「ならずものがやってくる」 ジェニファー・イーガン著を読んだ。
海外文学作品を読むのは久しぶりだった。
海外の作品は読んでいて分かりにくいという感じを持っている。
「ハリー・ポッター」は違ったけれど、児童文学だからということもあるだろう。
この「ならずものがやってくる」も分かりにくかった。
ただでさえ分かりにくいと思っている海外文学なのに、これはベニーとサーシャという男女が軸になり、彼らに関わりのある人物たちの物語を章ごとに13の章で書かれている。
だから、主人公がいて、その主人公に降りかかってくる事件の物語ではない。
つまり、章ごとに主人公が変わることになる。
しかも時系列が先に行ったり、後に戻ったりしていて、それだけでも分かりにくい。
語り方も3人称だったり2人称だったりとするので、2人称の時は誰が語っているのか考えながら読み進まなければならなかった。
また章の登場人物がベニーまたはサーシャとどのような関係なのかも前のところを読み返して確認しながら読む必要があったりする。
というように、読むのに大変だった。
どうなるのか、次が楽しみでしょうがない。
というような気持ちにはなれなかったのが正直な感想だ。
ただ、「ならずものがやってくる」というタイトルなので、この中のどの登場人物が「ならずもの」なのか、ということが気になって読んでいた。
最後に「ならずもの」の正体が明かされるが、「そうだったのか」という思いがして、少し考えさせられる。
それを知ると、冒頭のマルセル・プルースト「失われた時を求めて」からの引用文が意味を持ってくる。
当然、読み始めには何のことか分かっていないけれど、最後まで読んだ後にもう一度読み返してみると意味があることが分かる。
この小説は1回読んだくらいでは自分には理解できないだろう。
ただ、2回読むのはちょっとしんどい。