5月5日(土)は,『 ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018 』(:La Folle Journee Tokyo 2018) の一環として京橋エドグランで行われた m.s.t. のフリー・ライブへ.

 
 
 ラ・フォル・ジュルネ(:熱狂の日) は,フランスの港町に端を発し,複数会場で同時並行的に約45分前後のコンサートが朝から夜まで繰り広げられるクラシック音楽祭.
 この音楽祭の人気は2000年頃から国外へも拡がり,2005年には日本の東京国際フォーラム,2010年には新潟,びわ湖,2011年には鳥栖等で開催されるようになりました.
 今回は,その一環で行われている丸の内エリアコンサートの一会場である京橋エドグランに参戦.
 
 m.s.t は 「 Make the Scenery Tune ~景色に音を~ 」 の頭文字をユニット名に,西野カナさんやももいろクローバーZ 他、様々なライブ・サポート等で活躍している作編曲家&ピアニストの 持山翔子さん,作編曲家&ベーシストの 小山尚希さんによるジャズ・クラシックを基盤にしたユニット.
 この日は,このお二人に加えて,フルートに 酒井麻生代さん,ドラムに 河村亮さんを加えたカルテット編成での出演.

 公演中に持山翔子さんが MC でも言っていましたが,イベントのコンセプト(:クラシックの祭典)や,m.s.t. の楽曲の基盤がクラシックにあり今回演奏する曲等を考え,クラシック出身の酒井麻生代さん,そして繊細さも持ち合わせたドラマーと言うことで河村亮さんにお願いしたようです.
 
 このイベントも,またこの会場へ行くのは初めてでしたが,地下一階のエスカレータ横を演奏スペースとして使用,地下一階への幅の広い階段にマットを敷いて観客席化した会場.

 
 
 開演30分前の13時00分前後に到着したのですが,既にセンターは満席,サイドも 8割方埋まっている状況.
 それにしても観客の数が多い.最終的に立見も入れて120~30人前後いたのでは無いでしょうか.

 主催者側からは,13時30分~ と 17時00分~の 2回の Stage が予定されているが,2回とも演奏曲を変更して行う旨のアナウンスがあったので,当然,2回聴く予定で 1st Stage に臨みます.(笑)

 

 定刻通りに始まった 1st Stage.

 

 簡単な m.s.t. とメンバー紹介の後 「 2nd ミニ・アルバムに収録されている,ドビュッシーの"パスピエ"(:"Passepied").原曲はピアノ・ソロですが,アルバムではピアノ・トリオで演奏しています.ドラムはカシオペアの神保彰さんがスペシャル・ゲストとして叩いていますので,是非,そちらも聴いてみて下さい. 」 との MC に続き,1st Stage は,ドビュッシー(:Debussy)のベルガマスク組曲(:Suite bergamasque)の第4曲:"パスピエ"(:"Passepied") から演奏がスタート.

 

 いやいや,少々ハードなアレンジですが,素晴らしいアレンジだと思います.

 
 
 「 次の曲は,”朝靄” と言う曲です.朝靄は温度差等により発生するのですが,その雰囲気も含めて感じて頂けたらと思います. 」 .
 2曲目は,ベースの小山尚希さんのオリジナルで,昨年4月にリリースした m.s.t の 1st ミニ・アルバム 『 Pianium (ピアニウム) 』 収録の "朝靄".
 この "朝靄" は中間部でのフルートとキーボードのソロが素晴らしかったです.

 

 「 次の曲は,このイベントが切っ掛けでアレンジした曲.皆さんもメロディーは知っているかも知れませんが,ベートーベン作曲の ”悲愴” です.第1楽章~第3楽章まであるのですが,第1楽章と第3楽章は非常に暗く,第2楽章は多少明るいので選択し,大胆に 7拍子アレンジしました.
  3曲目は,導入部はベースがメロディを弓弾きしていた ベートーベン(:Beethoven)のピアノソナタ第8番:"悲愴"(:"Pathétique")の第2楽章(:2nd Movement).
 "悲愴" はキース・エマーソン(:Keith Emerson)もザ・ナイス(:The Nice)時代に演奏していましたねぇ.

 

 4曲目はビル・エヴァンス作で,ミニ・アルバム 『 Pianium (ピアニウム) 』 にも収録されている "Waltz For Debby".

 「 次は私のオリジナルで "夢" と言う曲です.夜 見ている夢をイメージして作った曲です.夢のぐちゃぐちゃ感 等もあり,それもイメージして聴いて欲しいと思います. 」 との MC に続いて同アルバム に収録されている "夢".
 この ”夢" は,クラッシック調で導入部や終盤部は,エマーソン・レイク・アンド・パーマーが扱う楽曲のような感じがしましたし,途中からスイングのリズムもあり,拡がりのある楽曲でした.

 

 既に,この時点で予定公演時間を終了していたようで,主催者側に目線を送り確認すると主催者側も快諾.
演奏時間40分の予定でしたが,後 1曲演奏したいので,聴いて下さい. 」 との MC に続き,酒井麻生代さんが抜けたトリオ編成で同アルバムのタイトル・チューン "Pianium" を演奏し,1st Stage を締め括りました.

