1974年8月郡山で開催した 「One Step Festival (ワン・ステップ・フェスティバル)」 に引き続き,内田裕也氏が音頭を取って,これまで外タレ来日時に前座程度しか出演できなかった日本のロック・バンドと海外のロック・バンドは対当であるべきとの方針から,内外のバンドを一同に集めて 「日本のバンドを前座としてでなく,公平に紹介する」 ことを第一主義とし,1975年8月に開催された 「World Rock Festival Eastland (ワールド・ロック・フェスティバル イーストランド)」.
 出演メンバはジェフ・ベック,ニューヨーク・ドールズ,フェリックス・パッパラルディ,四人囃子,クリエイション,カルメン・マキ&OZ,外道 等,日米英のバンドが一同に集結することもあり,当時としては凄いコンサートでした.

 本CDは,この 「World Rock Festival Eastland (ワールド・ロック・フェスティバル イーストランド)」 初日に当たる,8月3日北海道は札幌の真駒内屋内競技場公演をオーディエンス収録したものです.
 因みに,同フェスティバルの 8月5日名古屋は愛知体育館での公演は 『World Rock Festival Nagoya 1975 (No Label)』 で,8月7日東京は後楽園球場での公演は 『World Rock Festival (Wardour-095)』 で聴く事ができます.

World Rock Festival Eastland 開催日程
 8月3日 札幌 (真駒内競技場)
 8月5日 名古屋 (愛知体育館)
 8月6日 京都 (丸山公園野外音楽堂) (キャンセル)
 8月7日 東京 (後楽園球場)
 8月9日 仙台 (菅生トレール・ランド) (キャンセル)

 この時のジェフ・ベックはオフィシャルアルバム 『 Brow By Brow (ブロウ・バイ・ブロウ) 』 のリリースに伴う,長い北米ツアーの後の来日であり,1973年5月のベック,ボガート&アピス(:Beck,Bogert & Appice)としての初来日についで,2度目の来日となりますが,メーカー情報にも記載されている通り,風邪の悪化に伴い,体調は最悪の状態で,演奏時間も直前の北米ツアーに比べ短時間で終了しています.

 先ず,内田裕也さんの 「いろいろありましたけれども、遂にやってきましたジェフ・ベック!」 の MC に続き,登場するジェフ・ベック.
 ジェフ・ベックの「Thank You.The Beatles Song...Bernard Purdie On The Drums!」 との紹介に導かれ,ドラムのイントロから,途中でトーキング・モジュレータを使用した,ビートルズのナンバー "She's A Woman" を演奏.通常この時期は "Constipated Duck" がオープニングを飾り "She's The Woman" は,2曲目なのですが,体調不良の影響で演奏時間を短縮せざるを得ない状況でしょうから,"She's A Woman" がオープニングとなっています.この "She's A Woman" のトーキング・モジュレータの使用する部分では,当時初めて見る観衆に受けます.間髪入れずにドラムのリズムから,キーボードが入り,観客が手拍子をし "Freeway Jam" が開始されます.
 続けてドラムを挟んで,殆どシームレスでスライド・バーを使用したギター・ソロを披露する "Definitely Maybe" .このギター・ソロ内では,高音部で小鳥の鳴き声を模した音色を出しており,ソロ全体も中々のものです.
 次に,再度トーキング・モジュレータを使用した "Superstition" を演奏しますが,この曲は既にベック,ボガート&アピスの来日公演,ライブ・アルバム等にも収録されているので,ギターのリフが始まると,観客の歓声と手拍子が起こります.こちらも間髪入れずにドラムのリズムから乗りの良い "Air Blower".
 続けて,当時シングル・カットされた "Cause We've Ended As Lovers" ですが,多分,この前には,短いマックス・ミドルトンのキーボード・ソロがあるはずなのですが,その部分はアナログLP収録の時間的な問題によりカットされたのだと推測します.
 最後は "You Know What I Mean" で締めますが,この日の演奏を聴く限り,体調が悪い事は微塵も感じられない演奏をしており,流石プロ.

 音像が非常に近く,高音質なオーディエンス録音と言えます.
 最近ではリリースされていない公演日だけに,アナログ落としと言えども,このリリースは嬉しい限り.この全長晩のテープが発掘されないでしょうかねぇ...

