映画「リンカーン」を昨日観た。
この映画は観る前にアメリカの南北戦争、奴隷解放について下調べをしておかないと分かりにくい。
画面の動きがあまりないので、内容が理解できないと眠ってしまう。
などと言われていたので、ちょっと下調べをして映画には臨んだ。
映画の内容では、それほど下調べはいらないというのが率直な感想だ。
分かりにくいのは確かで、前半はちょっとついていけない。
何が分かりにくいかというと、登場人物が多く、その登場人物がリンカーンにとって、敵になるのか味方になるのかが分かりにくい。
この人は共和党でリンカーンと同じ党だから味方と思って良いのか。
この人は民主党で奴隷解放に反対なのか。
民主党だけれども、奴隷解放に賛成で、でも下院では反対票を入れるつもりなのか。
などと、頭の中で考えている間に画面はどんどん進んでいってしまっている。
また、人物自体、しっかり顔が分かっていないまま物語は進んでいく。
そんな、どっちなんだ、誰なんだ、という考えがあちらこちらで出現して、頭の中にいっぱいになる。
それがモヤモヤとなって頭に残ったまま映画を見ていく状態が前半は続く。
これが辛いし、下調べをしたほ方が良いという意見になる要因なのだと思う。
奴隷解放のための合衆国憲法第13条の修正案は上院では可決しているが、下院で3分の2以上の賛成を取らなければ成立できない。
修正案成立の機会は、大統領リンカーンにとっては今回しかない。
そのために、どんなことでもするという覚悟のもと、リンカーンは全身全霊をかける。
下院の修正案採決が描かれる物語後半の場面自体はあまり動いていなくても、画面裏での目まぐるしい動きが感じられて、手に汗をにぎる。
音楽もよくて、さすがジョン・ウィリアムズだと思う。
感動が音楽とともに広がり盛り上がっていく。
アメリカの未来が大統領であるリンカーンにかかっている。
その重圧は考えも及ばないが、その重圧にリンカーンは一人で耐えなければならない。
妻、子供たちにも弱音をはけない、理解もされない。
孤独で戦わなければならないリンカーン。
リンカーンはアメリカの未来のために選ばれた人物だ。
選ばれし者の苦悩ははかり知れない。
採決後の手袋を置いて行くくシーンは印象的だ。
すべての人間は自由なんだ。
と語っている。