★第313話:バンジョーの名曲 | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

10年続けたYahoo!ブログから移転してきましたが、Amebaのブログライフも4年を越えました。タイトルは当時と同じ「中高年の中高年による中高年のための音楽」です。
主にオールディズが中心の音楽を紹介しています。よろしくお願いいたします。

弦楽器の起源

 弦楽器の起源は古く、ハープなどは紀元前三千年前のエジプトなどで知られており、壁画や伝説が残る。単純なものは狩猟用の弓から発展したと考えられる楽弓で、他のほとんどは共鳴体で音を増幅させる構造になっているそうだ。(図)


世界の弦楽器

 さて、世界の弦楽器であるが、一般的に弓で弾くバイオリン系のもの、指で弾くギター系のもの、置いて使うハープ・ツィター系に分かれる。 (赤字は図表に記したもの)
1 バイオリン系:フィドル(北米)、馬頭琴(モンゴル)、胡弓、
二胡など。 
2 ギター系
バンジョーブズーキバラライカバンドゥーラ、カバキーニョ(ブラジル)、チャランゴシタール、ヴィーナ(インド)、三弦、琵琶、三味線、三線など。 
3 ハープ・チタ―系:アイリッシュハープ(アイルランド)、
アルパチタ―、カンテレ(フィンランド)、カーヌーン(アラビア)、サントゥール(イラン)、サウン・ガウ(ミャンマー)、ヨーチン(モンゴル)、揚琴、筝、琴など。 
 さて、今回はバンジョー(Banjo)の紹介である。バンジョーは好きな楽器の内の一つである。

 

バンジョー

 「ブルーグラスの王様」と呼ばれるバンジョーは通常、カントリー音楽やブルーグラスで使用される楽器とされているが、最近では、ポップ・クロスオーバー・ミュージックなど広範囲の音楽分野で演奏されるようになっている。 
 ルーツを辿ると、アメリカ南部および東部のアパラチア地方で奴隷を強要されていたアフリカ人たちが、アフリカでなじんでいた
「エコンティング」(写真左)などの楽器にならって最初期のバンジョーをつくり、この最初期のバンジョーのいくつかが、「ゴード・バンジョー」(gourd banjo、写真右)と呼ばれ現在のバンジョーの元になった。(gourdは、ひょうたんの意)。

 

フォギー・マウンテン・ブレイクダウン(Foggy Mountain Breakdown)

 世界恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドの、出会いと逃走を描いた犯罪映画で、ウォーレン・ベイティ(現在84歳)とフェイ・ダナウェイ(現在81歳)が主演した、映画「俺たちに明日はない」(Bonnie and Clyde、1967年、写真)のカーチェイスシーンでバックに流れる軽快な音楽にすっかりハマった。

 言わずと知れたブルーグラスのスタンダード・ナンバー、「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」(1950年)である。

 ついでに言うと、フェイ・ダナウェイのアンニュイな表情に魅かれ、ずっと彼女のファンだった。

 この曲は、随分いろんなアーチストのものを聴いたが、これが最高だ。
アール・スクラッグスとその友人たち/フォーギー・マウンティン・ブレークダウン 

アール・スクラッグス(Earl Eugene Scruggs)

 バンジョーの代表曲「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」は、この映像でバンジョーを演奏しているアール・スクラッグス(2012年、88歳で没、写真)が1950年に作曲した。

 彼は、「ブルーグラス・バンジョーの神様」と慕われ、バンジョーにおけるスリーフィンガー・ピッキング奏法(スクラッグス・スタイル)の確立と普及で知られる。この奏法はブルーグラスの特徴を決定づけた。

 なお、「ブルーグラス」とはバンジョー、ギター、フラット・マンドリン、フィドル(ヴァイオリン)、ドブロ、ベースといった楽器を用いて演奏される「カントリー&ウエスタン」のことを指す。

 

