「スタンドアップ」 シャーリーズセロン


映画を観て泣いたのは久しぶり。
こういう題材って過剰で陳腐な演出になりがちだけど、
上手くテンションを抑制して力強い作品に仕上がっている。

それは北部の雪景色と炭坑の荒涼感が大きな役割を果たしているからなのだろう。


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「バガボンド」30巻 井上雄彦


28巻あたりからのバガボンドにおける思索には、
目を見張るものがある。

強さについて、
美について、
宗教について、
運命について、
自由について
の命題と逡巡に満ちている。

殊に30巻における会話の応酬は、
重奏的な一冊の詩集を読み解くような響きを帯びていた。

小川家直の諦観と悲哀は、
宮本武蔵の袋小路と相まって深く胸に突き刺さる。


しかし彼らは一歩前へ踏み出した。
武者震いが全身を駆け抜けた。

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「希望の国のエクソダス」村上龍著


高校時代に読んで、あまりの衝撃に心打たれて
世界観がガラリと変わってしまった思い出深い作品です。

「この国にはなんでもあるが、希望だけがない」

という、本作品を貫く主要テーマをズバリ一言で切り取り、
金融、経済、政治、マスコミ、教育と
日本を取り巻く病巣を次々と看破していく。
のうのうと日常を送っている僕にとっては、
改めて日本を検分する絶好の機会都なる。


4年前の読後感との差異は、
共感対象の軸が微妙にズレた所に表れた。
ポンちゃん率いる中学生ネットワークASUNAROに対して、
高校時代の僕は激しく共感し、
彼らの規範とビジョンを
そのまま自分自身のそれらと重ね合わせることで
成長していこうとしていた。
「愛と幻想のファシズム」の影響も入り混じって、
相当危険な思想を持つ高校生だったに違いない。

しかし、今では多様な経験と出会いを経て、
淘汰の対象となっている
既得権益層や大人たちに対する
共感と同情の念も抱くようになっていたのである。

これを成長と呼ぶべきか、妥協の蓄積による産物と呼ぶべきか。

しかしながら共感対象の移動はあるにしても、
この作品で繰り返し述べられている
日本の閉鎖的状況に対する危機感は未だに深刻なものであるし、
むしろその傾向に拍車をかけているのではないかと思われる。

中学生の反乱を材料とせずとも
常に現状認識を本質的なレベルで刷新し、
なんとか「自立して」サバイブしていく方法を確立していかなければならない。


言うのは簡単だが、
不断なるクールで現実的な努力が必要とされる難しい道のりである。

だが、今やらなければならないことだけははっきりしている。
とにかくやってやる。
もう手遅れかもしれないけれど。


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