そんな時は、コレ。
突然書評(爆)。
"三浦しをん"と云う作家は知らなかった。たまたま、夏目漱石の本を探していて、タイトルからアンテナに引っ掛かって来た。『三四郎はそれから門を出た』である。
小説だと思って買ってみたのだが、実はエッセイ集であった(笑)。作者は、作家である以前に、三度の飯よりも読書が好きな活字中毒者であり、それ故に必然的に本(漫画を含む)に関するエッセイを依頼されることが多く、それ等をまとめたのが本書である。六章からなり、一章から四章迄のそれぞれの章は、或る企画の元に連載されたエッセイの中から編まれており、一から三章は本に関わる、四章は「カルチャー」に関するエッセイ。例えば、 二章は、朝日新聞の「中高生のためのブックサーフィン」欄で2年半に渡って連載されたものである。因に、本書のタイトルは、この二章の第四回のエッセイに其の由来が述べられているが、云わずもがなであるが、夏目漱石の代表作品名の羅列である。五章は、単発の(本以外の)エッセイをまとめたもの、六章は、単発の書評をまとめたものとなっている。
他のひとはどうか知らないが、私は本棚をひとに見られるのは気恥ずかしい。ソコに並んで居る本、つまりは、私が興味を持って読んだ本(の内容)から逆に自分の頭の中を、心の中を見透かされる様な気がするからである。その意味で、本書は、作者が読んだ本を並べた本棚と同等のものであり、三浦しをんの頭の中、心のうちを無防備にも曝け出している、と云えなくもない。そして、そこから垣間見える人物像から、ちょっと、三浦しをんと云う人物に興味が湧いて来たところである。一編が短いので、私は、寝本として、眠くなったら区切りの良いところで読むのをヤメて、眠りに就くのに便利であった。文章は、読み易く、味があり、こう云う文章を操って、この『三浦しをんと云う人物 』が、どう云う小説を書くのか、今度は、この作家の小説を是非読んでみたいものだ。
本書に取り上げられている本は実に雑多である。作者の活字中毒ぶりが良く反映されている。中には、幾つか私も読んだことがある本も含まれているが、本書に依って初めて知った作家や、興味を惹かれた本が幾つもあり、今後、それ等も読んでみたくなった。
と、色んな意味で興味深いエッセイ集である。