薄氷の米経済、FRB利上げ慎重でも自滅のリスク(Jamie McGeever) | 田舎暮らしのブログ

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(要点)

・米国の家計債務は過去最大規模に膨れ上がり、米国ほか、世界各地の株価や高利回り債(ジャンク債)の上昇は行きつくところまで行ってしまった。

・世界的株高の最初の亀裂は、今月初めに入り始めていた。高利回り債の下落が、米国その他の株式市場に波及。ボラティリティが跳ね上がり、米国債の利回り曲線は過去10年間で最もフラット(長短金利差が縮小)になった。

・このような市場が、どれだけ利上げに脆弱かはお分かりだろう。

問題は、FRB自体が自然利子率の水準を把握できていないことだ。FRBは現在、2.75─2.80%前後との推計を示しているが、6月時点ではこれが3%で、2015年初めの推計値からは100ベーシスポイント(bp)も下がっている。今後も下方修正されないという保証はない。

自然利子率とは、無謀な借り入れや投資を招くほど低くないが、経済活動を圧迫するほど高くもない金利水準を指す。

・ロンドン大ゴールドスミス校の経済学上級講師、ジョンナ・モンゴメリ氏は、FRBが今試みているのは2004─06年と同じ「皿回し」だと手厳しい。金利を徐々に引き上げることで、経済成長のエンジン役を果たせる程度に家計債務が増え続けることを望んでいるという。

しかし前回と同じく、皿は落ちて終わる定めだ。政策当局者が経済成長を家計債務に頼っているのと同じように、家計は生活水準の維持を借金に頼っている。

・モンゴメリ氏は、景気後退を招かずに家計債務を減らすのは不可能に近いと指摘。「経済成長を維持するには債務を増やすしかないが、成

長の息の根を止めるのは、ほかならぬ債務の返済。つまりこれは債務の罠だ」と語る。

明らかなのは、債券市場が皿回しの成功を信じていないことだ。過去10年で最もフラット化した利回り曲線は、8年間続いた経済成長が間もなく息切れするか、さらに悪い事態に陥る可能性を暗示している。

逆イールド(長期金利が短期金利を下回る逆転現象)まで、あと数bp。逆イールドは昔から景気後退の前兆とされ、これまで不気味なほど当たっている。

・足元のフラット化のスピードは著しく、長短金利差は11月に入って20bpも縮小した。この調子で進めば1月には逆イールド化し、FRBは薄氷の上でスケートしていたことを思い知らされるかもしれない。

 

 

 

https://jp.reuters.com/article/column-us-mcgeever-idJPKBN1DO0CY

 

 
2017年11月26日 / 08:56 / 1時間前更新

コラム:薄氷の米経済、FRB利上げ慎重でも自滅のリスク