 今も、ブルーグラスを満喫するに最高のCDを持っている。
20 BLUEGRASS ORIGINALS: INSTRUMENTALS

1. Foggy Mountain Breakdown-Flatt & Scruggs, Earl Scruggs 
2. Banjo Whiz - Bill Emerson 
3. Bending the Strings - Allen Shelton 
4. Orange Blossom Special Breakdown - The Stonemans 
5. Lee Highway Ramble - Chubby Anthony, Ken Clark 
6. Kentucky Banjo - Larry Sparks 
7. Kentucky Shuck - Moore & Napier, 
8. Dueling Banjos - Curtis McPeake 
9. Sunrise - The Country Gentlemen 
10. Border Ride - Jim & Jesse 
11. Slippin' Banjo - Bill Duncan 
12. Buttahatchee - Johnny Bryant, Lee Jackson 
13. Green Mountain Top - Reno & Smiley 
14. Home Sweet Home - Little Roy Lewis 
15. Sockeye - Reno & Smiley 
16. Train 45 - The Stanley Brothers 
17. Limehouse Blues - Reno & Smiley 
18. Big Country - Jimmy Martin 
19. Cotton Eyed Joe - Tommy Jackson 
20. Cedar Grove - Bill Clifton 
 

 

Lester Flatt & Earl Scruggs GREATEST HITS (1969年)

 ところで、当時こんなレコードを買ってよく聴いたものだ。


SIDE-A
1.じゃじゃ馬億万長者(The Ballad Of Jed Clampett)
2.フリント・ヒル・スペシャル(Flint Hill Special) 
3.新聞売りのジミー少年(Jimmy Brown、The News boy)
4.アイ・スティル・ミスサムワン(I Still Miss Someone)
5.ペチコート大作戦(Petticoat Junction)
6.ファイアボール(Fireball)
SIDE-B
1.アールのブレイクダウン(Earl's Breakdown)
2、ユー・アー・マイ・フラワー(You Are My Flower)
3.パール・パール・パール(Pearl Pearl Peari)
4.グッド・シングス(The Good Things)
5.いとしのセイロ・ジェーン(My Saro Jane)
6.フォギー・マウンテン・ブレイクダウン(Foggy Mountain Breakdown)

 

 このレコードの中の曲を。

じゃじゃ馬億万長者

 アメリカのシチュエーション・コメディ。1962年から1971年まで、CBSにより放送された。日本では1962年から1963年までNTVで放送。(写真)

 「ジェド・クランペットのバラード」(The Ballad Of Jed Clampett)は、テレビシリーズ「じゃじゃ馬億万長者」ビバリー・ヒルビリーズ、The Beverly Hillbillies)のテーマソング。

 ポール・ヘニング作曲、レスター・フラットとアール・スクルーグスによって最初に録音され、レスター・フラットが歌った。

フリント・ヒル・スペシャル(Flint Hill Special、1952年) 

 

デュエル・バンジョーズDueling Banjos)

 この曲は、1972年公開の映画「脱出」(Deliverance)で使われた。

 映画は、ジェームズ・ディッキーが自身の原作をもとに脚色。ジョン・ブアマン監督、出演はエドこと、ジョン・ヴォイトとルイスことバート・レイノルズなど。サバイバルを主題としたサスペンスストーリーである。(写真)

 これは、地元のガソリンスタンドで、ドリュー(ロニー・コックス)がギターを持って、若いバンジョー演奏の少年と音楽の決闘(デュエル・バンジョー)を行い、地元の人々の中には、その音でダンスに割り込む人もいる。しかし、少年はお祝いの握手を求められたときにドリューを認めないというシーン。(写真左)


 ところが、これは1955年に執筆・録音した
「フェイデイン・バンジョーズ」の作曲家、アーサー・スミスによって訴えられ、映画の中で「デュエル・バンジョース」と改名されたいわくつきの曲。

 映画版はエリック・ワイズバーグ(2020年、80歳で没、写真右)とスティーブ・マンデルによってアレンジされ、録音された。

 

トム・ドゥーリー(Tom Dooley、1958年)

 この曲は100万枚のセールスを記録したキングストン・トリオ(The Kingston Trio、写真)の代表作で、1958年から1963年にかけて、全米1位に輝き、大ヒットした。演奏ものではないが、バンジョーの伴奏が魅力的な曲である。

