小説「ハイスクール・ボブ」 15-7 | なんとなく断髪・襟足好きのためのようなブログ

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ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~
 

15 定期カット

(7)

 ハンバーガー店の店内、奈美、優衣、理奈の3人はお互いのスマホに入っている写真を見せ合い、新たに始まった高校生活の話で盛り上がっている。
理奈「これが同じ寮室のルームメイトなの。」
 理奈は、寮室内で撮った有紀、倫、京の4人で写っている写真を奈美と優衣に見せた。
 理奈と同じスクールボブ姿で4人が写っている。
奈美「へーっ、寮室の中ってこんな感じなんだ。」

優衣「うるさいお父さんやお母さんがいなくていいよね。」

理奈「そのかわり、厳しい寮監と寮母がいるよ。」

優衣「他の子もやっぱりこの髪型なんだね。」
理奈「最初はみんな長かったんだけどね。」
 理奈は、入寮式の時に寮棟前で撮った髪が長かった時の集合写真をスマホのデータから開いて見せた。
 こういった集合写真はデータで各生徒に提供されていた。
奈美「本当だ。長い子も結構いたんだ。」
理奈「この次の日に、1年生みんなで一斉にカットしたんだよ。」
優衣「みんなで一斉に?」
奈美「その時の話が気になるわ。理奈、教えて。」
理奈「さっきの写真を撮った次の日、入学式の4日前なんだけど4月7日に1年生79人が全員、この髪型にカットされたんだよ。それも学校の中で。」
奈美・優衣「えーっ、学校でしたんだ。」
 自宅から普通の高校に通っている奈美と優衣にとっては驚きを隠せない。
理奈「全寮制だからね。それに髪型も強制だから学校の中に美容室があるの。でも、この時は1年生は全員一斉にカットするから学校の体育館の中でカットしたんだよ。」
優衣「なんだかすごいね。」
理奈「あれから1か月ぐらい経っちゃったからだいぶ伸びてきたけどね。だから連休が終わるまでに次のカットしなきゃいけないことになってるの。」
 理奈は、サイドの髪を触りながら答えている。
奈美「なんだか、大変だね。」
理奈「カットする日も学年ごとに決まってて、だいたい5週間ごとに学校内にある美容室でカットすることになってるんだ。」
優衣「5週間に1回だったらほとんど月一じゃん、お金かかるんじゃないの。」
理奈「学校内にある美容室でカットするからカット代はタダなの。」
奈美「それいいなー。羨ましい。」

優衣「本当、羨ましい。」
理奈「でも、この髪型にしかできないよ。」
奈美「それはヤダ。」
理奈「でも、この髪型なら朝のセットも楽だし、シャンプーもロングの時ほど使わなくていいし、乾かすのも楽だから便利だよ。」
理奈「奈美や優衣のクラスの女子で私みたいな髪型の子っていないの。」
奈美「私のクラスだと運動部に入ってる子でショートカットの子が3人ぐらいいるね。」
理奈「やっぱりいるんだ。」
理奈「後ろ刈り上げてるの?」
奈美「うん、3人のうち2人は理奈と同じで、横が長くて後ろが刈り上げになってる。刈り上げショートボブって感じ。」
奈美「あとの一人は、耳が全部出てて、横と後ろが刈り上げで男子みたいな髪型だね。」
奈美「刈り上げショートボブの子と横と後ろが刈り上げの子の2人は入学した時は髪が肩より長かったけど、部活の入部が決まってバッサリと切ってたわね。衝撃的だったわ。」
理奈「やっぱりそういうのもあるんだ。」
理奈「優衣のクラスはどうなの。」
優衣「私のクラスの女子はどちらかというと、おとなし目の感じの子が多いからロングヘアの子が多いわね。」
優衣「ショートの子も何人かいるけど、私みたいな肩につかないボブヘアか、横は耳出しだけど後ろは刈り上げずに生え際で切り揃えているショートカットの子が何人かいるわね。真面目系ショート女子って感じね。横や後ろを刈り上げている子はいないわ。」
理奈「そうなんだ。」


 3人の話は髪型の他、学校生活など延々と1時間ぐらい続いた。

 時計を見ると11時30分を過ぎていた。
 三人とも徒歩で30分ぐらいの所に自宅があった。
奈美「じゃ、そろそろ時間だし、帰ろうか。」
 3人は、昼食は自宅に帰って摂ることにしていた。
理奈「そうね。今から帰ればみんな12時までに家に帰れるわね。」
優衣「今日は、久しぶりに会えていろいろ話ができて楽しかったわ。」
理奈「私は久しぶりの地元だし、奈美や優衣とゆっくり話ができて楽しかったわ。」。
奈美「私も、久しぶりに優衣と理奈を見れてよかったわ。一番驚いたのは理奈の髪型だけど(笑)。」
優衣「私もそう思った。」
理奈「もう、奈美と優衣も私と同じスタイルにしちゃいなよ。」
奈美「私は、ロングが好きだから今のでいいの。」
優衣「私も、とりあえずは今の長さでいいわ。」
理奈「つまんないの。」
奈美「じゃ、また何かあったらラインで連絡取り合おうね。」
理奈「わかったわ。」
優衣「うん。」
奈美「じゃ、またね。バイバイ。」
優衣「バイバイ。」
理奈「バイバイ。」
 三人は、それぞれ自宅の方向に歩いて帰っていった。

 

つづく