能登国掘鐵者行佐渡国掘金語26-15のとのくにの くろがね をほるもの さどのくににゆきて こがねをほる

◎鐵:くろがね:古代日本では、金属を「かね」と呼んでいた。鉄鉱石の採掘者の話かな。

黒い金:くろがね:鉄  黄色い金:こがね:黄金  赤い金:あかがね:銅  白い金:しろがね:銀

◎佐渡金山:平安時代の今昔物語で初登場。江戸時代には世界有数の産出量。1989年閉山。

◎陸奥国:宮城県岩手県で上質の砂金が採れ、752年東大寺の大仏のメッキに使われた。

◎あらすじ:この時代、佐渡ヶ島の近所、能登で鉄鉱石を採取していた。そこの責任者が、鉱夫長に、「佐渡に金がゴロゴロ・・?」「採ってくるよ」「おねがい」責任者は鉱夫長に船と食料を渡した。しばらくして鉱夫長がそっと現れたので、責任者はそっと会い、ずっしりしたものをそっと渡された、黄金だった。鉱夫長はそのあと姿を消してしまった。なぜ姿を消したのか、わけがわからない。

今昔氏は:黄金の出るところを問いただされるのを嫌ったのか、彼はきっとそのあとも黄金を掘ったのでは、という。

解説氏は:鉱夫長は単独で佐渡に渡り金を採掘したのでは。それとも、ケチな責任者に対する彼なりの精いっぱいの抵抗だったのでは・・。

 

佐渡國に有る金事 54 さどのくに こがね ある こと 宇治拾遺物語

◎能登の国みは、鐵という物の、すがね(素鉄:まだ鍛えてない鉄)といふ程なるをとりて、守にとらする者、六十人ぞあなる。實房といふ守の任に、くろがね取六十人(今昔では6人)が長なるもの・・・・

 

◎今昔、能登ノ国ニハ、鐵:くろがね鐵:あらがね:ト伝ナル物ヲ取テ、国ノ司ニ弁ズル事ヲナンスルナル。

 その〇〇ト云ケル守ノ任ニ、其鐵取ル者六人有ケルガ、長也ケル者ノ、己等ガドチ物語シケル次ニ・・・

 

◎今昔の口語訳

 鉄を掘る人夫が6人いたが、仲間同士で話をしている時、その頭だったものが、「佐渡国には 黄金の花が 咲いているところが あったぞ」といったのを、守が人づてに聞き、その頭を呼び寄せ、ものを与えて尋ねると、「佐渡の国は 黄金があるのでしょうか 黄金が 取れそうに 見えるところ ありましたので お聞き及びに なったのでございましょう」といった。

 すると、守は、「では そのように 見えるところに行って 取って来て くれぬか」というので、

頭は、「おつかわしになるなら まいりましょう」と答えた。

守は、「なにか 必要なものはないか」と聞く。

「人は 必要ありません ただ 小舟一艘に 食糧を 少しいただいて そこに渡って行って あるかないか ためしてみましょう」というので、彼の言うままに、舟一艘と、少々の食糧を与えた。

頭はそれをもらって佐渡国に渡った。

その後、二十日から一か月くらいたち、守が忘れてしまったころ、この頭がどこからともなく現れ、守がひと前のいるところに姿を見せたので、守は心得て、彼の話を人づてには聞かず、人のいない所に出て行って自ら話を聞くと、頭は黒っぽい布包みに包んだものを守の袖の上においた。守はそれを、重そうに抱いて家の中に入っていった。

それ以来、その頭は何処へ行くともなく姿をくらました。守は手分けしてあちこちと探させたが、ついに行方がわからずに終わった。

その黄金は千両あったと語り伝えている。

「黄金は 佐渡国で 掘るがよい」能登国の人は言った。