治験薬 | Flog

Flog

Frogの研究者の息抜きblog

--- since 01-06-07 ---

ちょっと実験が長引いたので、テニスに行けず。週末に運動せねば。


例によって、話は、脈絡なく、黄斑変性症と云う恐い眼の病気があります。

詳しくは、こちらcache )。

「萎縮型」(dry form)と 「滲出型」(wet form)があります。

ちょっと前に、ためしてガッテン でも観ました(cache )。

下手すると失明します。


網膜中の毛細血管が何らかの障害で機能しなくなると、それを補う為に血管新生 が起きます。この新生(された)血管が、実は、滲出型黄斑変性症の原因でもある諸刃の刃。

ん?諸刃の刃?

書いてから、気付きましたが、諸刃の刃って、馬から落馬の類?

で、気になって調べたら、間違いでもなさそうcache )。


閑話休題。


新生血管から黄斑変性症に至る経過は、ココに 簡単な説明があります(cache )。

治療法 としては、例えば、レーザーでこの新生血管を焼き固めたり、外科的に新生血管を除去したり、と云うような方法が採られるようですが、未だ、確立した治療方法はないそうで(cache )。

と、ここまでは前振りでした。


さぁてぇ、っと。

全然知りませんでしたが、驚いたことに、滲出型黄斑変性症の遺伝子治療(厳密には遺伝子治療ではないかもしれませんが、私見ですが、広義の意味では、そう云って良いと思います)の臨床試験が、もう数年にも渡って成されているようですね。それに対する警告がnaturenewsに出ていました。


Experimental RNA drug may cause blindness cache
試験的RNA薬は失明を引き起こすかも


siRNAと云う低分子のRNAがあります。コイツは、自分と相補性を持ったmRNAと結合して、その結果、(複雑なプロセスを経て、)そのmRNAを分解させることが出来ます。

治療では、血管新生を促進する作用を持った増殖因子である血管内皮増殖因子(Vascular Endthelial Growth Factor、VEGF)のmRNAを標的にしたsiRNAを患者の眼に注入してVEGFのmRNAを壊してVEGFの産生を抑え、結果、血管新生を抑えることで、黄斑変性症を直そうと云うことらしい。

実際に、siRNAでVEGFの発現が抑えられるようだが、どうやら、本来、特異的なはずのsiRNAが、実際は、VEGFを標的にしないはずのsiRNAでもVEGFの発現が抑えられることが分かって来て、更に、何を標的にしたsiRNAであろうと、眼に注入されたsiRNAは、非特異的に、TLR3(toll-like receptor 3 )を活性化し、個人差で見られるTLR3の変異に依っては、それが、今度は(血管新生に依らない)萎縮型黄斑変性症を引き起こす可能性があるよ、と云う研究成果が発表されたらしい。

つまり、滲出型黄斑変性症が直ったと思ったら、今度は、萎縮型黄斑変性症になっちゃったぁ、てなことが起き得るかも、だから、この治療法は、ちょっと待ったぁ、の方が良いかもね、と云う話。

臨床試験をしている製薬会社(複数社)は、真っ向からこの論文を否定し、副作用は見られないと云っているらしいけど、そもそも、siRNAが特異的じゃない可能性が出て来た時点で、危ないなぁ。

そんな臨床試験は、受けたくないですぅ。


ぁ"~あ"、ぇ"~え"、全然、専門外なので、間違っていたら教えて下さい。

今日の世の中: 松山千春が本格的にステージ復帰写真つき記事;北京五輪商戦、期待外れ 経済効果「ロス以降最低」;共和党副大統領候補は44歳女性知事ペイリン氏;ベルギーで放射能漏れ 国立研究所の周辺;衆院「1月解散」説が強まる、定額減税法案後に;俳優・柳楽優弥さんが薬物中毒症状、病院へ運ばれる;宇宙ステーション内のパソコンにウイルス侵入…運用に危険なし;伊藤さん、無言の帰国へ…左足貫通銃創での出血性ショック死か;グルジア、ロシアとの外交関係断絶へ;大分教員汚職:教諭21人の採用取り消し 不合格者救済も

今日の瞬間最低体脂肪率: 23%
今日の万歩計: n/a
(5,771