ほぼ日刊イトイ新聞の本 糸井重里著
毎日拝見している「ほぼ日」の誕生と成長を綴った、
本人曰く「早すぎる社史」。
大学3年の時にその存在を知り、
以来「ほぼ」毎日欠かさずチェックし続け、
日々の思考や、文体、人生哲学にまで影響を受けたと言っても
過言ではありませぬ。
何がそこまで自分を惹きつけるのかを知りたくて本書を手に取った次第。
いやー、これが実に面白い。
とにかく糸井さんは
「しつこいぐらいに考える」
というのが魅力のポイントだと思っています。
そして、アウトプットはあくまでさりげない。
押し付けがましくはないものの、読者はその影響を確実に受ける。
50歳になったおっさんが、
何を感じ何を考えていたかが克明に記されており、
とてもタメになります。
一番印象的だったのが、
売れっ子コピーライターとしての地位を確保しながら、
時代の流行と広告業界の周辺事情を鑑みてある種の危機感を抱いていた
というくだり。
クリエイターは若い頃にちやほやされても、
年齢が加わると既得権をかさにして威張るか、
管理職的なポジションにつくかなどして、
いずれにしても自らのクリエイティブを発揮する機会に乏しくなってしまう。
周囲からの依頼がそのような固定化した
面白みのないものになってしまうのだと言う。
なるほど、これは考えても見なかったが
(キャリアもスタートさせてすらない青二才だから当然だけれども)、
たしかにありうる。
これは想像するだけでも恐ろしいことだ、と僕には思える。
そこで糸井氏が取ったのは、
「自らの裁量でクリエイティブすることができるメディアを自分自身の手で持つ」
という戦略だった。
50歳にして、ワクワクできるものを作り出すことにしたのだ。
うらやましい。
と、言うのは簡単だが、
これは日頃から徹底的に考えていなければ出てこないソリューションだと思う。
不断なる現状観察と、自身の感情の徹底的な尊重なくしては、
このような飛躍は望みがたい。
おかげで糸井氏は未だにメディアの世界で影響力があるし
(それはほぼ日以前とは異なる力である)
とっても魅力的な大人として若者の目に映る。
ある種の危機感を抱いていたとはいえ、
彼は一貫して楽しむことに注力している。
それが本文中どの文面からも伺えるのが心地よい。
「ほぼ日」の冒険を、ワクワクしながら堪能させていただいた。
いやー仕事って楽しみ方によっては面白そうだな。
cozy