1970年1月~3月中旬まで行われた英国・欧州ツアー終了後の 3月21日カナダはバンクーバーのパシフィック・コロシアム公演を皮切りに,4月18日アリゾナ州はフェニックスのアリゾナ・コロシアム公演まで行われた春の北米ツアー.
 そして同年8月10日バージニア州はハンプトンのハンプトン・ロード・コロシアム公演を皮切りに 9月19日ニューヨーク州はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンの昼夜 2公演で幕を閉じた夏の北米ツアー.

 本CDは,旧 Next Time が取り扱っていた Graf Zeppelinレーベルから 2018年にリリースされた 『 Complete Boston Garden 1970 (LZSC-909A/B) 』 で,本北米ツアー終盤に当たる 9月9日マサチューセッツ州はボストンのボストン・ガーデン公演を現存する 2つのオーディエンス録音を駆使して疑似完全盤に仕上げているのですが,何時もながらの丁重な仕上げには恐れ入ります.

 当初は,8月5日からツアーが開始される予定だったようですが,ジョン・ポール・ジョーンズの父親の病気の関係で開始を8月10日に遅らせたようであり,当初はボストン・ガーデン公演が 8月9日に,また 8月14日にはチェスナット・ヒルのボストン大学内にあるアラムナイ・スタジアムで MC5ザ・ストゥージズ(The Stooges),オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band),キャットフィッシュ(Catfish),アンボイ・デュークス(Amboy Dukes) 他とイーグル・ロック・フェスティバル(Eagle Rock Festival)への参加も予定されていましたが,どこぞの圧力なのか会場の使用許可が下りず,やむなくキャンセルとなってしまいました.その振替公演的な意味も込めて行われたのが,本公演のようです.

 この当時オープニングを飾る "Immigrant Song" では,ロバート・プラントのヴォーカルの入りが遅れるのですが,そんなミスも吹き飛ばすハイトーン・ヴォイスは流石であり迫力充分で,メドレー的に繋がる "Heartbreaker” では,ギター・ソロ後の歌詞をギター・ソロ前に先走り歌ってしまうミスもあります.
 ジミー・ペイジのギター・ソロでは一瞬チューニングに思える箇所もありますが,終盤で演奏される バッハ(Johann Sebastian Bach)の ” - Bouree In E Minor” が始まると観客からの拍手が起こります.
 続く ”Dazed And Confused" の緩急を付けた自在の演奏は迫力がありますし,鳥肌が立つほどです.
 "Since I've Been Loving You" は前半で少し精彩を欠いた ジミー・ペイジのギターも中盤部以降では本来の調子を取り戻し,本当に素晴らししい演奏を披露しています.
 20分に及ぶ "Whole Lotta Love" メドレーでは,バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)の "For What It's Worth" に入ると思いきや,"Ramble On" が始まると言う想定外の展開もあり,アンコールとして最後に演奏される "Communication Breakdown” も,ドライブ感があり 『 Live On Blueberry Hill 』 同様にジョン・ポール・ジョーンズのベース・ソロがフューチャーされた展開は何気に格好良いですねぇ.

 この北米ツアーからは アナログ時代から有名な 『 Live On Blueberry Hill 』 ,最終日の 『 Madison Square Garden 1970 (No Label) 』 等,名演が多いですが,この公演も少々のミスはあるものの勢いもあり,この時期ならではの素晴らしい演奏をしています.

 本ボストン・ガーデン公演は,音像は若干遠くオーディエンス・ノイズも気になる部分もありますが,相応に高音質のオーディエンス録音が残されており,ファンで無くとも必聴の 1枚では無いでしょうか.距離やオーディエンス・ノイズ等を除けば,音の感じは 9月4日のLAフォーラムを収録した 『 Live On Blueberry Hill 』 に近い感じに聴こえます.

 メーカ情報では  
 『★使用音源概要(※今回全てネットではありません)
   ・Src1・・・モノAud音源。ライブ後半部分がLP時代に初登場。CDでは90年代中頃にHoly盤で本音源の後半部が初登場。2000年代に入りライブ全長が登場。今回のメイン音源。

   ・Src2・・・ステレオAud音源。LP時代には出てなく、’95年頃にSIRA盤CDで初登場した2つ目のAud音源。
 今回はライブイントロなどの数カ所の欠落部の補填にモノ化した上で使用。ボーナストラックはステレオ。

 ★音質ベストのAud音源をメインに編集、曲間も含め初のノーカット完全収録。’70ボストン公演決定盤!
 ★ボーナストラックにソース2(ステレオAud)に補填を施し「胸いっぱい」、「コミュニケーション」の疑似完成版を収録。
 ★限定ナンバリング入り!

 1970年北米ツアーより9月9日ボストン公演を収録した決定盤の登場!
 2種類の音源を駆使し、史上初の時系列的な欠落のないノーカット完全盤!

