1971年8月の初来日,1972年3月の再来日の大阪フェスティバル・ホール公演をオーディエンスで収録したファンの間では有名な 3枚組アナログ盤「Pink Floyd (KP339-KP344)」をアナログ原盤よりCDに落とし込んだもので,2009年7月にリリースされたものです.

 初来日時の1971年は 8月6日と7日が,芦ノ湖半で開催された野外イベント「箱根アフロディーテ」(Memories Of The East (Sigma 24)に収録)で,1日空けた 9日が大阪フェスティヴァル・ホールでの公演でした.この大阪フェスティバル・ホール公演は「Osaka 1971 (Sigma 67)」等としてもリリースされています.
 再来日時の1972年は 3月6日と7日の東京体育館公演に続けて,8日と9日が大阪フェスティバル・ホールでの公演でした.元となっているアナログ盤は再来日時の1972年3月8日をメインに,翌日の3月9日と,1971年8月9日の音源を収録しています.

 若干のアナログ・ノイズ(パチパチ音)があり, 3公演日を組み合わせてバラバラの収録なので,音質の方はまちまちですが,"Fat Old Sun" を聴くと,1971年8月9日の音質の良さが際立ちます.メインとなっている1972年3月9日は音像が若干遠く,多少篭り気味ではあるものの,バランスは良く収録されています.
 メーカー情報にもあるように "Dark Side Of The Moon" は,1972年再来日時にはショウの第一部で演奏されましたが,Disc 3 に入っています.これは元々アナログの再現の為なので致し方ないですが,どうせならば Disc 1 に入れて欲しいところです.

 オフィシャル「The Dark Side Of The Moon (狂気)」リリースの約 1年前に演奏されているプロトタイプの "The Dark Side Of The Moon".
 "On The Run" はデイヴ・ギルモアのギターと,リック・ライトのキーボードのジャムの形式となっており,シンセサイザーを使用した完成版をも想像できません.時計のアラーム音のSE(:Sound Effects)を使用しておらず,若干マイナー調なボーカルメロディー・ラインの "Time"."The Great Gig In The Sky" とクレジットされていますが,この時期は未だ "The Mortality Sequence" と呼ばれていた時期であり,完成版の "The Great Gig In The Sky" で聴かれるような,女性ボーカルのスキャットもサックスも入っていません.同曲ではマイナー調のオルガンをバックに聖書の一節(:エフェソス人への手紙)が朗読されています.またアナログ盤の盤面変更の関係で 2分08秒にフェイド・アウト,2分15秒にフェイド・インがあります.曲終盤のキーボードに,キャッシュ・レジスターのお金のSEが被ってきて,マネーのイントロへと繋がっていきます."Brain Damage" もギターのアルペジオの前面にオルガンがフューチャーされており,完成版と若干イメージが異なります.

 ちなみに翌日アンコールで演奏され,Disc 1に収録されている "A Saucerful Of Secrets" は素晴らしいプレイです.

 なおメインに収録されている1972年3月8日の音源は 4つ(テープ 1~4)存在しており,テープ 1は,本CDの元となっているアナログ盤に使用されているものです.テープ 2は Highlandレーベル「Fourth Eclipsed Night (Highland HL593/594)」に,テープ 3は,同じく同レーベルの「Naniwa – Natural Dark In Osaka 1972 (Highland HL665/666)」と Sireneレーベルの「Darkest Moon (Siréne-007)」に,そしてテープ 2と 3をミックスして Sigmaレーベルの「Assorted Lunatics (Sigma 40)」に,そしてテープ 4は関係者が記録の為に収録したものと言われており Sigmaレーベルの「Missing Piece (Sigma 34)」の Disc 2の "Echoes" に使用されています.
 