 なお、キングストン・トリオで唯一存命の創設メンバーだったボブ・シェインだったが、2020年1月26日に85歳で逝去した。

 「トム・ドゥーリー」とは、南北戦争時代のアメリカで、実在した元南軍兵士の名前である。

 彼は、1866年に婚約者のローラ・フォスターを心変わりしたという理由で、刺殺した。最初のうち彼は無実を訴えていたが、なぜか「自分は罰を受けるに値する」と供述してあえて死刑を望み、1868年に殺人罪で絞首刑になった。 
 この事件の真犯人はトムのもう一人の愛人、
アン・メルトンであったともいわれ、多くの謎を残していたが、地元ノースカロライナの詩人トーマス・C・ランドがこの悲劇を歌にしたことで再び脚光を浴びることになった。
                  
<冒頭のセリフの部分は次の通り>

Throughout history There've been many songs written about the eternal triangle.
(歴史を通して見ると、三角関係について書かれた歌はたくさんあります)
This next one tells the story of a Mr Grayson A beautiful woman, and a condemned man named Tom Dooley... (グレイソンA氏が語った話は、美しい女性と、有罪を宣告された男性、トム・ドゥーリーの物語です)
When the sun rises tomorrow, Tom Dooley... must hang... (明日太陽が昇る頃、トム・ドゥーリーは絞首刑にされる)

 

ワシントン広場の夜は更けて(Washington Square、1963年)

 この曲はザ・ヴィレッジ・ストンパース(The Village Stompers、写真)が演奏してヒットした、ディキシーランド・ジャズ。

 バンジョーを目立たせ、スキャットやハミング、ヴォカリーズを交えた独自の器楽様式で名高く、当時流行であったフォークソングの要素も折衷されていることから、フォーク・ディキシーに分類された。
バンド名はニューヨーク州
グリニッジ・ヴィレッジに由来する(「ワシントン広場」とは、19世紀に通用していたグリニッジ・ヴィレッジの旧称であった)。
 
ワシントン・スクエア公園(Washington Square Park)は、初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンに因み、ニューヨーク市マンハッタン区グリニッジ・ヴィレッジにある公園である周辺は住宅街で、道をはさんでニューヨーク大学に隣接する。公園の北側入り口付近には1892年に建てられた凱旋門 (Washington Square Arch) があり、そこから北に5番街が伸びている。噴水のある池の周辺は市民や観光客の憩いの場所となっており、大道芸人やストリートミュージシャンも多い。(写真)


おお、スザンナ(Oh! Susanna、1947年)

 スティーヴン・フォスター(1864年、37歳で没、写真)は、「アメリカ民謡の父」と称され、アメリカ音楽界を代表する作曲家。唱歌としてもなじみの深い、数々の名作を発表した。


 フォスターの年表を作ってみた。

  

 「おおスザンナ」は、スティーブン・フォスターミンストレルソング(写真)で、ヨーロッパ音楽、白人アメリカ人の音楽、アフリカン・アメリカンの音楽を融合させた、最も有名なアメリカの歌である。


 しかし、歌詞については、フォスターの初期の作品に多くみられるように、内容はナンセンスである。その後、カリフォルニアへ旅立つ内容にアレンジされて、
フォーティナイナーズの非公式テーマ曲になった。

【歌詞】

音符It rain'd all night the day I left, The weather it was dry, The sun so hot I froze to death...(最初のバースは「出発した日は1日中雨だったけど乾燥していて、今は太陽はとても暑いけど死ぬほど寒い) 

 I shut my eyes to hold my breath...(2度目のバースは「息を止めるために目を閉じた) とある。また、De lectric fluid magnified, And killed five hundred nigger (2度目のバースには電流をあげて500人のニガーを殺した) という歌詞も登場している。
 日本には、1852年頃にジョン万次郎(1898年、72歳で没、写真)が初めてこの曲を伝えた。その後、1964年にはNHKのテレビ番組『歌のメリーゴーラウンド』で日本語の歌で放送された。また、学校教育でも用いられており、小中学校の音楽の教科書にもたびたび掲載されている。近鉄特急の大和西大寺駅到着前のチャイムとしても採用されている。


(Wikipedia参照)