昔、売れた芸人さんがテレビで
「自分が売れたと感じる時は、どんな時ですか」
という質問に答えていた。
その答えは、次のようだった。
「物を買いに行った時に、商品についている値札を気にしないで物を買えるようになったことですかね」
確かに、物を買う時に値札を気にしないで買うことができるようになれば、自分は成功したと思うだろう。
大人買いという言葉がある。
物を端から端までという感じで、まとめて買うことを言う。
子どもにはできないことを、大人がするわけである。
それは、子どもの頃にやりたくてもできなかったことを、大人になってすることでもある。
この前、ラジオで高田文夫さんが、今でも時々急にカルピスを飲みたいな、と思うことがあると言っていた。
実は、カルピスについては同じようなことを思っていた。
子どもの頃に、大人になって、カルピスを思いっきり何杯でも飲んでみたいと思っていた。
そのことを友人に言ったことがある。
すると、友人の答えは
「飲めばいいじゃん」
という、ひと言で終ってしまった。
確かに、カルピスを思いっきり飲んでみたいという願望は、今なら簡単に実現可能だ。
いや、それは願望という言葉は当てはまらないかもしれない。
でも、なぜしないのだろう。
子どもの頃に
「あー、カルピスがもっと飲みたい」
と思った。
そのことが、ずっと記憶に残っていた。
それが、簡単に実現可能になっているのに、実現しようとしない。
願望は願望のままにしておくのがよいのだろうか。
実現したいな、と思っているくらいがよいのだろう。