久保田淳(2020)「学習指導案との比較対応からユニットプランナーを理解するための方策と課題-教職大学院IB教員養成プログラム受講生の意識調査をもとにした一考察-」『国際バカロレア研究』第4巻 pp39-49

 

ーー

 

本論文を読んだ理由は、IBを取り入れる授業をおこなうにあたり、指導案を書く必要があるので、その方法を知りたいと考えたことにある。

 

結論は、ユニットプランナーはカリキュラムマネジメントという観点から学習指導案を包摂し、ユニットプランナーに含まれない学習指導案の項目はないということである。したがって、ユニットプランナーの項目をすべて埋めれば、学習指導案の提出を要求される場面において、先方が書式を問わなければ、代替させることが可能であることが分かった。

 

以下に本論文を要約する。

 

ーー

 

 IBでは、学習指導案に代替するものとして「ユニットプランナー」をもちいる。「ユニットプランナー」は逆向き設計による単元の計画である。①単元の目的、②探究を通じた指導と学習のプロセス、③振り返りを明示することでIBとしての授業設計につなげる。

 

千葉(2019)は、学習指導案に必須の「7つの要素」を、①単元名・題材名、②単元目標、③評価基準、④学習指導観(教材観・児童観・単元観)、⑤学習材構造図、⑥指導計画、⑦本時の展開(目標・展開案・板書計画・学習材)と整理したが、これが一般的なスタイルであると考えられる。学習指導案にかかる課題は、「『どのような授業を設計するか、授業運営をどのように行うか』が議論の中心であり、『単元設計については、残念ながらほとんど議論された経験がない』」と赤羽(2018)は指摘する。単元の設計とは、学習と評価の一体化をふくむカリキュラム・マネジメントを指す。

 

 久保田淳(2020)は、学習指導案とユニットプランナーの親和性は高く、ユニットプランナーの導入には単元設計というアイデアが加味されるため、有効性が高いものの、そのスタイルの相違から現場に抵抗があり浸透しない難しさがあることを課題として捉え、その導入手順について考察をおこなった。また、その方法として、学習指導案を書いた経験があり、かつ、IBの教授法について学習した経験のある院生を対象に、学習指導案とユニットプランナーの項目の対応についてアンケート調査をおこなった。

 

 その結果、IBに特徴的とされる「探究テーマ」の設定は、学習指導案項目の「教材観」「学習指導観」「研究主題との関わり」から導くことができると考える教員が多いことがあきらかにされた。

 

その一方で、IBの「重要概念」「関連概念」「グローバルな文脈」「単元の指導(中)」「単元の指導(後)」には、適当な対応項目がないと考えることが妥当であると考えられた。

 

特に、「探究の問い(事実的・概念的・議論的)」「学習のプロセス(形成的評価)」については、項目自体が難解で作成に難をかかえていることが示された。

 

 そのため、結論としては、対応項目がないが内容的に理解を深めやすいと考えられる項目から、段階的に項目の導入を図る方策をとることが示された。

 

ーー

 

参考資料

赤羽(2018)「IB教育と学習指導要領に関する基礎的研究-IB教育カリキュラム導入に向けてー」『東京学芸大学教職大学院年報』6,13-24

千葉(2019)「学習指導案の構成」『国士館大学初等教育学会紀要 初等教育論集』20,68-87