漫画「銀の匙」第8巻では冬の巻に入って、酪農農家などの深刻な現状について描かれている。
牧場が離農する。
借金が返せなくなって倒産する。
収益を上げるためには規模を拡大させなければならない。
そのために借金をする。
でも、大黒柱がなくなったりすると、借金だけが残ってしまう。
それは一家離散をも意味する。
どんな職業も大変だ。
今回はそんな深刻な話がテーマで笑っていられない。
この巻でタイトル「銀の匙」の意味が書かれていた。
前々からタイトルの意味が気になっていた。
漫画では食堂の入り口の壁に銀の匙が飾られている絵があるだけで意味は今まで語られていなかった。
同名の小説まで読んでみたけれど分からなかった。
それが今回やっと分かったことになる。
「銀の匙を持って生まれた子供は生涯食うのに困らない。」
そんな外国の言い伝えがあるらしい。
裕福の象徴のようだ。
だから、子供が生まれたら銀の匙を贈って、その子が一生食べるのに困らないように願うようだ。
タイトルはもっと深い意味があるのかもしれないが、本作では次のようにも語っている。
「この不景気の中、食いっぱぐれないって意味では、農家の子って銀の匙を持って生まれた子じゃん。」
銀の匙を持って生まれてきたはずの駒場牧場の息子駒場一郎が高校をやめる。
夢を捨てる。
それが現状だ。