 メーカー情報では
 『1972年2度目のフロイドのジャパンツアー終了後、最も早くリリースされた伝説の3枚組アナログ・ブートレッグLP「Pink Floyd」(KP339-KP344) を原盤より復刻。現在、入手は不可能と言っても良く、マニア間で超高額プレミアで極稀に取引されているのみの激レア盤を奇跡の入手。
 しかも針パチひとつない最高のクオリティ!3枚の原盤より丁寧に復刻、各ディスクごとにCD化に成功しました。このアナログ盤は元々、全体的にかなり変則的な内容になっており、メインのテイクは1972年3月8日、大阪初日公演で、この第一部の「狂気」をアナログのDisc 5/6に収録し、第二部の One Of These Days, Eugene, Echoes の3曲をDisc 3/4に収録、更にアンコールの Atom Heart Mother をアナログのDisc 2後半に収録しています(Disc 2前半は1971年8月9日大阪公演のFat Old Sun)。アナログのDisc1には1971年8月9日大阪公演のCymbalineと、1972年大阪公演2日目のアンコール A Saucerful Of Secrets を収録しています。本来なら、時系列どおりに、CDのディスク1に「狂気」、ディスク2に第二部、ディスク3にアンコール「原子心母」とボーナス3曲という構成が、通常考え得る収録内容ですが、本盤は、アナログの構成に準じて作製されています。音像はどのテイクも安定しており、流石アナログ直落しと思わせる鮮度抜群の非常に良質なサウンドで収録されています。

 ディスク1は58分16秒収録。1971年8月9日大阪公演のCymbalineの音質は平均的ですが、続く1972年大阪公演2日目8月9日テイクのアンコール A Saucerful Of Secrets は深みとクリアーさを感じさせる見事な録音で、セットの中でも異彩を放つ最高のテイクになっています。全ての人を押し黙らせる、殺気を孕んだような緊張感を感じさせる、この時期のフロイドの強靭な精神力に満ちた抜群の演奏です。1971年8月9日大阪公演の Fat Old Sun の音質は非常に良好で、ライン録音並のクリアさでスピーカーから迫ってきます。「Darkest Moon」でお馴染みの1972年大阪初日アンコールの Atom Heart Mother は硬質でソリッドなサウンドで収録されており、パンチの効いたドラムサウンドが嬉しいテイクになっています。

 ディスク2は50分の収録。1972年大阪初日の第二部をそのまま収録しており、若干くぐもったサウンドですが、分厚い音の壁のような迫力を存分に感じさせてくれます。ヒスノイズはあるものの、楽音はクリアーに収録されています。音質は曲が進むごとに良くなってくる感じです。

 ディスク3は1972年大阪初日の「狂気」を50分収録。音質は非常に優れており、ワイドで深みもあり、ヒスもすくなく、音圧・パンチともに十分にあるベストテイク。3ディスクとも全てのピッチの補正は施してあります。本盤の2時間38分もの音源は、これまでCDタイトルとしては、一切リリースされることがなかったので非常に貴重です。殆どの方にとって初めて聴くソースではないでしょうか。日本の音源コレクターにとって、歴史的にも非常に重要な音源が、3枚組プレスCDタイトルにて、奇跡のリリース決定です。

★beatleg誌 vol.111(2009年10月号)のレビュー要約です。ご参考まで。
全フロイド・ファン衝撃のタイトルが緊急リリースされたのでそれに触れてみたい。1971年と1972年の大阪公演を収録した3枚組の海賊盤LP「Pink Floyd(KP339-KP334)」、通称「Osaka Triple」を覚えておいでだろうか。フロイドの海賊盤の中でもレア中のレア、まさに「幻盤」と呼ぶに相応しい「Pink Floyd」が1972年(推定)のリリースから37年の歳月を経て、「Osaka Triple(Sigma 44)」という新たなタイトルとジャケットに飾られて、遂にデジタル化された。(中略)録音からタイムラグは無く、鮮度の高いうちにダイレクトにプレスされたヴィニール盤は、37年前のマスターカセットの音質や当時の雰囲気を丸ごと真空パックしている。幸運なことに、今回のデジタル化に使用された「Pink Floyd」は、聞くところによるとワンオーナーということで、ヴィニール盤の状態も非常に良好だったそうだ。この「Osaka Triple」の収録曲順は、「Pink Floyd」に準じており、実際の演奏順に並べ替えていない点もきっちりと配慮されている。真空パックが開封され、現代に見事に蘇った「Pink Floyd」・・・経年劣化したカセットテープから製作されたCDとは異なる、新たな「体験」がリスナーを待ち受けているはずだ。是非とも手にとって聴いて頂きたい。』
との事.


