はじめに
もともと、必要実績と抽優の二つの要素があるシルクの票読みは重要度が高いです。
そして、さらに今年度から10頭制限が行われるようになったことで、シルクの票読みはより重要性を増しました。
そこで、今回は、私が普段どのように票読みをしているのか、その全過程を余すことなく解説しようと思います。
超超超マニアックな記事なので、多くの人には刺さらない記事だと思いますが、票読みしている人にはめちゃくちゃ刺さる記事だと思うので、興味のある方は最後まで読んでいただけると嬉しいです。
これを読めばあなたも明日から票読みマスターです!
票読みの工程
票読みの工程は大きく分けて
①抽優票、一般票数の順位読み
②順位を元にした抽選確率読み
③最終中間発表後、急伸馬を発見して補正
④必要実績読み
の4つに分けられます。
④は、②あるいは③が終了した後に行うのが通常であり、若干特殊なので、別記事でまとめて解説します。
①順位読み
①抽優票、一般票読みは、参考にできる資料は以下の5つです。
・netkeibaの検討数
・一口馬主DBの検討数
・シルクHPの検討リスト数
・動画再生回数
・中間発表の結果
この中で最も重視すべきは中間発表の結果です。
しかし、募集期間が始まってから中間発表が始まるまでの期間は、他の資料に頼らざるをえませんし、中間発表で発表されるのは250口を越えた馬のみなので、中間発表でわかるのは一部の馬の現在地のみです。
そこで
・netkeibaの検討数
・一口馬主DBの検討数
・シルクHPの検討リスト数
・動画再生回数
の4つの資料の正確性を把握する必要があります。
この4つの資料の正確性を図る上で、重要なツールが相関係数です。
相関係数とは、二つの数字群がどの程度の相関関係を持っているか示す係数であり、1あるいは-1に近づけば近づくほど相関が高く、エクセルで=CORREL(数列,数列)で求めることができます。
今回の最終順位との相関係数が抜けて高いのがシルクHPの検討リスト数でした。(相関係数0.900)
netkeibaと一口馬主DBのデータ数は、おおよその人気順を把握するのに役に立ちますが、シルク会員以外の人も自由に利用できますし、POGに利用されることもあるので、実際のシルク会員の動きを正確に反映していません。(参考までに、一口馬主DBの順位と最終順位の相関係数は0.727でした)
動画再生回数は、募集番号の若い馬の方が再生回数が多くなる傾向にあり、また、とりあえず有名な馬だし動画見ておくかという人もいるので、これまたシルク会員の動きを正確に反映しているとはいえません。
ということで、
シルクの検討リスト数が解放されるまで(動画・測尺発表前)はnetkeibaと一口馬主DBの平均順位
シルクの検討リスト数が解放されてから中間発表まで シルク検討リスト数
中間発表後 発表があった馬は中間発表、発表がない馬はシルク検討リスト数
とするのがよさそうです。
②抽選確率読み
抽選確率の予測は、まずは昨年度までの抽選確率がどのように推移していったのかがベースの読みとなります。
そして、ここ6年間の一般確率及び抽優確率は次の表のとおりです。
なお、抽優票のうち、一部は実績枠での当選となります。
過去の最終結果を見てみると、抽優票210票以下の場合は概ね一般でも可能性があったので(ほんのわずかですが)、抽優票のうち実績枠にまわるのは、少なくとも5%はあるものと思われます。
そこで、抽優票のうち、5%は実績枠での当選となるということを前提に、抽選確率を計算しています。
一応念のため計算式を置いておきます。
抽優確率 200/(抽優票*0.95)
一般確率 (200-抽優票*0.95)/(総票数-300-抽優票*0.95)
新規制限が加わるようになったため、基本的に来年度もこの確率で据え置きで問題ないかと思います。
なお、これまでは中間発表の票を元にある一定の係数を掛けて最終票を予測して、抽選確率を出すということをしていたのですが、今年は新制度ということもあり、中間票に係数をいくつ掛ければいいのか予測することが困難だったので、今年はやっていません。
しかし、来年度からは、今年度の最終中間発表と最終票を元に票読みができるので、来年からは中間票の票数を参考にさらに抽選確率を計算していくことになります。
その方法についてもここで触れておきます。
次に示す票が、第1回中間発表~第3回中間発表、最終結果の票数の動きを示した表です。
なお、票数予測の話をする関係上、最終票ではなく、第3回中間発表の抽優票でソートしてあります。
今回は、第三回中間発表から最終結果を予測する方法について解説するので、上の表のうち、関係のある部分だけを切り出します。その表が次の表です。
さて、この表を見ると、一般票の伸び率が順位によって大きく異なるのが分かります。そこで、一般票と抽優票の伸び率をたしかめるために、最終票/第三回中間発表票を計算してみます。
その表が次のとおりです。
この表を見ると、上位の表はおおむね2倍程度の伸び率なのに対して、下位は約3倍程度の伸びがあります。
これをもう少し滑らかな数字にするために、上下5頭ずつのアベレージを取った平均伸び率を出します。(例えば、10位の馬であれば、5位~15位の伸び率の平均を取る)
それが下の表です。
かなり滑らかな数字になりました。
来年度は、この平均伸び率を最終中間票の順位ごとに掛けて計算してやれば、概ねの最終票が見えてきて、より正確な予測をすることができます。
例えば、最終中間票が第5位で抽優票が500票だった場合は、第5位の平均抽優票伸率である1.88を掛けて940票だと予測できるわけです。
以上が、一般確率と抽優確率の票読みとなります。
と言いたいところですが、まだあります。
次は、急伸馬の発見です。これは、今回の結果を分析しているときに思いついた方法で、今年度の最終予想には反映させていない方法です。
