富士登山の続きです。
朝5時にご飯であることを告げられ、6時に食事をして6時半に出立。
荷物は宿が預かってくれるというので、身軽に登るも、本日は雨。しとしと降る様子も8合目までは本降り、登頂できるかどうかは脚力よりも、防水、防寒の装備勝負となった。
歩幅分くらいをゆっくり歩く。平地の2倍くらいのペースで、負担感はそれほどない。ただ淡々と前に進む。
9合目からの1.2キロが雨も相まって1番ハードだった。後方から「空気が薄い」という声が聞こえたが、自分ではあまりよく分からなかった。というか、高度のせいで体調が悪いというのも特になかったのは、数日前の海外旅行の飛行機で空気圧の変化になれていたからではないかと思うのだがどうだろう。
9時前に着いたものの山頂はどしゃぶり、しとどに濡れた全身雨合羽で転がり込んだ神社で祈る。水たまりができる豪雨が止むのかと神官に尋ねると「雷雨になることもある」という。お鉢巡りの道を見やるも、霧と雲で一寸先も見えやしない。外国人が山頂の飲食店で温かいものをとるのを尻目に早々に下山を決意した。
下りる砂走りに足がもつれる。やはり3時間弱登ったあとに、今度は下りる足遣いに慣れない。ようよう7合目の宿に辿りつくも、それからまた昨日上った分の5時間を下りると思うと途方もなく、宿に延泊を申し出た。時間は10時。あまりある時間は適当に潰してくださいと言われたところで青空が顔を覗かせる。
時間を持て余すかと思いきや、濡れた衣類をストーブで乾かすうちに時間は過ぎゆく。晴れても周囲を散策する気にもならず、室内で本ブログを書いて過ごす。図らずも山小屋の1日を横目でつぶさに見せてもらう。人は山登りのために訪れて通過していく。かたや、山小屋の人にはそれが暮らしなんだな。
一泊で駆け足で通り過ぎていく人のために登る環境を整える山の人たちはブルドーザーで山頂まで登る道まで持っている。彼らのおかげで道は清潔だし、トイレも臭くない。巡回が行き届き、案内が十分になされている。いつどのように富士山がエンタメとしての登山の設備を整えたのか(だから軽装登山や弾丸登山を試みる者がいる)、みんなの富士山になったのか、興味が湧いた。
明日、下山する。家に帰って疲れを癒やしてもよかったのかもしれないが(下山は1時間でできると言う人がいるのだ!)、あっという間に過ぎ去る思い出にしてしまうのはあまりにも惜しい。
というか、宿の人は、電話での問い合わせには「満室です」というが、「3人お願いできませんか」というチョクで来る人には場所があくこと、天候不良のときはキャンセル料をとらないことなどを覚えた(言ったら、今日は自分も予約なしでお願いした計算だ)。
時間は16時。予約客がわさわさ現れてきた。昨日の私のように、なにも知らずに。
ではまた明日。元気に下山できることを期待しててください。