Osaka Triple (Sigma 44)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Osaka Triple(Sigma )
 Taken From The Original Analogue Records "Pink Floyd"(KP339-KP344)
 Live At Festival Hall,Osaka,JAPAN 08th March 1972
 *....Festival Hall,Osaka,JAPAN 09th August 1971
 **...Festival Hall,Osaka,JAPAN 09th March 1972

 Disc 1
  1. Cymbaline *
  2. A Saucerful Of Secrets **
  3. Fat Old Sun *
  4. Atom Heart Mother

 Disc 2
  1. One Of These Days
  2. Careful With That Axe, Eugene
  3. Echoes

 Disc 3
  1. Speak To Me
  2. Breathe
  3. On The Run
  4. Time
  5. Breathe (Reprise)
  6. The Great Gig In The Sky
  7. Money
  8. Us And Them
  9. Any Colour You Like
  10. Brain Damage
  11. Eclipse

 ※) 当日のセット・リストは,
   第一部が
    The Dark Side Of The Moon
   第二部が
    One Of These Days 
    Echoes
    Careful With That Axe, Eugene
   アンコール
    Atom Heart Mother

 
 On The Run
 
 Time
 
 Echoes
 
 Atom Heart Mother
 
 A Saucerful Of Secrets
 


[参考]
 Pink Floyd (KP339-KP344)
 $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Pink Floyd - Pink Floyd (KP339-KP344)
 $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Pink Floyd - Pink Floyd (KP339-KP344) B $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Pink Floyd - Pink Floyd (KP339-KP344) C
 Fourth Eclipsed Night (HL593_594)
 $cinnamonの音楽ときどき競馬予想
 Naniwa – Natural Dark In Osaka (Highland HL665/666)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - Naniwa – Natural Dark In Osaka
 Darkest Moon (Sirene-007)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - Darkest Moon (Sirene-007)
 Assorted Lunatics (Sigma 40)
 cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - Assorted Lunatics (Sigma 40)
 Missing Piece (Sigma 34)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Missing Pieces

 1971 Japan Tour
  August
   06 Hakone Aphrodite,Hakone,JAPAN
   07 Hakone Aphrodite,Hakone,JAPAN
   09 Festival Hall,Osaka,JAPAN

 1972 Japan Tour
  March
   06 Tokyo Taiikukan,Tokyo,JAPAN
   07 Tokyo Taiikukan,Tokyo,JAPAN
   08 Festival Hall,Osaka,JAPAN
   09 Festival Hall,Osaka,JAPAN
   10 Dai-Sho-Gun Furitsu Taiikukan,Kyoto,JAPAN
   11 Kenmin Hall,Yokohama,JAPAN (Cancelled)
   13 Nakajima Sports Center,Sapporo,JAPAN



[関連記事]
 「Memories Of The East (Sigma 24)
  $cinnamonの音楽ときどき競馬予想
 「Osaka 1971 (Sigma 67)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Osaka 1971 (Sigma 67)
 「Missng Pieces (Sigma 34)
  $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Missing Pieces
 「Eclipse Of The Sun (Sigma 84)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Eclipse Of The Sun (Sigma 84)
 「Sapporo 1972 (Sigma 82)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Sapporo 1972 (Sigma 82)
 「Dark Music (Sirene–118)
  $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink