腹筋が足りないまま育つと、2~3歳にはいわゆる“猫背”に
さて、これらのお腹のシワ、大人のアトピーで指摘した「お腹の谷折り線」にそっくりではないでしょうか(連載第3回参照)? それもそのはず。お腹を常に曲げているということは、腹筋がいつもたるんだ状態になって、本来ならば成長とともに筋力が強くなっていくはずの腹筋が育ちません。
次の写真を見てください。この子は1歳になったばかりの赤ちゃんです。
もう1歳になっていますから、ある程度の腹筋があるはずですが、お母さんに抱っこされているときのお腹をみると、シワシワで皮膚に張りがありません。胸には肋骨という骨があり肺を守っていますが、お腹は骨がないので腹筋をしっかり張ることで腸などの内臓を守るのが本来の姿です。しかし、生まれてからずっとお腹を潰すような姿勢で育てられると、お腹の内臓を守るべき腹筋が育たないでこのようになってしまいます。
するとこの赤ちゃんのように、身体のあちこちがカサカサして湿疹が出てきます(連載第3回参照)。
このまま腹筋が足りないまま育ってしまうと、2~3歳にはいわゆる“猫背”になっていきます。
また、湿疹を繰り返す赤ちゃんたちには、「肩が上がって、首が埋もれている」「お腹に谷折り線がある」以外にも、こんな特徴が多く見られます。
赤ちゃんの皮膚に「もやもやとした模様」が見えていると思いますが、これは皮膚が冷たく血流が悪い状態で、もやもや模様の正体は血管なのです。こうした皮膚の状態の赤ちゃんは、決まって「いつも手足が冷たい」と、お父さんやお母さんがおっしゃいます。あまりに手足が冷たく、真っ青(真っ白)になっていることもあるほどなのです。
写真12、13、14のように身体が冷えてしまうと、血流が不足して皮膚がカサカサになります。皆さんが、冬になると皮膚が乾燥しやすくなるのも、この原理によるものです。
ですから血流が悪い赤ちゃんは、どんなに保湿をしてもすぐに皮膚がカサカサしてきて、保湿を止めるとひどくザラザラになります。この場合、表面からの保湿だけでなく、皮膚の血流を増やしてあげることが大切なのです。
例えば、写真14の赤ちゃんに診察中、数分の運動をすると、足の裏がきれいなピンク色になりました。
皮膚全体のもやもやとした模様はほとんど消えて、皮膚の血色が良くなり、冷えていた身体がぽかぽかしてきたためか、赤ちゃんはあくびをして診察室で気持ち良さそうに眠りだしました。