企画書を書く前に・・・ | 出版プロデューサーですもの

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本にかかわることを中心にコンテンツビジネス全般で活動中。
そんな私の日常を記録します。

このブログのアクセス解析をみると、どうも「出版 企画書」で飛んできてくださった方が多いみたいなのです。ごめんなさい、役に立たないエントリーばっかりで。

ちょっと反省して、企画書をこさえることについてちょっと考えたいと思います。
ただし、ここに書くことは、あくまでも私見です。ご参考程度に。

出版をしたい、本を出したいと思っている人は本当に多いです。
そういう方の多くは、自分の持っている知識や経験などを世に問いたいとか、役立てたいという思いを持った方だと思います。

だから、書きたいこと、伝えたいことがある。

これはとても大事なことです。

でもそれだけでは、自費ならともかく商業出版では難しいと思います。

出版は、ビジネスですから、相手の「得」も考えなくてはなりません。

相手とは、出版社であり、読者のことです。

あなたの書きたいことは、消費者の欲しているものでしょうか?
それは書きたいものがあるのと同じくらいの重要なことです。どうもこの視点を忘れがちな人が多いような気がします。
「いいものなんだから、読んでくれる人はいるに決まっている」ではなくて、きちんと読者を想定して書かなくてはならないのです。

読んでほしい人の顔がたった一人でも具体的にうかびますか?
企画書のターゲットの項には、「都市部に住む、20代~30代の働く女性」などと、書くことになります。しかし、実際企画を考えるときにはもっと具体的に、実在の人物を読者と想定して考えるとよいヒントが得られるような気がします。
「一緒に働いている派遣の●●さんに伝えたい」とか、「いつもサービスを使ってくれているお客様の▲▲さんに読んでほしい」とかイメージしてみましょう。
そうすることで、独りよがりな企画から脱することができると思います。

それから出版社の得も重要です。
やはり本をつくることのリスクを取るのは出版社です。そのことを考えれば、出版社の企画会議をパスすることは難しいのは当然のことでしょう。

とはいえ、出版社が良質な企画を求めていることは確かです。
扉は閉じているわけではありません。

当たり前すぎることを偉そうに述べてきました。
そんなことわかっていますと言われてしまいそうですが、自戒も込めて書いてみました。

でも書籍という商品の怖いところで、ふだんのお仕事では、自分の商品をちゃんとマーケティングをして客観視できる人も、こと自分の企画や原稿になると自分は出版の素人だからわからない、プロじゃないから判断できないとおっしゃる人が多いのです。
自意識過剰になってしまうのもわかりますが、それができてプロの著者だと思います。
(商業出版したら、そのときからプロになるですからね!)

勝間和代さんや山田真哉さんなど成功している著者さんは、その基本が徹底的にできているように感じます。

どうでしょう、企画書を書く前に、自分の企画はどう世の中に役立つのか、著者としての自分はどれくらいの市場価値を持っているか、そういったことを自分を徹底的に突き放してみることはできますか?

最終的な問いは、「自分が消費者なら、その本を買うために書店に出かけ、1500円の金を出すか?」です。

これに、客観的根拠を伴って「YES」と言えるならば企画書作成に着手しましょう。
自信がなければ、もっと企画を練る必要があるでしょう。