ここからはさらにマニアックな話になります。
③急伸馬の発見と補正
毎年、最終中間発表を終えた後、票をぐんと伸ばす馬がいます。
しかし、最終中間票と最終順位の相関は、0.95越えと極めて高く、ここに変な数字を加えると、瞬く間に相関係数が下がってしまいますし、票をぐんと伸ばす馬は感覚的にはわかっても、それを明確な画一的基準の下、抽選確率予測に組み込むのは非常に困難な作業です。
しかし、今回、その方法を一つ思いついたのでシェアしたいと思います。
その方法とは、検討リスト数の最終中間発表前と最終中間発表後の伸び率を確認する方法です。
なお、検討リスト数の推移についてはツイッターで相互フォローしている
にデータをいただきました。ありがとうございました。
以下に示す表が、いただいたデータを元に作成した検討リストの推移の表です。
このうち、最終中間発表が発表される前の8/2の検討数と8/4の検討数を比較すると、馬によっては減っている馬もいれば、大きく増えている馬もいることが分かります。
この最終中間発表前後の伸び率が高い馬が急伸馬になっているのではないかと仮説を立て、検証してみましょう。
まずは、8/2と8/4Bの検討数だけを抽出した表を作って、伸び率を見てみましょう。
急伸馬の代表格、プリモシーンとギエムを見てみると、107%と111%と確かに伸びているのですが、下の方の順位の馬を見ると、110%はざらにいるので、検討伸率をそのまま順位に反映させてしまうのは危なそうです。(ちなみに、率ではなく数の伸びで考えても同様に難しいという結論でした)
表を見ていると気づくのは、上位の馬ほど伸率が低く、下位の馬ほど伸率が高いことが分かります。
これは当たり前といえば当たり前で、最後に検討するのはまだ買える可能性のある、自分の実績以下の馬であることが多いため、上位の馬は検討リストに終盤で加わるということが少ないのです。
翻ってプリモシーンとギエムを見てみると、上位の馬の中では際立って伸率が高いことが分かります。
そこで、検討数伸率の上下5頭ずつの平均を取って、そこからの傑出度を調べれば、急伸馬を発見できるのではないかと考えました。
上の表を中間票の順位にソートして、上下5頭ずつの平均伸率、個別伸率/平均伸率(傑出度)を計算したのが次の表です。
例外はもちろんありますが、傑出度が高い馬ほど順位が上がりやすく、傑出度が低い馬の方が順位が下がりがちというのがよくわかります。
あとは、この傑出度をどのように順位に反映させるかについてですが、ここは色々あると思いますが、単純に順位UP率で考えるのが楽でよさそうです。
⇒8/20追記。順位UP率ではなく、中間票からの伸率の比較を行って補正する方法に変更しました。詳しくは本文末尾にて。
ここは、よく順位up率を計算するのに使っている式
(予想順位+20)/(結果順位+20)
で順位up率を計算します。
念のため、なんでこんな計算方法を使うのかについて、補足して説明しておきます。
単純に順位の差を出すと、下位の馬は少し跳ねただけで、大きく順位が上がるので、上位の馬が指数上不利になります。一方、順位同士の比率を出すと、上位は一つ順位が上がっただけで、比率が大きく変わるので(例えば3位が2位になるだけで66%になる)、指数上、下位が不利になりすぎます。
そこで、マイルドにするために順位に20ずつ足したうえで比率計算をして順位up率を出すのが最も実態を反映したものになるとの考えから、上記のような計算式を使っています。
では、順位up率を表に加えたうえで、傑出度でソートして考えてみましょう。
これを見ても改めて分かるように、傑出度上位は順位up指数が高く、下位は低いことが明らかです。
しかし、このままだと個別の数字の影響力が強くなりすぎるので、傑出度ごとの上下5頭ずつの平均値を出して、数字をマイルドにします。
それが次の表です。
順位傑出度平均をソートして、上から大きい順に並べた数字を来年度の急伸馬の補正値として利用すればさらに精度の高い順位予想になりそうです。
最後に、本当に相関が上がるのか、今年度のケースでこの補正値を利用して補正した場合を見てみましょう。
相関係数は、補正前が0.957、補正後が0.964。
わずかですが、さらに精度が上昇しています。
高い相関係数をさらに上げることに成功しました。
以上、抽選確率の票読みでした。
長い記事ここまで読んでいただきありがとうございます。
ここまでまともに読んだ人は相当マニアックな方だと思います笑
次の記事では、正確に読むことが非常に難しい必要実績読みについて解説します。
追記 順位up指数⇒中間票からの伸率
必要実績の予測をする関係で、中間票から最終票をより高い精度で求める必要が生じたので、ここで、急伸馬も踏まえた中間票からの最終票予測について追記します。
傑出度を出すまでは、同じですので、そこまでは前提として話を進めます。
では、傑出度ごとに票数の伸び率にはどの程度の影響があるのでしょうか。それを示したのが次の表です。
なお、票数は上位であればあるほど伸びにくいということや、平均伸率の計算方法については中間票からの最終票予測について述べたところで解説していますのでそちらを参照してください。
伸率低下度とは、当該馬の票数付近の馬の平均伸率との比較で、どの程度伸率が伸び悩んだのかを示す指標であり、個別の伸率を平均伸率で割って計算しています。
平均伸率低下は、数字をマイルドにするために傑出度でソートした上下5頭の馬の伸率低下度の平均であり、表に示しているのはそれらの数字を昇順にソートしたものになります。
この補正値を利用して中間票から最終予測票を計算すると、次の表のとおりとなります。
最終票は、最終中間票に平均伸率、平均伸率低下度を掛けて求めます。
最終予測票を抽選確率に直すと次のようになります。