ずいぶん昔に手に入れた本ですが、近藤章久先生の「ノイローゼ歓迎論」と言うものがあります。そこにこんな文章が載っていました。
「現代と言う複雑怪奇な時代の中で、ノイローゼにならない方が不思議である。・・むしろなる方が人間として当たり前に思われる。・・大切なのは、自分はノイローゼであることに目覚めることである。・・自己疎外の痛みを体験しよう。ノイローゼの自分を認めよう。そうして本当の自分を発見しよう。」と呼び掛けています。
画像 lulu-web.com 神経症の概論
かつてひどいノイローゼ(神経症)に悩んだ体験者の一人として、この言葉にもろ手を挙げて賛同するものです。
自己疎外は苦しいものです。しかし自己疎外に苦しむことこそが、自己発見の早道なんです。だから自分がいかに自己疎外に陥っているかをしっかり自覚することです。そしてそれと徹底的に戦うことです。それによって自己を確立し、真人間として生きることができるのです。
昨日までに書いてきたように、ノイローゼになっていながら、それに気づかない人が非常に増えているんです。このように自覚されていないノイローゼは、なかなか治りません。なぜなら自分はノイローゼではないと思っているので、そこから早く抜け出したいという、強い意欲がないんです。
ノイローゼの人に共通しているのは、本当の精神的自立がなされていないことなんですね。だから偉い人の言葉とか、書物からの情報をうのみにしてしまいます。つまり、言葉に支配されてしまうんです。一種の「思考停止状態」ですね。
画像 tegami.club 本当の自分 絵手紙交流ひろば
実際にあった話です。奥さんから、
「入学を頼むときは、何万かのお金を包むのは常識だそうよ。〇〇さんも包んだそうだから、うちはもっと多く出しましょうよ」・・自分を持たないノイローゼ患者は、こんな言葉にころっと騙されます。そしていつのまにか贈収賄事件にまで発展してしまうのです。自覚のないまま。
現代は確かにお金がものをいう時代です。しかしお金さえあればよいと思っているなら、それは偏った考え方です。いくらお金を積もうとも、愛情や友情をそれで買うわけにはいきません。
自分がノイローゼであることを素直に認める時、「真の自己」への道が開かれるのです。他人や権威者の言葉に左右されない、自由で生き生きした、捉われない自己が出現するのです。これは何物にも拘束されず、周りの人々を少しでも明るく幸せにせずにはおれない、自他の対立を超えたスーパーな自己なんです。
参考・・・「あるがままに生きる」、「ノイローゼ歓迎論」