アルバム 『 Back Home (バック・ホーム) 』 リリース(2005年8月)の翌年に デレク・トラックス(Derek Trucks)を迎えて行われた エリック・クラプトン(Eric Clapton)のワールド・ツアー(2006年-2007年).
 このツアーでは,ギタリストが 3人になったことで,何十年も演奏しなかった多くの デレク・アンド・ザ・ドミノス(Derek And The Dominos)の曲を再演することが可能となった事はファンの方ならばご存知の通り.

 本商品は,ドイル・ブラムホール(Doyle Bramhall II)の他に,デレク・トラックス(Derek Trucks)を配した,上述のワールド・ツアー序盤に当たる 2006年5月16日~26日にかけて都合 7公演(5月16日,17日,19日,22日,23日,25日,26日)が行われた英国はロンドンのロイヤル・アルバート・ホール連続公演から,3公演目に当たる 5月19日のオーディエンス録音を収録し Beanoレーベルからリリースされた 『 Royal Albert Hall 2006 3rd Night : Dat Master (Beano-230) 』 です.

 この公演日は,既発では,2010年春に Trialレーベルから,3公演目と4公演目に当たる 5月19日,20日のオーディエンス録音を収録した 『 Getting Snappy (Trial-137) 』 がリリースされているようですが,今回は,この音源とは別のソースを使用しての商品化とのこと.

 このワールド・ツアーの一環として2006年11月11日大阪の大阪城ホール公演を皮切りに,12月9日東京の日本武道館公演まで日本公演を行っており,私的にも日本武道館公演には参戦しただけに懐かしさもあります.

 これは,各パートの出音のバランスも非常に良く,オーディエンス・ノイズも殆ど無く,驚くほど高音質のオーディエンス録音と言えますし,デレク・アンド・ザ・ドミノス(Derek And The Dominos)の ”I Am Yours” をライヴで披露(このツアーがライヴ初演)していたり,何と言っても,各曲のソロ・パートで エリック・クラプトン(Eric Clapton),ドイル・ブラムホール(Doyle Bramhall II),デレク・トラックス(Derek Trucks)のギター・ソロを堪能できますので,聴きどころ満載です.

 メーカー情報では
 『【エリック、ドイル&デレクの三頭ギターバンドのツアー初期決定版!】
  
 クラプトン自身がデレク・アンド・ザ・ドミノスを意識し、最高のバックバンドだと評価した、ドイル・ブラムホール&デレク・トラックスを擁し、リズムセクションにスティーヴ・ジョーダン(現ローリング・ストーンズ!)&ウィリー・ウィークスを迎えた2006年ヒズバンドの極上ステレオオーディエンス音源が登場です!実は本作のマスターも、イギリス在住の重鎮テーパーから提供された、本人録音による秘蔵DATマスターです。
 このマスターは、2006年5月16日から26日にかけて合計7公演が行われたロイヤル・アルバート・ホール連続公演から、3日目に当たった5月19日公演を極上レベルの超高音質ステレオ・オーディエンス録音で完全収録しています。当店では「GETTING SNAPPY: RAH 3 & 4TH NIGHT (4CDR)」(Trial-137)という既発盤でこの日をリリースしていますが、重鎮テーパーのマスターは、この既発盤と非常に近い位置で収録されたと推察される別音源です。
 イントロ辺りでは近隣の歓声が酷似していますが、アンコール及び終演後の近隣の話し声から、別音源と判明しました。重鎮テーパーは既発盤録音者と近い好ポジションで録音を敢行していたのでしょう。音質は非常にクリアで、サウンドバランスも問題なく、超高音質と言えるクオリティです。
 音像的には、楽音はセンターから僅かに左チャンネルに寄っていますが、オーディエンスの歓声拍手はきれいにセンターで分かれていますので、恐らく正面左のPAスピーカーの前辺りのポジションだったかと思われます。既発盤も高音質ですが、ホール鳴りが感じられる質感であったのに対し、本作はかなりタイトな質感で演奏も近くに感じられるのが特徴です。重鎮テーパーのマイクの方が高性能だったのでしょう。因みに既発盤はディスク割りの歓声が10秒間ほどカットされていましたが、本作ではノーカットですし、既発盤ではアンコールの歓声も80秒間ほどカットされていましたが、本作ではノーカットです。2006年ワールドツアー初期の素晴らしいパフォーマンスを素晴らしい音質で捉えた本作にご注目ください。

【飽きさせない圧倒的な演奏と魅力的なセットリスト】
 2004年ツアーからバンドに引き入れたドイル・ブラムホール二世に加え、若手では天才スライドギタリストと呼ばれていたデレク・トラックスをもスカウトしてきたこのバンドによるソリッドで重厚なリズムと、ウォームなエレクトリック・サウンドで演奏される各曲は、過去のどのバンドラインナップとも異なる印象で演奏されていました。その充実の内容に触れる前に、まずはこのショウのポジションと2006年ワールドツアーの全景から振り返ってみましょう。

 ●2006年
 ・5月5日-6月10日:ヨーロッパ・ツアー・ファーストレッグ(24公演)←★ココ★
 ・7月7日-8月3日:ヨーロッパ・ツアー・セカンドレッグ(17公演)
 ・8月13日:米オハイオ州コロンバスでのジミー・ヴォーンのステージに飛入り
 ・9月16日-10月23日:アメリカン・ツアー(24公演)
 ・11月11日-12月9日:ジャパン・ツアー(19公演)
 ・12月15日:英サリー州チディングフォードでのゲイリー・ブルッカーの「ノー・スティレット・シューズ」のギグにゲスト参加
 ・12月31日:英サリー州ウォーキングでの「ニュー・イヤーズ・イヴ・ダンス」を主催

