の力を抜いたユーモラスな話の作り(例えば、ベルツ先生が「打ち掛け」を部屋着として着ていたり)になっており、ひとによっては、その「軽さ」を嫌うかもしれないが、どの作品も細部に渡って良く作られており、個人的には全て読み応えがあり面白く読めた。
『執事たちの沈黙』の最後は、未だ、物語が続くことを期待させるような終わり方である。『近い将来続きが読めるのを楽しみに待ちたい』と、書きたいところだが、今はもう、そう云えないのが、返す返すも残念である。
Fri, Jan 21
- 18:08 何故か、ブログのアクセス数が多い、と思ったら、きっとこの所為? RT @5goukan 「農業」をする細胞性粘菌が見つかったようです。私も見落としてしまっておりました。 落し穴|Flog http://ht.ly/3GZD1 ・・・・
- 09:49 お疲れ様でした。> 間寛平ゴール!感動の「ア~メマ」 http://bit.ly/eq7D9d
- 01:22 勘違い - Flog http://amba.to/fZWP6u #twitbackr