外からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
サイレンの音とスピーカーから流れる人の声。
どうやら、スピード違反で車が捕まったようだ。
先週、東名を走っていたら、急にパトカーのサイレンの音が後ろから聞こえてきた。
バックミラーで確認すると、斜め後ろの追い越し車線を走っている車が、覆面パトカーにスピード違反で捕まったらしい。
車で走っていると、パトカーのサイレンの音は当然のことだけれども、パトカーの姿を見ただけで、ビビッてしまう。
パトカーの姿を見つけて、それにサイレンの音が加わったならば、「自分なのか」と一瞬、体中の血の気がひいてしまう。
心臓によくない。
昔、友達と山梨へ行った帰りの坂道で、前の車がくねくねしたカーブをゆっくり走っていた。
そのため、その車の後ろは車が数珠つなぎになってしまっていた。
その車のすぐ後ろが自分の車だった。
あるカーブの曲がり口で、その前の車が徐行して、運転席のガラスが開いて、手が出て、追い抜いていくように合図があった。
そこで、自分の車を先頭に、続いていた後ろの車は、その車を追い抜いていった。
追い抜いて、カーブを曲がった所にパトカーが止まっていて、自分の車が止められた。
何で止められるのか理由が分からなかった。
すると警察官が、
「追い抜き禁止のところで追い抜いたので違反だ」
と言ってきた。
これはワナだ。ワナにかかった。
と思った。
そこで、警察官に前の車が徐行して追い越すように合図を送ってきたから、追い抜いたんだということを力説した。
はじめは、ダメそうだった警察官も、事情を説明していくと
「本当は追い抜いてはダメなんだけれど、今回は許す」
と言って、放免してくれた。
頭にきた自分はチンタラ走っていた車を追いかけて、何か言ってやろうと思った。
そこで、スピードをあげて、追いかけて行ったら、今度は本当にスピード違反で捕まってしまう、
と思って、震える両手でハンドルを持ちながら、法定速度で車を走らせた。
血がのぼった頭はなかなか興奮が冷めず、車も熱くなって走っていた。
ただ、速度はゆっくりと。