これまでの経緯から、自分は「生徒が賢くなる授業」にもっとも興味があるように思われてきた。
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この令和の、新しい学習指導要領が施行された2022年にあっても、少なくとも自分が接する大部分の生徒は「受験に合格することが先決であり、そのためには知識のインプットに多くの時間が割かれるべきで、アウトプットに要する時間と手間は効率的ではない」と考える傾向にある。そのため、「思考力を要する問題(自分の意見を述べる問題)」に積極的に取り組む姿勢が見られず、多くの場合、教員が解答を示すのを待つ。中堅私大の入試問題に「思考力を要する問題(自分の意見を述べる問題)」が出題されないため、指導する教員も「思考力を要する問題(自分の意見を述べる問題)」に対して懐疑的であり、定期考査においても採点の効率化を優先し、複数の表現が考えられる英作文問題に対しても唯一の回答となるような課題が設定されている。
一方、新学習指導要領は、「知識・技能」に加えて「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」の涵養が目標に掲げられている。これは「複雑で変化の激しい社会の中では、固有の組織のこれまでの在り方を前提としてどのように生きるかだけではなく、様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力が必要となる」からであり、特に、「グローバル化する中で世界と向き合うことが求められている我が国においては、日本人としての美徳やよさを備えつつグローバルな視野で活躍するために必要な資質・能力の育成が求められる」からである。
特に「思考力・判断力・表現力」は、「物事の中から問題を見いだし、その問題を定義し解決の方向性を決定し、解決方法を探して計画を立て、結果を予測しながら実行し、振り返って次の問題 発見・解決につなげていく過程」、「精査した情報を基に自分の考えを形成し表現したり、目的や状況等に応じて互いの考えを伝え合い、多様な考えを理解したり、集団としての考えを形成したりしていく過程」 「思いや考えを基に構想し、意味や価値を創造していく過程」(平成30年7月9日教育課程部会 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ)という探究的な学びの過程を通じて涵養される。
中村(2020)は、IBのプログラムの概念理解と探究のテーマに関する事項について、「IBの魅力は、作品分析において、分析の「切り口」が明確に提示されていること、そして探究のテーマが普遍的である ことである」とする。この「切り口」が「問い」であり、この「探究の問いを投げかけることによって、生徒自身が主体的にならざるを得ないという仕掛けが組まれている」と説明する。そのため、江里口(2020)は、差異化または個別化された探究を基盤とした教授学習法(differentiated inquirybased teaching and learning)について研究し、発信していく重要性を示した。
ーーここがあとひとつ、論理的に飛んでる。
以上にもとづき、概念型カリキュラムと問いを中心とした探究型の授業をIBの特徴として捉え、検定教科書を利用したIBの趣旨をふまえた授業に関する指導案と実践にかかわる論文を書こうと思う。測定方法は、自由回答問題の回答率にしようと思う。
ていうか、昨年の東大大学院の人の修士論文のリストには「2021(令和3)年度 ・教師の持つ知識イメージの様相についての研究 ―国際バカロレア教育に焦点を当てて― 」「Implementation of Concept-Based Language Instruction in ELT Classrooms in Japan 日本の英語教育における概念重視型言語指導法の導入」 「持続可能な開発のための教育(ESD)における教師の認識に関する研究 ―教師の「不安」に焦点を当てて」があった。アタシぜったい、はずれてない。
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それから、昨年の実践も発表にまとめようと思う。そのため、シラバスを書き始めようと思う。