その昔、免疫細胞(B cell)の中で遺伝子が組み替えを起こしていることを発見して、ノーベル賞を採った利根川 進 博士が、受賞の前年に云っていたのを、この耳で直接聞いたのだが、当時、博士は記憶に興味を持ち出し始めていた頃で、脳の中で、同じ様なことが、つまり、神経細胞の中で、遺伝子の組み替えが起きて居り、それが記憶の形成に繋がっているかも、と云う様な発想を持っていたようである。
実際には、今のところ、其の様な証拠は見付かって居ないのであるが、代わりに、脳の中では、一風変わったことが起きている。実は、哺乳類のゲノムの中には、トランスポソンと云う - これまた、その昔、トウモロコシに於いて、その存在を発見した業績で、バーバラ・マックリントックがノーベル賞を貰っているのだが(因みに私の記憶に誤りがなければ、賞金で、ホンダのアコードを買った?)- 転移因子が沢山潜んでおり、中でもL1と呼ばれる因子は、ゲノムの20%近くに及ぶと云われている。で、どうやら、このL1が、神経細胞が出来上がって行く過程で、ピョンピョン飛び回ってDNA上を動き回っているらしい。つまり、場合に依っては遺伝子の中に飛び込んで、その遺伝子の働きを変えてしまうやも知れぬ。と云う訳で、例え、一卵性の双子でも、脳内の細胞一個一個を比べたら、その中のゲノム上のL1の位置が異なっており、これが、若しかすると、脳内の個々の神経細胞の特異化や機能に何か関わりがあるかも、と云うお話がある。
ここで、話は、ちょっと変わるのだが、Rett syndrome(レット症候群)と云う、進行の途中で自閉症と御診断されることもある様に、自閉症と似た症状を示す女児に多い遺伝性神経疾患の原因遺伝子であるMeCP2が、先のL1の転移を抑えていることが、最近、判った。
つまり、レット症候群の患者の脳内では、正常なひとに比べて、L1が更にピョンピョン飛び回っているらしいのだが、それが何を意味するかは、具体的には、未だ、判っていないが、其の所為で、個々の患者の症状の重篤さが変わって来る可能性もある。
と云うようなことが、MeCP2のKOマウス(レット症候群のモデル動物)や、レット症候群の患者から造ったiPS細胞を使って、最近明らかにされた、と云う話。
関連する話が、naturenews(cache)に載って居るので、興味がある方は、そちらを参照して下され。
Sun, Nov 21
- 21:24 RT @mainichijpnews: 岩隈久志:楽天に残留 アスレチックスとの交渉決裂 http://bit.ly/9ifG5a
- 19:20 @wintertreeuk それが、まだ、充電しただけで、セットアップすらしてなくて(爆)。 [in reply to wintertreeuk]
- 17:25 RT @1101complus: 先日、両親と車に乗っていたときのこと。カーラジオから聞こえてきた携帯電話の着信音に、父「おい母さん、電話だぞ」母「違いますよ、テレビの音ですよ」 ー『今日のどっちもどっち』よりー [ほぼ日手帳・日々の言葉・2010年11月22日] #te ...
- 16:02 ココ聞き乍ら、発表準備中 ☞ http://www.accuradio.com/player/slipstream/hitkast/?channel=chr
- 05:20 相変わらずの中途覚醒中、もう、3~4回目。