本日は第3章前半について概略する。目次は以下のとおりである。

 

3 CEFRJ-RLD資料に基づく指導・教材作成

 

Q16 CEFRJ Grammar Profile を文法指導にどのように活かせるか。

Q17 CEFRJ Text Profile をリーディング/リスニング指導にどのように活かせるか。

Q18 CEFRJ Text/Grammar Profile をスピーキング指導にどのように活かせるか。 

Q19 CEFRJ Error Profile をライティング指導にどのように活かせるか。

 

まず、Q16 に示されたように文法指導への活かし方全般を概観し、Q17-19 に示されたように、RLSWの技能ごとにいかに活かすことができるのか整理する。

 

CEFRJ Grammar Profile は、学習する文法項目の順番を示す。学習指導要領は、段階ごとの学習項目を学年ごとに定めているが、実際、個人の学習進度はさまざまであり、成人の学習にも学校の学年によってレベルを示すことは適切ではない。「CEFRJ Grammar Profile は学習者集団の均質性が保証されない環境でこそ、真価を発揮すると言うことができる」。

 

CEFRJ Text Profile とは、「CEFRレベルごとの語彙や構文の特徴の統計値」を示したものである。CVLA: CEFR-based Vocabulary Level Analyzer にテキストを入力することによって、上記に示したようにレベルを解析することができる。

 

CEFR-based Vocabulary Level Analyzerは、4つの指標で評価される。すなわち、ARI(リーダビリティ), VperSent(文当たりの動詞の数の平均), AvrDiff(単語の難易度平均), BperA(Aレベルの内容語に対するBレベルの内容語の割合)である。

 

リーダビリティは、文字数、単語数、文数から算出される。文当たりの動詞の数は、「受動態や関係詞など文法的に複雑なものが多ければ、この値が大きくなる」。語彙指標は、CEFRJにもとづいて、A1=1 など数字を割り振り、平均を出したものである。これらをもちいて、テキストを分析することになる。

 

各技能にいかに活かすことができるか

 

1.リーディング/リスニング 

テキストを CEFR-based Vocabulary Level Analyzerにかけることによって、その特徴をつかむことができる。語彙は難しいが文法はさほど難しくない教材に関して、学習者は辞書を引きながら内容を理解することができる。一方、文法が難しい場合はある程度の指導が必要であることを知ることができる。

 

2.スピーキング

生徒にスピーキング活動をおこなわせるときに教員が書くモデル文を、上記CEFR-based Vocabulary Level Analyzerにかけて調整することができる。

 

3.ライティング

ライティングには、CEFR-J Error Profile SCN:JEFLL Corpus (japanknowledge.com) を利用することが可能だ。CEFR-J Error Profileとは、各レベルのError Profile をあらかじめ構築したものである。これをもちいて、生徒の現在の産出レベルを知るとともに、適切な指導に結びつけることが考えられる。たとえば、「英作文を添削する際に、常に問題になるのは、すべてのエラーを訂正すべきかどうかという点である。(中略) 現実的には、1回の英作文の添削では、エラーが見られたとしても、すべてのエラーを添削するのではなく、優先順位をつjけて、その順位の高いものから添削をして、低いものは添削をしないという方法がよい」。また、Error Profileは、「学習者自身が用いるチェックリスト」の作成にも有用だ。

 

※残念ながら、SCN:JEFLL Corpus (japanknowledge.com)には、典型的なエラーが叙述されていないので、膨大な誤りデータから利用可能な基準にするには、教員(利用者)が手を加えなければならない。結局、現場でもちいるときは、教員の指導歴から得た知見との合わせ技になるのかなと思う。

 

4.まとめ

CEFR-J は、「教科書・教材などのインプットの分析」「学習者のアウトプットの分析」「テストの英文の分析」「任意の英文の分析」に活用することができる。アウトプットに関しては、レベルを解析することで、学習者のスキルを把握し、そのレベルに応じた指導をすることが可能となる。テストの英文分析については、教材の調整のほか、受験する大学の入試問題を解析することで、より適切な学習方策をとることも考えられる。