 メーカー情報では
 『ジェフ・ベックの来日史上でも無類の波瀾となった2回目の1975年。その初日となる「1975年8月3日札幌・真駒内屋内競技場」が最高サウンドのプレスCDで蘇りました。
 本作の要は、その素晴らしいサウンドにあるわけですが、その前に当時の状況を振り返ってみましょう。
 この年の来日公演は、今や伝説とさえなっているロックイベント“第1回WORLD ROCK FESTIVAL EASTLAND”にともなって企画されたもの。大名盤「BLOW BY BLOW」をリリースしたばかりのジェフ・ベックはイベントの目玉の1つだったわけですが、肝心要のジェフが体調不良になってしまったのです。事の発端は、来日の1週間前となる7月26日でした。ニューオーリンズでのスタジアム公演だったのですが、あいにくの雨模様。そこで風邪をひいてしまったジェフは、アトランタ公演をキャンセルして回復を図りつつ、ハワイへ。
 ところが、本人の意向通りに回復できないまま7月30日のハワイ公演を強行したところ、体調はさらに悪化してしまったのです。本来であれば、数日前に来日して準備万端で臨むところですが、少しでも体調を戻すため、ハワイでギリギリまで療養。他のメンバーは先に札幌入りしていましたが、ジェフが羽田空港に到着したのは、初日となる札幌公演当日(!)の15時過ぎだったのです。そして、羽田から札幌へ急ぐジェフ。

 一方の会場では、どうだったのか。現代の感覚ではキャンセルになっているところですが、ジェフの到着を今や遅しと待っていました。ジェフの出番はおろか、全バンドの演奏はとうに終わり、長い長い休憩タイム。場内には、“飛行機の遅れていたジェフが千歳空港に到着し、札幌へ向かっている”という旨のアナウンスが流れたそうです。そして、ようやく駆けつけたジェフが音合わせを10分ほど行い、ステージに立ったのは、全バンドの終演から実に70分が経った時でした。本作が語り始める会場は、そんな刹那だったのです。

 かの有名なイベント主催者による「いろいろありましたけれども、遂にやってきましたジェフ・ベック!」の声で始まる本作。そのサウンドは、実に実に素晴らしい。この日の録音は伝説的なアナログ「JEFF BECK LIVE IN JAPAN(POTK-001)」くらいしか存在しませんが、本作はそのオリジナルLPからダイレクトにCD化したものです。このLPからは「WORLD ROCK 1975」といった既発CDもありましたが、オリジナルLPにはなかった耳障りなノイズが全編を覆い、音切れも散見するものでした。その一方、本作は国内のコアコレクターが新品同様で秘蔵していた極上盤を使用。さらにはスクラッチ・ノイズの1つひとつまで丁寧にトリートメントするマスタリングを施し、LP片面ずつの制約で変えられていた曲順も修正いたしました( Superstition と Air Blower )。もちろん、元来オリジナルLPが封入していたナチュラルなサウンドはそのままに、過剰なイコライジングは一切行っておりません。当日コンサートの全編を可能な限り忠実に再現する1枚に仕上げたのです。実際、そのサウンドはアナログ特有の暖かみにあふれながらも素晴らしくクリア。黒人メンバーで固めたリズム隊が弾き出すグルーヴは生々しく、その上で踊るジェフのわがままギターも極めて鮮やか。控えめながらも美しいマックス・ミドルトンのキーボード・サウンドも最高です。
 そんな見目麗しいサウンドで描かれるライヴは、ギリギリまで療養していたことが間違いではなかったことを証明しています。まだ万全ではなく、名古屋では名演を繰り広げつつも、急性肺炎にまで悪化して京都公演がキャンセルせざるを得なくなりますが、本作の演奏はそんなギリギリの体調とはとても思えない。その甘いトーン、鋭いカッティング、キレにキレるフレーズの鮮やかさ。いつの時代もどんな音楽でも素晴らしいジェフではありますが、大名盤「BLOW BY BLOW」を創りあげた“1975年”がいかに特別であったのかを、千の言葉よりも雄弁なギターが物語ってくれる。当時の現場では、待ちに待たされた観客が騒然とした雰囲気だったそうで、本作の冒頭にもその空気は感じ取れる。しかし、ジェフがほんの数小節弾いただけで、そのトーンに心奪われ、シンの静まりかえる様子もまた、はっきりと刻まれているのです。

 遅れに遅れただけに、アンコールなしの44分ほどのライヴではありますが、その全編を可能な限りの最高サウンドで蘇らせた極上のライヴアルバム。波乱に満ちた現場の空気だからこその演奏を現代に伝えてくれるドキュメントアルバムです。40年という時間を超えて音楽を守ったアナログ盤と、現代の技術だからこそなし得た最高クオリティ。ぜひ、蘇った名録音をご体験ください。』

Sapporo 1975 (Wardour-164)
 
 Live At Okunai Kyogijo,Makomanai,Sapporo,Japan 03rd August 1975
 Taken From The Original LP "Jeff Beck Live In Japan"(POTK-001)

  1. Intro.
  2. She's A Woman
  3. Freeway Jam
  4. Definitely Maybe
  5. Superstition
  6. Air Blower
  7. Cause We've Ended As Lovers
  8. You Know What I Mean
  TOTAL TIME (43:53)

 Jeff Beck : Guitar
 Wilber Bascomb : Bass
 Bernard Purdie : Drums
 Max Middleton : Keyboards

 Intro. 
 
 Air Blower 
 
 Cause We've Ended As Lovers 
 

 本商品のナンバー入りステッカー付きに限って,来日直前の公演に当たる 1975年7月30日ハワイ州はホノルルのNBCアリーナ公演をオーディエンス収録した 『Honolulu 1975 (Special Bonus CDR)』 が付属しています.

 音像も割りと近く,収録された年代を考えれば,非常に高音質な音源です.
 ただマスターからなのでしょうが,若干高音が強く収録されている感があります.
 
 この時も未だ風邪が感知していないので,体調は悪いのでしょうが,そんな感じは一切受けず,素晴らしい演奏を聴く事ができます.
 逆にこの公演で風邪が悪化してしまい,来日を遅らせているので,文字通り身を削った演奏と言えるでしょう.
 
 メーカー情報では
 『本編プレスCDの解説でもご紹介しましたが、1975年のジャパンツアーは、ジェフの来日史上でも類を見ない波乱で幕を開けました。その初日を極上サウンドで蘇らせた「SAPPORO 1975」の誕生を記念し、来日直前のハワイ公演をボーナスでお贈りします。
 本作は「1975年7月30日ホノルル公演」を収めたオーディエンス・アルバムです。ジェフが風邪をこじらせたのは、7月26日ニューオーリンズで、次の7月28日アトランタ公演はキャンセル。このホノルル公演は、体調の回復を図りながらも強行されたステージで、長年「さぞや厳しいライヴだったんだろう」と思われてきたライヴなのです。
 そんな半ば定説じみていた認識をひっくり返したのが、本作なのです。「IN HAWAII 1975(Masterport-037)」として初めて世に出た録音で、なによりもオリジナル・マスター(夏期ハワイ研修に参加した日本人学生の録音、テープとチケットの写真付き!)からダイレクトにCD化したクリアでビビッドなサウンドが大きな話題となりましたが、そのサウンドで刻まれたライヴそのものも凄かった。数ある「BLOW BY BLOW」時代の録音でも最高峰とさえ言える絶好調パフォーマンスが吹き出してきたのです。本編プレスCDに刻まれた札幌公演も十分に素晴らしい演奏でしたが、ことテンションで言えば、本作の方が上。札幌では演奏されなかったオープニングの「Constipated Duck」からしてキレにキレ、冴えに冴えまくるギター。1音1音が切っ先鋭く、ピッキングニュアンスまでも国名に伝えるサウンドで繰り広げられる。これが体調不良に悩む人間が奏でる音だとは……。
 さらに、やはり札幌では演奏されなかった「Power」「Got The Feeling」「Diamond Dust/Jeff's Jam」もたっぷりと披露されるフルセット。特にスタンリー・クラークのカバー「Power」や「Jeff's Jam」はこのツアーでしか演奏されていない貴重なテイク。そのサウンドと名演ぶりに、後にプレス化も果たした名録音ですが、本作ではオリジナル・カセットが現場で吸い込んだ通り、トレブルのキレも良い生音のままに封入しました。

 これだけの熱演と引き替えに体調を悪化させてしまったジェフ。その身を削るような演奏ぶりを、最高のクリアサウンドで収めた逸品です。1つのライヴアルバムとしても最高級ですが、本編プレスCDと続けて聴くことで、当時のジェフの歩みさえもリアルに浮き立つドキュメント・セットです。ぜひ、2本併せて“「BLOW BY BLOW」時代のジェフ・ベック”に迫る週末をお楽しみください。』

Honolulu 1975 (Special Bonus CDR)
 
 Live At NBC Arena,Honolulu,HI 30th July 1975
 From Original Masters

  1. Constipated Duck
  2. She's A Woman
  3. Freeway Jam
  4. Definitely Maybe   
  5. Superstition
  6. Air Blower
  7. Keyboard Solo
  8. 'Cause We've Ended As Lovers
  9. Power
  10. Got The Feeling
  11. You Know What I Mean
  12. Diamond Dust - Jeff's Jam
  TOTAL TIME (67:50)

 Jeff Beck : Guitar
 Wilber Bascomb : Bass
 Bernard Purdie : Drums
 Max Middleton : Keyboards

 Constipated Duck 
 
 Power 
 
 Diamond Dust - Jeff's Jam 
 


[参考]
 Honolulu 1975 (Special Bonus CDR)
   に使用されたオリジナル・カセット・テープ
 
 1975 JAPAN Tour Dates
  August
   03 札幌真駒内屋内競技場
   05 愛知県体育館
   06 京都円山野外音楽堂 (Cancelled)
   07 後楽園球場
   09 仙台菅生トレールランド (Cancelled)


[参考]






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 「ROCK & POP PARK
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Rock&POP PARK
  プログラムの紹介と,8月7日の後楽園参戦の感想が記載されています.

 「飛龍のロック雑記帳
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-飛龍のロック雑記帳
  8月7日の後楽園参戦の状況が詳細に記載されています.

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