レッド・ツェッペリンの1973年北米ツアーでは,最終公演に当たる 7月27日~29日のニューヨークはマジソン・スクウェア・ガーデン公演から,オフィシャルの映像/映画 『The Song Remains The Same (レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ)』 や,同サウンド・トラックの 『The Song Remains The Same (永遠の詩(狂熱のライヴ)』 がリリースされています.

 本CDは,この最終公演の 1週間前に当たる 7月21日ロード・アイランド州プロヴィデンスはシビック・センター公演をオーディエンス収録しており,古くは,Taranturaレーベルから 『LZ RIDER (LZ-1,2)』 のタイトルでリリースされ,1995年にもイエロー・ジャケットで再発された公演で,メーカー情報にもあるように,演奏が素晴らしく,名演と言っても過言でないでしょう.
 
 最近は,1972年以降の音源の商品は購入しないのですが,思い入れのある公演日は,やはり購入してしまいますねぇ.(苦笑)
 因みに購入したのは,昨年11月末か,12月初なので,既に店頭には無いと思います.m(_ _)m

 SBD(:Soundboard)音源の多い,1973年北米ツアー.
 この日はオーディエンス収録ではありますが,各楽器のバランスも良く,音像的には若干遠さはあるものの,高音質で収録されているが故に,SBD音源よりは迫力があり,ブート初心者でも安心して楽しめる音質となっています.
 テーパーの周りで騒ぐ人はいないですし,拍手等が遠くに聴こえる事を考慮すると,会場内の特別なセクション等で収録された可能性があります.

 オープニングの "Rock And Roll" では,ギター・ソロ部分ではジョン・ポール・ジョーンズのベース・ラインが迷子になって右往左往していますが,ジョン・ボーナムのリズムに助けられつつ,何事も無かったかのように,ジミー・ペイジがソロを弾き終わります.メーカー情報にもあるように,ロバート・プラントも調子が良さそうで,シャウトもよく伸びます.

 "Since I've Been Loving You" や,"No Quarter" でのギター・ソロも素晴らしく,弾きまくっています.因みに "No Quarter" 終了後に始まる "The Song Remains The Same" は,終盤部のみ収録となっているのが残念.

 本編最後の ”Whole Lotta Love" は,ジミー・ペイジのサーミン・セクションのバックでの,ジョン・ポール・ジョーンズのベース・プレイが光っていますが,マスターに起因するカットの影響で 3分58秒で,いきなり後半の "Let That Boy Boogie" に繋がれてしまい,テーマに戻った 5分25秒にも強引に繋いだ部分もありますが,全体の演奏等を考えると些細な事でしょう.

 メーカー情報では
 『1973年のアメリカ・ツアーと言えば映画やライブ・アルバムといったリリースの存在から、非常に華々しい印象を受けます。確かに、このツアーで ZEP はアメリカでもっとも人気のあるイギリスのロック・グループの座へと登り詰めました。
 ツアーの規模はかつてないほどのスケジュール。前半と後半に分けられ、一カ月のオフまで設けられるほどの行程は、70年代のロック・バンドとは桁違いな人気を全米で獲得した証と言えるでしょう。

 73年アメリカ・ツアーの前半レグはタンパ、ケザー、そしてボンゾの誕生日と三日後という二つのLAフォーラムといった具合で、どちらかというと「ナチュラルなグルーブを保った」名演が多く生み出されています。映画やライブ・アルバムの収録がツアー終盤だったこともあって、なおさら前半レグの独特な雰囲気がマニアの間で高い人気を誇ります。

 ところが後半レグは前途多難なスタートとなりました。その初日、シカゴでは一か月のオフの後だとは思えないほど絶不調なプラントがサウンドボード録音に記録されてしまいます。ツアーが一週間を経過したところ、デトロイト初日の『DETROIT ROCK CITY』でエンジンのかかり始めた様子が聴かれ、17日のシアトルでようやく後半戦の抜きん出た名演が生み出されました。
 そこまでからも感じられるように、後半レグの印象を悪くしていたのはやはりプラントでした。そんな彼がやっと奮起してくれたのがシアトルだったのです。ところが、シアトルでの無理がたたったのでしょう、翌日のバンクーバーはプラントの不調によってライブが大幅に短縮されてしまうという結果に終わってしまいました。さらに20日のボストンになると、今度は観客の騒がしさに愛想を尽かしたバンドがライブ終盤を短く切り上げてしまうという展開へ。

