1972年11月10日のデンマークから開始された欧州ツアーの最終公演の前日である,12月9日スイスはチューリッヒのハーレンスタジオン公演を,極上のオーディエンス録音で完全収録したものです.

 この公演の音源は 2種類存在しています.
 Recorder1は,1970年代にアナログブートとして発売された音源です.こちらの音源は良質なオーディエンス録音でしたが,不完全でした.
 Recorder2は,10年程度前に発掘され,Ayanamiレーベルから「Zurich 1972 (Ayanami 228)」としてリリースされました.この音源は,Recorder1に比較してはるかに良質なサウンドで,しかも当日の第2アンコールで演奏された「Childhood's End」が初めて明らかになりました.
 今回のSirene盤は,Ayanamiレーベルが使用したものと同様のRecorder2を使用し,最新の技術でトリートメントを行ったようです.

 セットリストは,第一部が当時未発表であった「Dark Side Of The Moon」,第二部が往年の名曲で構成されており,「Childhood's End」を除いて,当時の定番です.また「Childhood's End」は少し前の,1972年12月1日のパリ近郊セント・オーウェン公演「Saint Ouen 1972 (Sigma 72)」,1972年12月5日のブリュッセル公演「Brusseles Affair (Sigma 66)」等でも最後に演奏されています.ちなみに「Childhood's End」は,フロイドの公演史上でも10回に満たない演奏回数であり,この曲を聴くためだけにも,買う価値はあります.

 「Dark Side Of The Moon」は,アルバム発売の1年以上前の,1972年1月20日に英国ブライトンドームで行われた公演でプロトタイプが初披露(*)され,約1年かけて公演を通じて完成形にもっていったのですが,このチューリヒ公演は,ほぼ完成形で演奏されます.音質もさる事ながら,演奏も素晴らしい出来となっています.中でも「On The Run」と「Great Gig In The Sky」に含まれるギターとキーボードのジャム,続く「Us And Them」,変幻自在の演奏が聴ける「Any Colour You Like」は良い感じの演奏ですが「Us And Them」の 3分33秒から、機材の関係か,ガサガサいうノイズ部分があるのは,気になるところですし,「Brain Damage」は 2分8秒と2分13秒にバンド側のノイズがのっているのは非常に残念.

 「One Of These Days」は最初のベース音から迫力のある演奏です,ただ 4分56秒に音響機材の問題か,エンジニアのミスなのか,一瞬ノイズがのります.また「Careful With That Axe, Eugene」では, 4分30秒付近で,このツアー中,幾つかの公演でもみられるように,何時ものスクリームの前にウォーターズが「Dark Side Of The Moon」に関連するような,長めの詩 "Dark As Night.....Speak To Me, Speak To Me !.....My Brain Hurts..." を朗読というか絶叫します.それも聴きどころであり,未だ聴いたことの無い方には驚きでしょう.当然,公演史上10回に満たない,上述の「Childhood's End」も素晴らしい演奏で,特にベースの響きが良いです.

(*) 初演は音響機材の故障で「Money」で中断され,その後「Atom Heart Mother」を何事もなかったかのように演奏しています.

 メーカー情報によると
 『線が細く若干の劣化を感じさせた既発に比べ,太く自然なサウンドで収録された同公演の決定版が,待望のプレスCDで登場です.ガツガツした迫力も含め、音の情報量そのものが増している感じで,サウンドボードのような太く密集した高音質サウンドで,ショウの全貌を堪能することができます.
 ディスク1にはツアー1年を費やしたプロトタイプ「狂気」の最終完成体をノンカットで収録。中でも変幻自在の演奏が聴けるAny Colour You Likeは最大の聴き所といっても良いでしょう.後半のOne Of These Days, Eugene, Echoes,そしてレアなChildhood's End,そのどれもが最高レベルのオーディエンス録音で収録されており,既発の高音寄りのシャンシャンした感じとは別物のサウンド・クオリティで,たっぷりと堪能することができます.この日のEugeneの演奏は凄まじく,特に後半パートのリズム隊2人の迫力あるパフォーマンスは圧巻のひとことです.また4分台後半でのロジャーの詩を朗読するようなパートは鬼気迫る迫力に満ちています.ソリッドで切れ味するどいChildhood's End は,この時期のフロイドとしては珍しいモダンロックに通じるかっこよさを感じさせてくれる逸品で,最大の聴き所になっています.既発音源では後半が1曲づつフェイドイン&アウトを繰り返しますが,本ヴァージョンは,クロスフェイド処理によってノンカットで収録されており,音質が優れている上に,スムーズに聴けるのも特徴になっています.本年度のベスト・フロイド・タイトルに推す人もいらっしゃると思われる決定版の登場です.』
との事.

 本音源は,オーディエンス録音ながら,その新鮮さと,トリートメント効果なのか,ボード音源のようにバランス良く,高音から低音までシャープであり,マニアでなくても,必聴の音源でしょう.ジャケも光沢紙を使用しており,どことなく高級感のあるものに仕上げられています.ちなみに私のは,フロントジャケが何故か 2枚入っていました.


Zürich 1972 (Siréne-170)
 cinnamonの音楽ときどき競馬予想-PF Zurich 1972
 Live At Hallenstadion, Zurich, Switzerland 9th December 1972

 Disc 1
  1. Speak To Me
  2. Breathe
  3. On The Run
  4. Time
  5. Breathe (Reprise)
  6. The Great Gig In The Sky
  7. Money
  8. Us And Them
  9. Any Colour You Like
  10. Brain Damage
  11. Eclipse

 Disc 2
  1. One Of These Days
  2. Careful With That Axe, Eugene
  3. Echoes
  4. Childhood's End


 Speak To Me
 

 Time
 

 Brain Damage
 

 Careful With That Axe, Eugene
 

 Childhood's End
 



[参考]
 1972 European Tour
 November 1972
  10 KB Hallen, Copenhagen, Denmark
  11 KB Hallen, Copenhagen, Denmark
  12 Ernst Merck Halle, Hamburg, West Germany
  14 Philipshalle, Dusseldorf, West Germany
  15 Sporthalle, Boblingen, West Germany
  16 Festhalle, Frankfurt, West Germany
  17 Festhalle, Frankfurt, West Germany
  22 Roland Petit Ballet, Salle Valliers, Marseilles, France
  23 Roland Petit Ballet, Salle Valliers, Marseilles, France
  24 Roland Petit Ballet, Salle Valliers, Marseilles, France
  25 Roland Petit Ballet, Salle Valliers, Marseilles, France
  26 Roland Petit Ballet, Salle Valliers, Marseilles, France
  28 Palais des Sports, Toulouse, France
  29 Les Arènas, Parc des Expositions, Poitiers, France

 December 1972
  01 Centre Sportif, Ile des Vannes, Paris, France
                (RTL Radio, Live Broadcast)
  02 Centre Sportif, Ile des Vannes, Paris, France
  03 Parc des Expositions, Caen, France
  05 Sport Palais Vorst Nationaal, Brussels, Belgium
  07 Palais des Sports, Lille, France
  08 Parc des Expositions, Nancy, France
  09 Hallenstadion, Zurich, Switzerland
  10 Palais des Sports, Lyon, France


  Zurich 1972 (Ayanami 228)
  $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-PF Zurich 1972 (Ayamani)

  Saint Ouen 1972 (Sigma 72)
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  Brusseles Affair (Sigma 66)
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