私的には勝手に黄金期だと思っている第二期ディープ・パープル(ジョン・ロード,リッチー・ブラックモア,イアン・ペイス,ロジャー・グローヴァー,イアン・ギラン)は,再来日最終公演である1973年6月29日大阪厚生年金会館を最後に,ヴォーカルのイアン・ギラン(:Ian Gillan)とベースのロジャー・グローバー(:Roger Glover)が脱退,その後,ヴォーカルのデイヴィッド・カヴァデール(:David Coverdale)とベースのグレン・ヒューズ(:Glenn Hughes)を迎え第三期ディープ・パープルがスタートします.

 第三期ディープ・パープルは,1973年10月4日ドイツはミュンヘンのオリンピック・ホールで行われたロック・ミーツ・クラシック(:Rock meets Classic)出演後,12月9日デンマークはコペンハーゲンの K.B.ハレン公演を皮切りに,12月17日オーストリアはインスブルックのオリンピックスタジオン公演まで,また約 1ヵ月のブレイクを挟み,年明けの 1月20日フランスはパリのパレ・デ・スポーツ公演を皮切りに,1月26日ドイツはフィリップスハレ公演まで欧州ツアーを行います.

 その後,3月3日ミシガン州はデトロイトのコボ・ホール公演を皮切りに,4月9日カリフォルニア州はサンディエゴのスポーツ・アリーナ公演まで,そして間に英国ツアーを挟み,8月24日フロリダ州はマイアミのオレンジ・ボール・スタジアム公演を皮切りに,8月30日テキサス州はヒューストンのアストロドーム公演まで北米ツアーを行いますが,本CDは,この北米ツアーの 1st レグと 2nd レグに挟まれた英国ツアーの公演を収録したものです. 

 この英国ツアーは,4月18日英国はダンディーのケアド・ホール公演を皮切りに,5月29日コヴェントリーのコヴェントリー・シアター公演まで行われていますが,本CDはツアー中盤に当たる 5月15日マンチェスターのキングス・ホール(ベル・ビュー)公演をオーディエンス収録し Darker Than Blueレーベルより 4月にリリースされた 『 Manchester 1974 (Darker Than Blue 263/264) 』 です.

 因みに,この英国ツアーの帯同バンドは,後のレインボー結成時にヴォーカルとなるロニー・ジェイムズ・ディオ(:Ronnie James Dio)を有した,レインボーの前身バンド:エルフ(:ELF)なのは有名な話.

 少し籠った感のある音で,少しオーディエンス・ノイズも入りますが,録音された年代を考慮すれば,充分な高音質でしょう.そして完全収録と言うのも有難い.
 時期的にはアルバム 『 Live In London 1974 』 に収録されている 5月22日ロンドンのキルバーン公演の丁度 1週間前に当たり,バンドの演奏も素晴らしく,特に 『 2001: A Space Odyssey (2001年宇宙の旅) 』 で有名なリヒャルト・シュトラウス作曲の "ツァラトゥストラはかく語り"("Also sprach Zarathustra)を導入部に含んで演奏される 30分超の "Space Truckin'" は聴きものです.
 
 メーカー情報では
 『新たな才能を迎え、より芳醇になった第3期DEEP PURPLE。
 その貴重な長尺ライヴアルバムが永久保存プレス2CDで登場です。
 本作に収められているのは「1974年5月15日マンチェスター公演」。オフィシャルの名盤『LIVE IN LONDON』のちょうど1週間前にあたるコンサートであり、その貴重な特級オーディエンス録音です。

 “BURN TOUR”のプレス・タイトルは久々でもありますので、まずはツアー全体像からショウのポジションを確認しておきましょう。

 【1973年】
  ・12月9日-17日:欧州#1(5公演)
 【1974年】
  ・1月20日-26日:欧州#2(5公演)
  《2月15日『BURN』発売》
  ・3月3日-4月9日:北米#1(28公演)
  ・4月18日-6月27日:英国(25公演)←★ココ★
  ・8月24日-30日:北米#2(4公演)
  ・9月18日-28日:欧州#3(9公演)
  《11月『STORMBRINGER』発売》