 しかし皮肉なことに、ボストンのライブが短く切り上げられたことが吉と出たのでしょうか、翌日のプロヴィデンスは打って変わった快演となったのです。もちろんキーパーソンはプラント。それまでの数日には見られなかったような気合の入ったシャウトがオープニングから炸裂。「Rock And Roll」のエンディングで聴かれるプラントの全開シャウトを聴けば、彼が奮起している様子がはっきりと伝わってくるのです。
 それどころか、この日のプラントはライブの全編を通して輝きを放ちます。「Since I’ve Been Loving You」でも、後半レグでもそれまでは感じられなかったような気合がみなぎる名唱を聴かせてくれます。プラントが好調だとバンドのプレイ・クオリティが引き上げられるのはZEPのライブ史において一貫して見受けられる現象ですが、ここでも「No Quarter」と「Dazed And Confused」でペイジの滑らかでフレーズの豊かなプレイが素晴らしい!実を言いますと、プラント以外のメンバーのプレイは後半レグ開始時から好調だったのですが、彼らのプレイが散漫になってしまうような出来事がプラントの不調だったのだと言えるかもしれません。
 この後、映画撮影の話も決まってさらにグループ全体の演奏が上向きとなりますが、それが撮影とライブの千秋楽が重なったマディソン・スクエア・ガーデンになるとまた緊張を生み出して微妙な影を落としている感があり、むしろ「上向きでのびのびと演奏している」という点でプロヴィデンスは73年後半レグにおける名演の中でも、間違いなくベスト3に入るものだと言えるでしょう。それほど絶好調なプラントが際立った一日でした。

 そしてこのプロヴィデンスのライブをキャッチしたオーディエンス録音ですが、かなり迫力が感じられる、良好クオリティのオーディエンス録音としても定評高いもの。周囲の盛り上がりもほどほどに、あくまで演奏自体を大きめなバランスで捉えた録音状態が聴きやすさの秘密です。もっとも演奏が大きく録れた分、高音のエッジが微妙に飽和状態と化してしまったことで「シュワシュワ」とした質感がライブ前半を中心とした癖となってしまったのも事実。よってヘッドフォンで聴くよりも、スピーカーから鳴らした方がベターな音源であることは間違いありません。
いくつかの箇所でカットが入ってしまうのがまた玉に瑕で、それが「The Song Remains The Same」になると曲の大部分が未収録という状態です。中にはこの部分を別の日の演奏で補てんしてしまったアイテムも存在したものですが、それ以前に過去のアイテムはイコライズ過剰(それもキンキンに)な状態、ジェネレーション落ち、さらには多くのアイテムに共通していたピッチの狂いという傾向が見られました。少し癖のある音質ながら、それでも聴きやすく、何よりも圧倒的に充実した演奏が聴かれる音源としては意外なほど不遇な扱いなままリリースされてきたのです。しかし今回はファンの間でベストとの誉れ高きdadgadリマスター・バージョンを元にしつつ、もちろんカット部分の小細工なしでの限定プレスCD化を実現させました。そのウォーミーな聴き心地は以前のリリースなど比べ物になりませんし、ライブ中盤で目立っていた遅いピッチの狂いも正確にアジャスト。今までで一番聴きやすい、これが真のプロヴィデンス1973だ!』
ます。

Providence 1973 (No Label)
 
 Live At Providence Civic Center,Providence,RI,USA 21st July 1973

 Disc 1
  1. Intro.
  2. Rock And Roll
  3. Celebration Day
  4. Black Dog
  5. Over The Hills And Far Away
  6. Misty Mountain Hop
  7. Since I've Been Loving You
  8. No Quarter
  9. The Song Remains The Same
  10. The Rain Song
 TOTAL TIME (61:32)

 Disc 2
  1. Dazed and Confused
  2. Stairway To Heaven
  3. Moby Dick
  4. Heartbreaker
  5. Whole Lotta Love
  6. The Ocean
  TOTAL TIME (73:16)

 Since I've Been Loving You
 
 No Quarter
 
 Whole Lotta Love
 
 The Ocean
 

 本商品の初回ナンバー入りステッカー付きに限って,プロヴィデンス・シビック・センター公演の翌々公演となる 7月24日ピッツバーグはスリー・リバー・スタジアム公演をプロショット収録したボーナスディスク 『Pittsburgh 1973 (Special Bonus DVDR)』 が付属しています.

 こちらの映像もオフィシャル・サイトで観る事ができるので,目新しくはありません.

 メーカー情報では
 『1973年7月24日のピッツバーグ公演を収録。今回のプレス盤のプロヴィデンス、ボルチモア、そして本ピッツバーグ公演と、次の「永遠の詩」の映画・サントラが収録されたニューヨークMSG公演に向けて、圧倒的なライヴが連夜披露されたこの時期。
 青空の下、専用機「スターシップ」で空港に降り立ったメンバーの様子と移動シーン、そしてその夜のRock And RollとBlack Dogのライヴ映像を収録しています。ステージ向かって右サイドからのワンカメラ・プロショット映像で、映画撮影の予行演習として撮られたと思われる映像に、当日のオーディエンス録音をシンクロさせたもので、短いながらも、見応えのある内容です。』

Pittsburgh 1973 (Special Bonus DVDR)
 
 Live At Three Rivers Stadium, Pittsburgh, PA. USA 24th July 1973 PRO-SHOT
 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 5min.

  1. Bron-Y-Aur Stomp
  2. Rock And Roll
  3. Black Dog
  TOTAL TIME (4:34)

 こちらの映像もオフィシャルがらみなので,削除する事になると思いますが,張り付けておきます.

  Pittsburgh 1973 (収録の録されている映像)
 


[参考]
 LZ RIDER (LZ-1,2)