4月16日からの英国ツアーに引き続き,6月4日ドイツはデュッセルドルフのフィリップス・ハレを皮切りに行われた第二次欧州ツアーから,6月26日オランダのアムステルダムセ・ボス公園で行われた,フリーコンサートの内容を収録しており,過去に Ayanamiレーベルからリリースされたもので,かなり古い音源の紹介です.(笑).

 1年前の1970年6月28日ロッテルダムで,35万人を集めて開催された大規模な野外コンサート「クラリンゲン・ポップ・フェスティバル」(通称スタンピング・グラウンド:Stamping Ground)以来のオランダでの野外コンサートを記録したものです.

 フロイドは,この少し前の4月22日英国はノーフォーク州(ノリッチ)公演からから新曲 "Echoes" の前身である "Return Of The Sons Of Nothing" を公演で披露し出しますが,このフリー・コンサートでは,他のバンドも共演している関係もあるのか,新曲を含まない短時間のセットで演奏しています.

 「... Great Joy We Bring You The Pink Floyd」とのMCのバックで,"Careful With That Axe, Eugene" の演奏が開始されます."Careful With That Axe, Eugene" は,非常に静かに壮言的に,そして除々鬼気せまる演奏へと流れこんでいきます.ロジャー・ウォーターズのスクリームは,一瞬全体的な音量がリミッターによって下がるのも,それが大音量だった為でしょう.
 旋律の美しい "Cymbaline" は,残念な事に 1分54秒~55秒に,リック・ライトがハモンドで,ミスタッチに伴う,ミストーンを出してしまいますが,これもまた記録です.この公演では,中間のSE部分に足音とドアの開閉音が使用されておらず,組曲「The Man And The Journey」の "Nightmare" 中で使用された激しい感情を思い起こさせる短い女性の溜息というか息使いを使用しており,非常に貴重と言えるでしょう.続く,12分に及ぶ "Set The Controls For The Heart Of The Sun" も非常に幻想的な演奏であり,機器調整を挟んで演奏される "A Saucerful Of Secrets".導入部のギルモアのスライドと,ウォーターズのシンバルが非常に同期の取れた素晴らしいもので,ポンペイの演奏を彷彿させます.そしてこの公演は "The Embryo" で幕を閉じるという非常に珍しいセットリストであり,"The Embryo" では,この時期特有の中間部に "Echoes" の通称カモメパートを思い起こさせるパートが含まれるのと,ロジャー・ウォーターズが「Ummaguma (ウマグマ)」の "Several Species of Small Furry Animals ..." の一節を叫んでいるのも興味深く聴くことができます.
 全体を通して,非常に高音質な音源と言えるでしょう.

 ちなみに,この公演の音源としては,3種類テープが存在しています.
 Recorder1 と称されるものは,非常に優れたステレオ音源ですが,曲間のカットがあるもので,アナログ 「Early Tours ’70-’71 (Space Records FET 771 A/B)」,「Barrett’s Revenge (TKRWM 2820-A/D)」,「Pink Floyd (Angry Taxman Records ATR 003-S1001)」および「Sysyphus (S-1001)」の "Careful With That Axe, Eugene" に使用されています.
 Recorder2 と称されるものは,チューニング含めて完全収録よなっており,本CDRに使用されているもので,後に Godfather Record レーベルがリマスタリングして「Live At Free Concert (GR 550)」としてリリースしました.
 Godfather Record レーベルの「Live At Free Concert s (GR 550)」は,マスタリング,トリートメントも素晴らしく,この日の決定盤でしょう.
 Recorder3 と称されるものは,10年程度前に発掘されたもので,Recorder1およびRecorder2よりも優れていますが,残念なことに "Careful With That Axe, Eugene" と "Cymbaline" 部分しか存在していません.

 メーカー情報では
 『衝撃の完全未発表・高音質音源の登場です!1971年6月26日、オランダのアムステルダムで行われたフリー・コンサートに出演したフロイドの圧巻のステージを衝撃の高音質・完全収録・初登場です!今まで一度も音盤化されてこなかったことが信じられないくらいの演奏と長時間に渡る録音(しかもとんでもなく素晴らしい音質!)で、この時期のフロイドの神懸った暴力的なステージを長い長い各曲のチューニング&セットアップタイムも含めたっぷりと堪能することができます。おそらく、本年度のフロイド最大の発掘音源のひとつとして話題の的になるべき最強の音源タイトルです』
との事.

At Free Concert 1971 (Ayanami-190)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - At Free Concert 1971 (Ayanami-190)
 Live At Free Concert, Amsterdam Bos, Amsterdam, NETHERLANDS 26th Jun 1971

  1. Careful With That Axe, Eugene
  2. Cymbaline
  3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  4. A Saucerful Of Secrets
  5. The Embryo

  Total Time (73:49)

 Careful With That Axe, Eugene
 
 Cymbaline
 
 A Saucerful Of Secrets
 
 The Embryo
 


[参考]
 Early Tours ’70-’71 (Space Records FET 771 A/B)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Eary Tour '70-71
 Sysyphus (S-1001)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Sysyphus
 Barrett’s Revenge (TKRWM 2820-A/D)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Barrett's Revenge
 Pink Floyd (Angry Taxman Records ATR 003-S1001)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - ATR
 Live At Free Concert (GR 550)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Live At Free Concert

 当日のポスター
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - FREE Concert Poster


1971 2nd European Tour
 June
  04 Philipshalle, Dusseldorf, West Germany
  05 Berliner Sportpalast, West Berlin, West Germany
  12 Palais des Sports, Lyon, France (Musicorama, Europe 1 Radio, Broadcast 13 June 1971)
  15 Abbaye de Royaumont, Royaumont, France (Cinq Grand Sur La Deux, ORTF2 TV, Broadcast 12 July)
  19 Palazzo delle Manifestazioni Artistiche, Brescia, Italy
  20 Palaeur dello Sport EUR, Rome, Italy
  22 Glastonbury Fayre, Worthy Farm, Pilton, England (Cancelled)
  23 Main Hall, Hatfield Polytechnic, Hatfield, England
  26 Free Concert, Amsterdamse Bos, Amsterdam, The Netherlands
  28 Celebration of Life, Cypress Pointe Plantation, McCrea, near Baton Rouge, LA, USA (Cancelled)

 July
  01 Internationale Musikforum Ossiachersee, Congress Center Villach, Stiftshoff, Ossiach, Austria