 この日のライブはアナログ時代から音盤化されており、RSR盤LP”207.19″にてライブ終盤の「胸いっぱい」〜「コミュニケーション」部分がモノAud音源(今回盤のメイン音源と同じ音源。Src1)にて初登場。
 CD時代には95年頃に懐かしのSIRAのCDでアナログ盤とは別ソースのステレオAud音源(今回盤の補填音源と同じ音源。Src2)が登場。
 続けて96年頃には”COME BACK TO BOSTON”という2CD盤が登場。そこではライブ後半の「Moby-」途中以降からアナログ盤に使われていたモノAudのSrc1がCDでは初登場。
 そして2000年代に入り、モノAudのSrc1をライブ全編に採用した新タラ盤などのCDが登場し、現在に至ります。

 2種類の音源特徴をザックリあげると、演奏は若干遠目ながら録音鮮度は上々でなかなかクリアなモノAud(Src1)と、演奏近めで臨場感は十分ですが、解像度がムーディーでモコモコしつつヒスも多めな質感のステレオAud(Src2)と言ったところ。
 収録内容的にもモノAudのSrc1はカットが極めて少なく、曲中カットは1箇所のみ。対するステレオAudのSrc2は曲中・曲間ともにカットが多く、カット前後でのヒス量変化や若干不安定なテープスピードをはらむ、ということもあり、90年代に登場したアイテムではSrc2がメインに使用されていたりもしましたが、近年ではカットも少なく鮮度も良好なモノAudのSrc1がメインに採用される傾向にあります。

 本盤でもモノAudのSrc1がメインに採用されていますが、過去盤ではこれら2種類の音源を駆使した全長盤が意外なことに一切出ておらず、本盤が初の複数音源編集盤・疑似完全盤となります。
 元々モノSrc1はカットも少ないため大幅な更新というわけでもないと言えばそれまでですが、そこはやはり当レーベルらしく拘りの編集が施されております。
 ライブ開始前のイントロダクション部、「Bring It」と「That’s The Way」の曲間部、「Moby」曲中カットをSrc2で補填し疑似完全収録が再現されています。補填の際にはメインのSrc1がモノラルのため、それにあわせSrc2もモノ化した上で補填処理されています。なおポイントですが、「Bring It」と「That’s The Way」の曲間の補填に関しては、ネット音源上にもSrc2は2種流通していますが、ネット音源のSrc2ではそこに大きなカットがあるため、ネット音源では補填が不可能です。今回はキチンと補填がなされていることにより、ネット音源ではないとすぐに判別がつきます。

 さらに今回はボーナスセクションという扱いながら、補填に使用したSrc2音源にてライブの終盤部分のみながらボーナス収録。「胸いっぱい」と「コミュニケーション」の2曲になります。
 補填時にはモノ化され使用されていましたが、本ボーナスセクションではSrc2の特徴を生かしたステレオ収録となっております。「コミュニケーション」は元々Src2もノーカットでしたが「胸いっぱい」についてはSrc2はカットが多く、今回の補填でもアクロバティックな編集となっておりますが、初のステレオSrc2による「胸いっぱい」疑似完成版がここで登場です。なおこれまた非常に細かい事ですが、このボーナストラック部の終演端部(つまりCD2の終わりの部分)はSrc1よりは短いのですが、ネット音源のSrc2よりは数秒ながら長く、キュルカットして終了する所まで収録してあり、ここでもネット音源との差別化がはかられています。

 全般の音質についても、メインのモノAud Src1では既発盤ではライブ中盤のアコースティックセット辺りから右chでの歪みが目立つ場合がありましたが、本盤ではその点も殆ど問題なく、またヒスは若干ありますが、鮮度重視でノイズリダクションは施されていないため、終始安定した質感で深みのあるナチュラルサウンドが鑑賞頂けます。
 補填とボーナスで使用されているSrc2に関しては、ヒスはSrc1よりも目立ちますが、明らかに既発盤の同ソースよりは鮮度もよく、クリアなサウンドとなっており、こちらのバージョンで全長盤を聞いてみたい、と思う方もおられるのではないでしょうか。

 演奏的にも悪いわけがなく、しかしながら意外なほどリリースの少なかった70年ボストン公演の決定盤が登場です!
 限定ナンバリング入り(No.1-200)でケース前面にナンバリング入りステッカーを添付。
 ジャケは外面コーティング仕様、CDラベルはピクチャーディスクの永久仕様の愛蔵盤で登場です!』

Complete Boston Garden 1970 (LZSC-909A/B)
 
 Live At Boston Garden,Boston,MA,USA 09th September 1970

  Disc 1
   1. Introduction
   2. Immigrant Song
   3. Heartbreaker
   4. Dazed And Confused
   5. Bring It On Home
   6. That's The Way
   7. Bron-Yr-Aur
   8. Since I've Been Loving You
   9. Organ Solo
   10. Thank You
   TOTAL TIME (76:02)

