旅程がすべて那覇市内、ほぼ3時間おきに移動となったので、本日は小回りのきくレンタサイクルを使うことにしました。ゲストハウスで1時間100円の時間貸しです。実際、自分は通勤にも自転車を使っているので多少の坂道があっても車よりずっと気が楽。


自転車のメリット1

走っても止めてもスペースを取らない。車が長蛇の列でも自転車は脇をすり抜けて渋滞に巻き込まれない。細い道、裏道自由自在。駐輪場も、路駐をたびたび見かけたからあまり厳しくないらしい。もっとも坂の街なので絶対数が少ない。


というメリットが裏目に出た首里城見学から今日の話を始めます。


今回はリュックで行かなかったので前かごのあるガチのママチャリをレンタル。25インチくらいかな、やけに小さい感がするけどサドルをマックスに上げて Googleマップをナビ代わりに go !


道は国際通りを牧志駅のほうに向かって右に折れて道なりに。朝の国際通りは朝8時というのにオープンしている店がけっこうあり、途中で自転車半日ツアーを開催しているレンタサイクル屋を発見。パンフだけもらっておこうとお店の人にお願いすると中国語の日程表をくれました。思い返すと、街で見かけた自転車の観光客はみな中国人ばかり。そりゃ坂道ばかりと知っている日本人は乗らないのが道理。


道に迷うとタイムロスしてスケジュールをこなせないから、Google に示された道を実直に進む。道なり、2個目の信号を右、また道なり。そして「首里金城町石畳道」の前に導かれる。


見上げてごらん石畳の道を(呆然)。


首里城に詳しくない人のために補足を。この石畳は、日本の道100選として名高い道なのですが、なんと「坂道」!だったのです。内地だったら階段にしたような勾配の。


斎場御嶽でも思ったのですが、沖縄は階段にするべき勾配が石畳になってます。濡れると滑って歩きにくかったんじゃないかなと思うのですが、なぜ?牛馬で登るような習慣があったのかな、とにかく沖縄は「坂」でできてます。


この道をママチャリで登るのか!!もう、押して歩く、というより、押し上げる、に近い。歩きでもたいへんなのに、こんなお荷物携えて。財産持つってだからイヤなのよ。身ひとつならばこんな苦労はあるまいに。ええい、与えられる恩恵に一点集中、黙って負の部分も引き受ける女の心意気!!


自動二輪が下りてくる。バイクはこの坂を上るのか。とすると、この石畳に二輪はありなんだな。諦めてうしうしと押して上る汗が流れてくる。たいした運動だよ、今晩は足腰の筋肉痛を心配していたけれど、実は上半身を鍛える日に成り果てにけりな、徒に!我が身世に古る眺めせし間に!(意味不明)


坂道はいったん、国の重要記念物 中村屋住宅の前で左右の道と交差する。男性一人の旅行者が住宅のフォトを撮っているのでわたしも価値を知らぬまま、念のためパシャパシャする。付かず離れずで同じ道を行くことになり、なんとなく言葉を交わす。「たいへんですね」「Googleマップが!この道行けって!言ったんで!」なんとなくほぼ同じペースで上るうちに、坂道はなんと「階段」に進化した!


見上げる先はすうっと雲に吸い込まれる高さに(盛りすぎ)、伸るか反るか、進むか引くか、人生は二択を迫るときがある。ていうか、ぜったい引けないときがある。泣くかと思ったそのときに、絶妙なタイミングで天から神が降りる。「あの、持ちましょうか」お兄さーん(涙目)!!「ありがとうございます!!!」


ひょいーと車体を担ぎ上げてくれたその男性の勇姿は!白馬を自宅においてきて徒歩で石畳のぼってる王子さま!「きっと!こんな親切な人には神様が宝くじを当ててくれるはずですから買いに行ってくださいね!!」


さすがに下で見たバイクのお兄ちゃんがこの階段を上ったとはとても思えない。ということは、先刻の中村屋が岐点だったのか?この道はやっぱり、二輪の人も使う道じゃないのだ。ということは!はたと気がついて取り出すGoogleマップは「徒歩」の道順で経路検索されている。


上りきった坂の上を緩やかに上るバス道が走っていた。まーよい方に考えて、「車」の道順では通りえなかった日本の道100選が体験できてラッキー!!ってことにしとこう!!


4年前に燃えちゃった首里城ツアーは9時15分のボランティアガイドに参加、自分も入れて6人の行軍でした。「琉球王国の三方外交は沖縄の『おもてなし』の原点になっています」。そうか、あの道もかつて首里城を訪れる人のために作った「おもてなし」の道だったのか!!当時の人の素直にはもてなせない複雑な気持ちがいっぱつで伝わったよ!!


レンタサイクルの話に戻しますね。1時間半のツアーを終え、帰る段になれば、自転車は他の交通手段で来た誰もを追い抜く気持ちのよい下り坂、ものの15分もかからず国際通りを越えた向こうにある次の目的地に着くことができました。


というわけで、そろそろ自転車のデメリットをまとめて今日のブログを終えましょう。「石畳の上り坂」「道迷い」いえいえ、そんなのデメリットのうちに入りません。そのあと、また別の出先に向かおうとしたところで雲行きがあやしくなって雨宿り、すんでのところでずぶ濡れ、坂道ではめげずにやりきったけれど今度こそ諦めて自転車をそこに放置してあとで徒歩で取りに来ることになるかとヒヤヒヤしました。


たまたま宿まで5分程度の距離だったので、晴れ間を見ていったん戻り、午後は凝りて自転車は返却、電車移動に切り替えましたとさ。自転車旅行を考えている人はくれぐれも「沖縄は突然雨が降る」のを考えにお留め置きください。


では、また明日!


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本日のおまけ

NHK「ドキュメント72 hours」


2019年は建設ラッシュだったことが分かります。その余波で自動車学校は混雑をきわめ、キャンセル待ちの人がたくさんいたようです。近ごろは若者の運転免許離れも耳にしますが、沖縄ではさまざま理由であったほうがいいものでした。むべなるかな。