第269話:うどんとソバ | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

10年続けたYahoo!ブログから移転してきましたが、Amebaのブログライフも4年を越えました。タイトルは当時と同じ「中高年の中高年による中高年のための音楽」です。
主にオールディズが中心の音楽を紹介しています。よろしくお願いいたします。

麺類が好き

 私は根っからの麺類好き。1日2食はザラで、3食とも麺類という日もある。現に今週3食とも麺類という日があった。地球に麺類しか残らず「毎日麺類だけにしなさい」といわれても多分生きていける自信がある。ただしその場合、毎回同じ種類ではなく、たとえば朝がソバなら、昼はうどん、夜はラーメンという条件にして欲しい。
 それで、麺類について一度はブログのテーマにしたいと考えていた。けれどもラーメンについてはその道の大家が多く、底の浅い記事しか書けないので、ここでは「うどん」と「ソバ」のテーマとしたい。

初めて食べた関東のうどん・ソバの印象

 それにしても、社会人になって初めて食べた東京のうどん・ソバには驚いた。だしは真っ黒で、醤油そのもののようだ。関東の人はいつもこんなものを食っているのか、これではいつかガンになるのではないか。
 それで、故郷の広島に帰ったときや、大阪に出張したとき、必ずうどんを食べて「まずい東京のうどん・ソバ」のうさを晴らしたものである。
 ところが、「慣れ」というのは恐ろしく、今や関東風のうどん・ソバの方がおいしくて、関西風はどうも味が薄いとか甘すぎると感じるのだから不思議なものである。
 余談であるが、東京に来て真っ先に驚いたことは、この「うどん・ソバ」と、「人の歩く足の速さ」であった。

関東のソバ、関西のうどん

 『関東のソバ、関西のうどん』という言葉がある。それは本当ではない、という説がある。しかし、西で麺類といえば真っ先に「うどん」が目に浮かぶのが普通ではないだろうか。
 私は、故郷の広島県と、松山、福岡、周南(旧徳山)で暮らしたことがあるが、いずれもうどんが中心で、ソバはマイナーな存在。ソバはざるソバであり、夏だけの季節商品というイメージがあった。

 

 小さい頃からおやつ代わりにうどんを食べるのが大きな楽しみだった。元々うどんは小麦粉で作った飴入りの団子状のお菓子であり、「切り麦」と呼ばれ、江戸時代に入るまで菓子屋で作られていたという史実もなるほどとうなずける。

うどんが先か、ソバが先か

 うどんやソバの専門店は別にして、お店の表示やメニューでうどんとソバ、どちらが先に書かれていると思いますか。普段、余り意識していないだろうが、実は関東ではソバが先、関西ではうどんが先のところが多いとのこと。ただし、全体的に見るとうどんが先が多いのは、うどんの方がソバより生まれが早いという理由のようである。
 もうひとつ、「立ち食いうどん・ソバ屋」に行ったとき、どのような確認を受けますか? 関東ではまず、「うどんですか?ソバですか?」ではなく、十中八九「ソバですか?うどんですか?」と聞かれる。
 それもそのはず、店主に直接聞いたところ、4分の3はソバの注文なのだそうだ。関西では全くその逆で、4分の3以上うどんが占めると思う。

作り方や呼び方の違い

 関東と関西ではだしの作り方が違うのはご承知の通りだが、ネギも違う。
 呼び方で一番違いを感じるのは「天ぷら」。よく注意しないとイメージ通りの天ぷらが出て来ない。私は西日本の人間なので、「天ぷら」は「海老天」を想像するが、「天ぷら」といえばほとんど「かき揚げ」を指す。「天ぷら」は小エビの天ぷらだったり、丸天(九州)だったりすることもある。野菜、ごぼう、ちくわ、コロッケの天ぷらもある。
 「かけうどん」は西では「素(す)うどん」という。「素ソバ」という言葉は余り聞かないので、やはり西はうどんがメジャーなんだと思う。
 「かけ卯」というチェーン店があるが、ここでは「かけうどん」のことを「ハイカラうどん」と呼んでいる。この呼び名は経営者の配慮ではないかと密かに感心している。
 食堂に入って、「かけうどん・かけソバ」を注文するとき、「一杯のかけソバ」を一瞬思い出す。それで、店主から大きな声で「ヘイ、かけソバお待ち!」といわれると、これは嫌味かと思い、ちょっとひるむことがある。京都地方では「狸うどん」のことらしいが、「ハイカラうどん」という名前が気に入っている。

「立ち食いうどん・ソバ」の値段の相場

 「立ち食いうどん・ソバ」専門家(?)としては、当然価格にも関心がある。もちろん、協定しているわけではないので、お店によってまちまちであるが、値段に注目するのも面白い。
 かけそば・うどんは240円~260円。これ以上になると私見では高い。かき揚げ天ぷらうどん・ソバは360円。玉子がつくと、60円プラスで420円。これが私の描いた相場である。
 うどん・ソバは庶民の味。立ち食いではないが、中には1000円以上のお店もあり、これはどうかしていると思っている。そして、たかだか500円程度の食べ物に行列するのもいやだ。(実際には待つこともあるので、これは鬱憤晴らし。)

「讃岐うどん」について

 西の人間なので「讃岐うどん」のおいしさは十分理解している。関東にも進出し全国的になったことは喜ばしい。しかし、ここで「讃岐うどん」を食べてうまいと思ったことは一度もない。
 讃岐うどんには伝統的な作り方が有り、夏は塩水一に対して水三、冬は塩水一に対して水六という割合でうどんを作る「土三寒六」という秘法が知られている。「小麦」(シロガネコムギというらしい)や「うどん粉」も違う。機械打ちではなく手打ちだが、今は「手打ち風」という類のものもある。
 歯ごたえ(アル・デンテ)が讃岐うどんの特長といわれているが、本物は「硬い、腰のある」のではなく、「歯でかまずに飲み込めるうどん」「のどに吸い込まれるうどん」が讃岐うどんの真髄。
 そして、本当の讃岐うどんのお店かどうか判断する方法として、店に入っておかみさんに、「あなたは高松の人?」と聞いて、「タカマツ」ですと言われたとき、その「タカマツ」が尻上がりが本物で、下にアクセントが落ちてくるのは高松の人間ではないので、逃げ出した方がいいそうである。(「うどんの秘密」藤村和夫氏著より抜粋)
 讃岐うどんはトッピング方式が多く、お勘定すると結構高いものにつく。粗製乱造にならぬよう、本当においしい讃岐うどんを全国に広めて欲しい。

 

 紙面が限られていたので「うどん」中心になってしまった。大好きな池波正太郎の時代小説では、ソバ屋が舞台の主役になることが多い。現在うどんとソバを食べる割合はほぼ半々である。ソバも大好きであることを追記しておきたい。