「銀の匙Silver Spoon」第11巻は冬の巻の終わり。
そして、主人公八軒の大蝦夷高校1年生の終わりでもある。
毎回、読んでいると登場人物が何気なく良いことを言っている。
思わずメモしなきゃ、なんて思ってしまう。
「努力は必ず報われるものじゃないけれど、そうあってほしいよ。」
「でもさ、努力が結果にあらわれなくても…、努力を見ててくれる人は必ずいるでしょ?」
高校に入って1年間で主人公八軒は大きく成長した。
今回、今まで目標が見つけられなくて悩んでいた八軒は起業という大きな目標を見つける。
校長先生が1年間を振り返って「銀の匙」の意味だけでなく「銀の匙」を作っている人について語っている。
子供ができた時に銀の匙を1本贈るのがスタンダードだけれども、中には子供の誕生日が来るたびに1本ずつプレゼントする親もいる。
すると、その子供が成人したころには銀のカトラリーセットという立派な財産ができる。
子供はその銀器セットを持って旅立ち、外で新たな家庭や社会を築いていく。
銀職人にとって年に1本しか注文しない客は上客とは言えない。
けれども、職人さんはそういった人のために専用のデザインを変えず、その時の最高の技術を使って毎年1本ずつ納品する。
作り手も贈り手も長い年月、技術と愛情をかけてその家だけのセットを作り上げる。
完成させたセットは家の歴史であり、子の歴史であり、職人の歴史でもある。