 この年は、ライブアーティストたるエリック・クラプトンの典型的な一年でした。

 4月までは休暇だったものの、5月から年末まではツアーに明け暮れる日々。本作はそんな多忙なツアー生活開始の初期を捉えたもの。前年8月30日に、カバーではないオリジナルアルバムとしては7年ぶりとなる「BACK HOME」(全米アルバムチャート13位のヒットを記録)をリリースし、満を持してそのプロモーションツアーを開始したタイミングでした(前年はクリーム再結成がメインの活動でした)。
 自信作であっただけに、そこからのナンバーをセットインさせるのは当然のこと(DISC1-3.5.8.が該当します)。しかしながら、ツアーが進行するに連れ、新曲はどんどんセットからはずれ、日本に来た時には新曲はゼロとなっていました。これがまたクラプトンらしいところで、アルバムのプロモーションで始めたツアーでも、進めていくうちにどんどん自分のやりたい曲に変更していく。
 ジャパンツアー終盤が「デレク&ザ・ドミノス・デイ」になったように、当初の趣旨とはまったく異なる展開を見せたツアーでしたが、それだけにこの初期は、ツアー開始に際してクラプトンが熟考して作成したセットリストが反映された、2006年ツアー初期の代表音源と言ってもよいものなのです。つまりこの初期は、アルバム「BACK HOME」収録曲のライブバージョンが聴けるのが何より貴重なわけです。しかもそれを再現するのが冒頭に述べた多才なサポートミュージシャンたちというわけです。しかも9月からの北米ツアーからははずれてしまったホーンセクションがいました。3人のギタリスト、強力無比なリズムセクション、ソウルフルな黒人女性コーラス、キレッキレのホーン、このサウンドがいかに凄かったかは想像するに難くないでしょう。さらにデュエイン・オールマンの再来と言われたデレク・トラックスを得たクラプトンがこのタイミングでドミノスナンバーを新たに3曲セットイン。そのうちの1曲I Am Yoursはこの時が初ライブ演奏曲でした。これら3曲でデレクのスライドプレイがたっぷり楽しめるほか、Motherless Childrenではデレクを含みクラプトン、ドイルもスライドをかますという超豪華三者スライド競演が聴けます。
 このバンドでのポイントは2つありました。①ドイル、デレクという若手ギタリストを起用したことで、彼らを立ててほとんどの曲で二人をソロフィーチャーしていること。二人のファンには堪らないところでしょう。そして②。それに触発されたクラプトンが凄まじいソロを披露して貫禄を示していること。つまり、若手をフィーチャーしながら自らも負けてはいないことを示し、異様なテンションをもたらしたステージであったということです。このメンバーで奏でられる代表曲もさらなるパワーアップが図られています。83年ツアー以来となるEverybody Oughta Make A Changeのセットインも強力。もちろんLaylaでのドイルのオブリガート、デレクのスライド等好サポートも聴き逃せません。前半の盛り上がりは、So Tired~Got To Get Better In A Little Whileのメドレー(So Tiredの曲前には「この曲はジュリーとエラに贈るよ。」とコメントしています。クラプトンの娘さんたちですね。クラプトンの作曲のモチベーションとしては珍しい「子育て奮闘記」とも言えるナンバーでしたので、敢えて地元のオーディエンスに伝えたようです)。中盤ではシッティングセットのBack Home ~Running On Faithまで、しっとりじっくり聴かせ、後半は緩急つけてAfter Midnight~Motherless Childrenまでを畳みかけるあたり、息をもつがせぬ展開で飽きさせません。特にメドレーで演奏されるAfter Midnight~Little Queen of Spadesは、このツアーの最大の聴き所と断言出来る壮絶な演奏が展開されています。スライド・プレイを含む3人のギタリストのソロのすみ分け、ブラスセクションが効かせるアクセント、黒っぽい女性コーラスの彩り、タイトなニュー・リズム・セクション、と、このツアーのバンドは、非常に新鮮味と迫力を感じさせるものでした。
 尚、Crossroadsではオープニングアクトを務めたロバート・クレイが飛び入り参加しており、クリーム・テンポでプレイされる高速ヴァージョンにおいて4人が次々とソロを取る様はまさに圧巻です。ソロの順番はクラプトン~クレイ、ドイル~デレク、クラプトンで、各人の個性が爆発していて爽快です。
 聴きどころ満載の2006年の強力バンドのツアー初期決定版。改めて本作を聴き込み、クラプトンの凄さを再認識してください。』

Royal Albert Hall 2006 3rd Night : Dat Master (Beano-230)
 
 Live At Royal Albert Hall, London, UK
 19th May 2006
 [From Original Masters / New Source]

  Disc 1
   01. Introduction
   02. Pretending
   03. So Tired
   04. Got To Get Better In A Little While
   05. Lost And Found
   06. I Shot The Sheriff
   07. Anyday
   08. Back Home
   09. I Am Yours
   10. Nobody Knows You When You're Down And Out
   11. Milkcow's Calf Blues
   12. Running On Faith
   TOTAL TIME (64:44)

  Disc 2
   01. After Midnight
   02. Little Queen Of Spades
   03. Everybody Oughta Make A Change
   04. Motherless Children
   05. Wonderful Tonight
   06. Layla
   07. Cocaine
   08. Crossroads*
   TOTAL TIME (57:19)

 Eric Clapton : Guitar, Vocal
 Doyle Bramhall II : Guitar, Vocal
 Derek Trucks : Guitar
 Chris Stainton : Keyboards
 Tim Carmon : Keyboards
 Willie Weeks : Bass
 Steve Jordan : Drums
 Michelle John : Backing Vocal
 Sharon White : Backing Vocal
 The Kick Horns (Simon Clarke - Baritone Saxophone, Roddy Lorimer : Trumpet, Tim Sanders - Tenor Saxophone)
 * Robert Cray : Guitar

 Back Home
 
 After Midnight
 
 Wonderful Tonight
 
 Layla
 
 Crossroads
 

[参考]
 Getting Snappy (Trial-137)
 








#2022-09-24