「 等伯 」上・下( 阿部龍太郎著 )を読んだ。
直木賞受賞作ということで読んだ。
面白かった。
下の最終章「松林図」の結末近くでは今までの出来事が思い出され感動で涙腺もゆるみ、体も震えた。
物語は安土・桃山時代、信長・秀吉の頃に絵師として活躍した長谷川等伯の生涯を描いている。
この頃の絵師としては狩野永徳が有名で、自分も以前に狩野永徳の「唐獅子図屏風」を美術館で観たことがある。
けれども、長谷川等伯は知らなかった。
今回、この小説を読んで初めて知った。
戦国という荒波に巻き込まれ、多くの物を失い、新たな縁を得て、絵を描くことの本質を探求する。
ひとつのことに全てを投げ打って取り組み、秀でるためには、これほど多くの犠牲を伴わなければならないのか。
凡人には考えられない精神力が必要とされる。
その人並み外れた精神力が偉大な芸術を作り上げる。
その作り上げた芸術が多くの人々を救い、慰める。
本を読んでいる途中で、物語の中で描かれている等伯の絵などもネットで調べて鑑賞した。
本物を観たいので調べてみると、大掛かりな等伯展は3年ほど前に行われていて、今のところないようだ。
残念だ。
機会があったら必ず観ようと心に誓った。
とりあえず、本の表紙にもなっている「松林図屏風」は東京国立博物館所蔵で来年初めに展示される予定らしいので、それは楽しみにしている。
松林図屏風
