『無我夢中』に生きる。 | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

森田療法では「なりきる」と言います。一般的な言葉にすると、「無我夢中になる」とでも言いましょうか。

皆さんは小学校の頃、運動会で100メートル競走をしたことはありますか? おそらくみんなよりも少しでも早く走ることだけを考えて、無我夢中で走りきったのではないでしょうか。森田療法で「なりきる」とはこういうことなんです。「なりきる」事で、神経症が良くなるのです。

 

           画像 syou.oita-ed.jp 100メートル走

 

しかし、対人恐怖の人は、こんな風に考えます。

「確かに運動会では無我夢中で走れました。しかし人前で話すときは無我夢中になれず、緊張してしまいます」

なるほどもっともなことですね。しかし彼は大きな考え違いをしています。

緊張するから無我夢中になれないのではなく、無我夢中でないから、心に余裕が出来る分、緊張に意識が向くのです。

 

皆さんは試験を受けたことがありますよね。試験前はあれだけ緊張するのに、試験の真っ最中では、無我夢中で問題を解くので、緊張が付け入るスキがなくなるので、緊張が消えてしまうんです。

つまり、人前で緊張するのは、無我夢中になれていない、別の言葉で言うと、真剣さが足りないのです。

神経症のほかの症状も同様です。

 

不安神経症などで、電車に乗れなくなった人が、認知行動療法などで、電車に乗る練習をしているようです。しかし、こんなことをしても良くなりません。なぜだかわかりますか? 本人には「練習」と言う気楽さがあるので、どうしても真剣みが出てこないんですね。だからとても無我夢中の境地にはなれず、症状がずるずる続いてしまうんです。

 

          画像 マイナビ2018 大学入試共通テスト

 

無我夢中になるには、条件があります。一つは「明確な目標」です。運動会では100メートルを走りきることですし、試験では言うまでもなく「合格」と言う目標があります。

明確な目標があるからこそ、無我夢中になれるんです。

逆に目標が不明確だと、意識が自分の方に向いてしまい、そこから緊張や不安が生じやすくなってしまいます。

 

もう一つ大切なのは「情熱」です。情熱は「何が何でも達成するのだ」と言う強い意志から生まれます。つまり、無我夢中になるためには、心の働きの中の、特に感情と意志を高めて行かないといけないのです。

神経症は森田を学ぶだけでは治りません。物事に真剣に取り組む日常生活を通して、少しずつ神経症になりにくい性格傾向が作られてくるのです。

 

参考・・・「生活の発見会メルマガ あずま橋通信」