 

  2nd Stage は,17時00分開演予定なので,遅めの昼食がてら八重洲地下街へ.

  1st Stage の開演前の席の状況を鑑みて,45分前後前に開場に到着したのですが,この時も既にセンターとサイドの良い席の確保は出来ずじまい.
 結局 1st Stage とは真逆の席が空いていたので,そちらを確保.

 

 定刻になりメンバーが登場.
 
  2nd Stage は,昨年10月にリリースした 2nd ミニ・アルバム 『 緑と風 』 収録で小山尚希さん作曲の "羅針儀" からスタート.

 
 
 「 ラ・フォル・ジュルネと言う事で,次の曲はチャイコフスキーの ”弦楽セレナーデ" を演奏したいと思います.この曲は 1楽章から 4楽章までありますが,冒頭の部分で特に有名ではないかなと思われる部分をモチーフにして,このカルテット用に拡げてアレンジした曲です.原曲はその名の通りストリングのみでバイオリン,ビオラ,チェロ,コントラバスですが,このカルテットの演奏も楽しんでいただけたら思います. 」 との MC に続き,2曲目は,チャイコフスキー(:Tchaikovsky)作曲の "弦楽セレナーデ".

 

 「 m.s.t の音楽はクラシックを基盤にしており、普段はグランド・ピアノを使用して演奏しているのですが,今までとは毛色の違う曲.エレクトリックな曲を一曲お届けします.カーニバル(:Carnival)と名付けました.お聞きください.」 との MC に続き,3曲目はオリジナルで "Carnival” .

 

 「 次の曲は 2nd ミニ・アルバムに収録されている曲で,"パスピエ"(:"Passepied").ドビュッシー(:Debussy)のベルガマスク組曲(:Suite bergamasque)の中の一曲で,アルバムでは神保彰さんがドラムを叩いていますが,今日はラ・フォル・ジュルネ・バージョンでお聴きください.

 

  4曲目は,2nd ミニ・アルバム 『 緑と風 』 に収録されているベルガマスク組曲(:Suite bergamasque)の第4曲:"パスピエ"(:"Passepied").

 

 「 次の曲はバラードのオリジナル曲です.出会い等により,最初は一人の願いや想いや夢がを共有するとこによって,それがどんどん拡がって行くことを願って書いた曲."願い" 聴いてください.

 

  5曲目も,同アルバムから,持山翔子さん作曲の "願い".

 

 「 今日,この場所に来て最初に感じたのは,外が見えて緑が見え,風も少し入ってくるので 「 やったぁ 」と思いました.正にこの情景,緑と風をイメージしたオリジナルです.

 

  2nd Stage 最後は,同アルバムのタイトル・チューンでお二人による共作のオリジナル "緑と風" をトリオ編成で演奏し,この日の公演を締め括りました.

 

  1st Stage 同様に既に,"願い" が終了した段階で予定公演時間を過ぎていたようなのですが,主催者側に確認すると主催者側も快諾して無事 "緑と風" を演奏する事ができました.

 持山翔子さんの MC も長かったとは思えないのですが,予定した公演時間(:40分)内に収まりきらなかったようです.
 ともあれ,両 Stage 共,主催者側スタッフの快諾により,予定公演時間を 5分強のオーバで,予定曲を全て演奏できた事は何よりでした.
 でも,元々のイベントは,どの会場も基本 45分/1 Stage 前後の演奏のはずなので,オーバーして丁度良い時間になったはずなんですけどね.(笑)
 
 セット・リストも, 1st Stage が 1st ミニアルバム,2nd Stage が 2nd ミニアルバム中心で,各 Stage の最後は,各々のアルバムのタイトル・チューンの曲,そして各 Stage にクラシック曲アレンジを 2曲入れ,ある意味 m.s.t. の流れに沿っていると言うか,良く考えられたものだと感じました.またアトリウム的な作りの場所での演奏で,適度に残響音もあって,相乗効果もあったと思います.

 今回,この m.s.t. を生で初めて聴きましたが,非常に良かったですし,ハマりますね.(笑)

 演奏終了後の物販コーナーには,かなりの人数のお客さんが集まっていたので,CDは相当数売れたでしょうか.

 [Member]
  持山 翔子 (m.s.t.) : Piano
  小山 尚希 (m.s.t.): Bass
  酒井 麻生代 : Flute
  河村 亮 : Drums
 
 [Set List]
  1st Stage
   1. Passepied
   2. 朝靄
   3. 悲愴 第2楽章
   4. Waltz For Debby
   5. 夢
   6. Pianium (#)
 
  2nd Stage
   1. 羅針儀
   2. 弦楽セレナーデ
   3. Carnival
   4. Passepied
   5. 願い
   6. 緑と風 (#)

  (#) 酒井麻生代さんを除いたトリオ編成

[参考]

Predawn
~景色と連なり~




 Pianium (ピアニウム)
 

 m.s.t.アルバム「Pianium」よりAlive
 

 緑と風
 
 m.s.t. 緑と風 ダイジェスト版
 
 m.s.t.「緑と風」
 

Silver Painting
シルバー・ペインティング