小説「ハイスクール・ボブ」 15-6 | なんとなく断髪・襟足好きのためのようなブログ

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ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~
 

15 定期カット

(6)

 奈美、優衣、理奈の3人は、駅前の商店街へ向かって歩き出し、商店街のアーケード内にあるハンバーガー店に向かった。
 商店街のアーケードを数分歩き、ハンバーガー店に着いた。
 3人が中学時代からよく行っていたお店だ。
 3人は、注文したポテトなどのサイドメニューと飲み物をカウンターで受取るとトレーを持って、2階の客席にに向かった。
 3人は。客席の奥の方の4人掛けの空きテーブル席を見つけてそこに座った。
 奈美と優衣が壁側のソファーに並んで座り、理奈は通路側の一人掛けの椅子に座った。
 席に座ると、さっそく3人の高校生活の話が始まった。
 坂本 奈美は、地元の中レベルの公立高校に進学している。共学校だ。
 谷川 優衣は、地元から少し離れた進学校の私立高校に進学している。共学校だ。地元から少し離れてはいるが電車通学で1時間程度なので自宅から通学している。
 高校入学から1か月が過ぎ、それぞれの高校生活の話を話している。
 しかし、やっぱり気になるのは理奈の髪型のようだ。
奈美「理奈、バッサリ切っちゃったんだね。」
優衣「理奈って、中学の時は一度もショートにしたことなかったのに。」

理奈「私も切りたくなかったんだけど、校則で決まってるから・・・」
奈美「ひょっとしてロングヘア禁止とか。」
優衣「それって、私たちがいた中学校より厳しいじゃん。」
理奈「たしかに中学校の時より厳しいかも。」
優衣「でもさ、ショートにするにしたって、私みたいに肩にぎりぎりつかないようなボブのスタイルもあるし、短いショートでもおしゃれなスタイルがあるのに、なんでまた、こんな昭和のオカッパみたいなスタイルにしたの?」

 やっぱり、奈美と優衣は、理奈のパツンとした直線的なカットと刈り上げのスタイルが気になるようだ。
理奈「この髪型はね、うちの学校ではスクールボブと言って、これが学校指定のスタイルなの。」
奈美「えーっ、学校指定なの?」

優衣「それって全員?」

理奈「そうね、女子校だから1年生から3年生まで全員このスタイルだよ。」

優衣「このスタイル一択ってこと?」

理奈「そうだよ。これ一択だよ。」
 理奈は、恥ずかしがることなく普通に答える。
 奈美と優衣は驚きを隠せない。
奈美「えーっ、私絶対無理。」
優衣「私もちょっと・・・」
理奈「私も最初は絶対無理って思ってたけど、女子校だから同年代の男子の目を気にしなくていいし、まわりのみんなも同じスタイルなんだから、すぐに慣れちゃったわ。」
奈美「そういうものなのかなあ。」
奈美「そうそう、今日はクラスの集合写真をスマホに入れて持ってくるってことだったけど持って来てる?」
理奈「あるよ、こんな感じだよ。見て。」

 理奈は、スマホの画像データの中から大体育館と満開の桜の木をバックに撮ったクラスの集合写真を開いて奈美と優衣に見せた。

 奈美と優衣は、テーブルの向こうから身を乗り出して理奈のスマホの画面を見ている。
 大体育館と満開の桜の木をバックにセーラー服に理奈と同じスクールボブの女子生徒39人が写っている。
 生徒全員が、眉毛の端から端の幅でパツンと眉上で切り揃えられた前髪に、サイドは耳の穴の高さで真っすぐに切り揃えられて耳の下半分が露出しているスタイルで正面から写っている。
奈美「うわっ、すごーい。本当に全員同じ髪型だ。」

 理奈の言ったとおり、写っている生徒全員が同じスクールボブであることに奈美と優衣は驚きを隠せない。
優衣「どれが理奈なのかわからない。」
 この集合写真からは、スマホの画面が小さいこともあって、画像から理奈を判別するのは不可能だった。
理奈「私なら、前から2列目の左から4番目だよ。」
 理奈は、画面をタップして自分が写っているところを拡大した。
優衣「本当だ。理奈だ。」
 眉毛の形や目、鼻、口の感じでかろうじて理奈だとわかる。
奈美「本当だ。それにこの時って切りたてだったんだね。」

理奈「入学式の日に撮った写真だからね。」
理奈「奈美のクラス写真はどんなの。」
奈美「私のは、こんな感じだよ。見て。」
 奈美は、スマホの画像データの中から校舎をバックに撮ったクラスの集合写真を開いて優衣と理奈に見せた。
 理奈は、テーブル越しに奈美のスマホの画面を見た。
 優衣も奈美の横から奈美のスマホの画面を見た。
 奈美の通う高校は公立の男女共学校だ。男子も女子もブレザー姿で写っている。
 男子も女子も髪の長さに制約はないようだ。女子は、ベリーショートのスタイルから胸下まであるロングヘアまで様々なスタイルの女子が写っている。
理奈「奈美の高校は髪型は自由なんだね。」
奈美「そうね。パーマや茶髪は禁止だけど、長さは自由だね。」
奈美「優衣のクラス写真はどんなの。」
 優衣は、スマホの画像データの中から学校のモニュメントをバックに撮ったクラスの集合写真を開いて奈美と理奈に見せた。
 優衣の通う高校は私立の男女共学校だ。私立校だけに校内におしゃれなモニュメントがあり、それをバックにブレザー姿の男子と女子の集合写真が写っている。

 写真を見ると女子は髪の長さに制約はないようだ。女子は、ベリーショートのスタイルから胸下まであるロングヘアまで様々なスタイルの女子が写っている。
 ただし、女子の場合、肩につく長さの髪の生徒は皆、髪を一つか二つに束ねている
理奈「優衣の高校も髪型は自由なんだね。」
優衣「そうね。男子は襟に付く長髪は禁止だね。奈美の高校と一緒でパーマや茶髪は禁止だね。女子の髪の長さは自由なんだけど、肩につく長さになると髪を後ろで一つか二つに束ねてないといけないのよね。」
奈美「これ、優衣じゃないの。」
 奈美が集合写真の中の優衣を見つけた。
 写真に写っている優は、髪を後ろで一つに束ねているのか、サイドの髪が正面から見えない状態で両耳が露出している。
理奈「この時の優衣って、髪後ろで束ねてたんだ。」
優衣「高校に入ったら肩ギリギリのロブにしようと決めて、入学式の前にロブに切ったんだけど、この長さだと束ねないといけないと生活指導の先生に言われて、束ねるのがイヤだし面倒だったから、先週束ねなくていい長さにまで切ったの。」
奈美「校則が厳しいところって大変ね。」
優衣「でも、髪型で一番厳しいのは理奈の行ってる高校だよね。」
理奈「たしかに、そうかもね。」
 奈美、優衣、理奈の3人は高校生活の話で盛り上がっている。

 

つづく