「一路」(上・下)浅田次郎著を読んだ。
江戸時代末期の参勤交代の話を面白おかしく、また人生をも考えさせる物語になっている。
浅田次郎のシリアスな物語の方と思って読んでみたら、そうではなかった。
ユニークなコミカルな物語の方だった。
そういう点では痛快小説と言える。
主人公は小野寺一路、19歳。
家は代々参勤交代の御供頭。
御供頭とは参勤交代をする道中の世話係のリーダーのこと。
宿の手配はじめ道中の一切合切を差配する。
父弥九郎は壮健でまだまだ現役なので、江戸にて文武に励んでいた。
当然、父から御供頭の仔細など教えられていない。
御供頭の役目など何も分かっていない。
そんな一路が突然の父の死により御供頭として、参勤交代の差配をしなければならなくなる。
何も分からない一路は戦国の父祖が遺した供頭の心得帳に記されている通りの参勤道中を行うことにする。
お家騒動あり、宿場ごとに事件ありで行軍は江戸に向かう。
そんな物語。
様々な人が絡み合い、ひとつのことを成していく。
見えないところで助けてくれている人がいる。
一生懸命はやはり力なり。
そんなことを思わせる。
ただ、お殿様がうつけか、どうか。
というところが、少し表現が弱いように感じるので、落差があまり感じられない。
「必殺」の中村主水のようにはいかない。
読んで、さわやか、とまではいかなかった。