  Disc 2
   1. MC
   2. What Is And What Should Never Be
   3. Moby Dick
   4. Whole Lotta Love
   5. Communication Breakdown
     [Bonus Trax : Alternate Source]
   6. MC
   7. Whole Lotta Love
   8. Communication Breakdown
   TOTAL TIME (72:38)

 Immigrant Song
 
 What Is And What Should Never Be
 
 Communication Breakdown
 

[参考]
 マスタリング情報
  Disc 1
   1. Introduction
      ⇒ 出だし-1:08 Src2をモノラル化して補填
   5. Bring It On Home
      ⇒ 9:12-9:40演奏後部分 Src2をモノラル化して補填

  Disc 2
   3. Moby Dick
      ⇒ 1:29-3:28 Src2をモノラル化して補填
     [Bonus Trax : Alternate Source]
      ⇒ 本編で補填に使用したSrc2をステレオで終盤部のみオマケ収録
        ※Src2 「胸いっぱい-」史上初の疑似完成版収録となる。
   6. MC
      ⇒ 0:00-0:35 / 0:46-0:50 Src1で補填
   7. Whole Lotta Love
      ⇒ 0:04-0:10 / 1:32-2:01 / 11:38-12:02 / 13:51-13:57 ほか Src1で補填
   8. Communication Breakdown
      ⇒ 演奏後部分は既発盤よりも約28秒、ネット音源よりも約3秒長くキュルカットまで収録。

 当時のラジオCM
1970 Eagle Rock Festival Boston [JJ Jackson Radio ad]
 

1970 North American Tour Dates [Spring]
 March
  21 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,CANADA
  22 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
  23 Memorial Coliseum,Portland,OR,USA
  25 Denver Auditorium Arena,Denver,CO,USA
  26 Salt Palace,Salt Lake City,UT,USA
  27 The Forum,Inglewood,CA,USA
  28 Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA
  29 Hofheinz Pavilion,Houston,TX,USA
  30 Civic Arena,Pittsburgh,PA,USA
  31 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA

 April
  01 Boston Garden,Boston,MA,USA
  02 Charleston Civic Center,Charleston,SC,USA
  03 Macon Coliseum,Macon,GA,USA
  04 Indiana State Fairgrounds Coliseum,Indianapolis,IN,USA
  05 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
  06 Fulton County Stadium,Atlanta,GA,USA
  07 Charlotte Coliseum,Charlotte,NC,USA
  08 Dorton Auditorium,Raleigh,NC,USA
  09 Curtis Hixon Hall,Tampa,FL,USA
  10 Miami Beach Convention Center,Miami Beach,FL,USA
  11 Kiel Auditorium,St. Louis,MO,USA
  12 Met Center,Bloomington,MN,USA
  13 Montreal Forum,Montreal,QC,CANADA
  14 Ottawa Civic Centre,Ottawa,ON,CANADA
  15 Winnipeg Arena,Winnipeg,MB,CANADA
  16 Roberts Municipal Stadium,Evansville,IN,USA
  17 Mid-South Coliseum,Memphis,TN,USA
  18 Arizona Veterans Memorial Coliseum,Phoenix,AZ,USA
  19 Las Vegas Convention Center,Las Vegas,NV,USA

1970 North American Tour Dates [Summer]
 August
  10 Hampton Roads Coliseum,Hampton,VA,USA
  15 Yale Bowl,New Haven,CT,USA
  17 Hampton Roads Coliseum,Hampton,VA,USA
  19 Municipal Auditorium,Kansas City,KS,USA
  20 State Fair Coliseum,Oklahoma City,OK,USA
  21 Assembly Center,Tulsa,OK,USA
  22 Tarrant County Convention Center,Fort Worth,TX,USA
  25 Nashville Municipal Auditorium,Nashville,TN,USA
  26 Public Auditorium,Cleveland,OH,USA
  28 Olympia Stadium,Detroit,MI,USA
  29 Man-Pop Festival,Winnipeg Arena,Winnipeg,MB,CANADA
  31 Milwaukee Arena,Milwaukee,WI,USA

 September
  01 Seattle Center Coliseum,Seattle,WA,USA
  02 Oakland Coliseum,Oakland,CA,USA
  03 San Diego Sports Arena,San Diego,CA,USA
  04 The Forum,Inglewood,CA,USA
  05 Neal S. Blaisdell Arena,Honolulu,HI,USA
  06 Neal S. Blaisdell Arena,Honolulu,HI,USA
  07 J.S Dorton Arena,Raleigh,NC,USA
  09 Boston Garden,Boston,MA,USA
  12 Cleveland Public Hall,Cleveland,OH,USA
  14 War Memorial Auditorium,Rochester,NY,USA
  17 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA
  19 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
      ⇒ [2 Shows]

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