人間の社会人としてのキャリアはたかだか40年前後です。

1社に勤続する人は、この年数のうち最初の10年で、基本的な業務を安心して任せられるようになります。

企業人として順調な過程を辿るならば、最後の10年は、高度な判断を求められるようになります。

これらの中間にあたる20年で、様々な配属先で、より高度で新たなビジネスを経験することになります。



古来より、日本の芸道や武道の世界では、『守・破・離』という教えがあります。

『守』は、様々な基本動作や考え方、精神の鍛練を体得することを示し、ひたすら基本に忠実な動静を教わります。

比較的単調な動作を繰り返す訓練が与えられますが、必要な素養を身につけることを目的とします。


『破』は、様々な応用技について学びます。多種多様な技と共に、他の流派や他の芸道や武道を学ぶこともあります。

ここでは、『基本からの展開』を学びます。
『守』で基本を身につけた者であれば、様々な『道』に通じる技や精神を『身体で感じる』ことができます。


『離』は、一連の鍛練を十分に体得した者だけに許される境遇であり、技など、自ら考案した内容を、部下や後進に教えることができます。

独立して『業を起こす』ことが許されます。技を教え、後進を育てるだけでなく、自ら新たな境地を開拓することがあります。

ただ、『のれん分け』による独立の場合は、『本部』の基本的な『マニュアル』を遵守する必要はあります。



これら一連の教えは、日本の精神文化を礎としています。

清廉潔白、質実剛健、明鏡止水など、様々な言葉で表現される精神の在り方は、このような過程で完成されるのです。

日本の伝統的な精神文化は滑舌を要しません。

それを体得した者には例外なく『品格』が備わります。

今流行になっている『オーラ』を発するようになります。

成熟した彼らは、自分自身のことに執着することなく、自分自身を社会に貢献する『ツール』として認識するようになります。

『個より集合』として、自分を最大限活用して、社会の役に立つという精神こそが、日本人としての美しい心なのです。

この精神文化は、継承していきたいものです。