 これが第3期DEEP PURPLEのステージ・デビューから『嵐の使者』までの歩み。
 本作のマンチャスター公演は、唯一の母国ツアーの15公演目にあたるコンサートでした。

 そんなショウを記録した本作は、実に見事なヴィンテージ・オーディエンス。
 実のところ、このショウには以前から音の記録が存在し、この時期を代表する名録音として知られてきました。本作も録音自体は同じなものの、既発とは経路の異なる新発掘マスターなのです。何よりも素晴らしいのはクリアさ。そもそもサウンドボードと間違えるようなタイプではなかったわけですが、その空気感は透き通っており、各楽器がダンゴにならず1音1音までくっきり。
 「Burn」で激しく放たれる熱気、「Mistreated」ではじっくりと醸成されていく現場の温度をビビッドに感じる。まるで会場の壁に空いた穴がそのまま時空を超えてスピーカーに直結しているようなリアル・オーディエンスなのです。
 そんな録音の旨みは既発でも感じられましたが、本作のマスターはジェネが若いのか、さらに生々しく、鳴りもナチュラル。実のところ、既発はマスター劣化のせいか、イコライジングのせいか高音が歪んでおり、特に耳に突き刺さる金物系が厳しかった。それに対し、本作はクリアさもそのままに、鳴りはグッと自然。より一層、現場そのもののサウンドを味わえるのです。

 そのナチュラル・サウンドで描かれるのが、“フルスケールのLIVE IN LONDON”とも言える素晴らしいショウ。名盤『LIVE IN LONDON』は”5月22日”のキルバーン公演を収録しており、本作とは1週間しか違わない。それだけにバンドのコンディションや演奏のテンションは酷似しているのです。

 しかし、名演ぶりは似ていても、長さはまるで違う。「Space Truckin’」はもちろんのこと、アンコール「Going Down」「Highway Star」も収録した破格のロング・レコーディングなのです。
 実のところ、「Highway Star」は約2分半で演奏がブレイクし、本作も終了します。そのまま終演になったのか、はたまたリプライズでフル演奏し直したのかは分かりませんが、それでも本作こそが第3期でも極初期の「Going Down」であり、「Highway Star」には違いない。フレッシュでありながら、野心漲るアンコールがしっかりと味わえるのです。

 2人の新メンバーを迎えつつ、リッチー・ブラックモアも情熱のすべてを傾けていた第3期DEEP PURPLEの初期。その素晴らしい熱演をフルスケールで味わえる類い希なるライヴアルバムです。新たなマスターで最高峰を更新した名録音。永久保存プレス2CDでたっぷりとお楽しみください。』

Manchester 1974 (Darker Than Blue 263/264)
 
 Live At Belle Vue Kings Hall,Manchester,UK 15th May 1974.

  Disc 1
   1. Intro.
   2. Burn
   3. Might Just Take Your Life
   4. Lay Down Stay Down
   5. Mistreated
   6. Lazy Intro.
   7. Smoke On The Water
   8. Keyboards Solo
   9. You Fool No One
  10. Guitar Solo
  11. Blues
  12. You Fool No One (Reprise)
  13. Drums Solo
  14. The Mule
  TOTAL TIME (65:39)

  Disc 2
   1. Space Truckin'
   2. Going Down
   3. Highway Star
   TOTAL TIME (39:54)

 David Coverdale : Vocal
 Ritchie Blackmore : Guitar
 Glenn Hughes : Bass, Vocal
 Jon Lord : Keyboards
 Ian Paice : Drums

 Burn 
 
 Mistreated 
 
 Highway Star 
 

[参考]

Burn (紫の炎)
[30th アニバーサリー
       :SHM-CD]



Live In London 1974



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