「ヨイ出し」とは!?② | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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「ヨイ出し」とは、その人の行動のプラス面や、当たり前にできている部分に着目して、肯定的に声をかけることです。そうすることで、人は着目された部分が、伸びて行き、同時に頻度が増えます。もちろん「ダメ出し」も、その人のマイナス部分やダメな部分に着目するという意味では、「ヨイ出し」と同じになります。従って「ダメ出し」をすればするほど、その人のダメな部分が着目されて、ますますダメな部分が増えていくのです。

 

 

また、「ヨイ出し」にはこんな効果もあります。ある部下が電話の応対だけはとても元気にこなしていることが分かりました。そこで上司は「〇〇君、君は電話では元気いいね!」。もちろん部下は悪い気は致しません。それどころか部下の元気よさは、ますます磨きがかかってきたのです。

なぜだと思いますか?

一旦プラスの行動が注目されると、それを意識し続けますから、今後上司の前では「元気のない応対は出来ない」と考えるようになるのです。もし「ヨイ出し」してくれた上司の前で元気のない応対をしようものなら、上司を裏切ることになる。と考えるのかもしれません。

その反対に「君の電話は元気がないね」などと「ダメ出し」をされてしまうと、今度はその上司の前で電話に出るのがとても苦痛になってしまうかもしれませんね。

 

「ヨイ出し」の特徴として、着目されたり関心を持たれたりした行動は、その頻度が増えたり、伸びていくと言いました。つまりは行動が「強化」されるということです。

例えば、中年以降の方はご存じでしょうが、昔の公衆トイレは、それはとても汚いものでした。ところがどうでしょう。最近の公衆トイレはどこのトイレでもとてもきれいになりましたよね。

なぜでしょう。清掃作業員を増やしたのでしょうか。いえいえ、そんな余裕はないはずです。正解は、こんな張り紙にありました。

 

「きれいに使っていただいて、ありがとうございます」

そりゃ中には、落書きをしたり、いたずらをする輩もいるでしょう。しかしトイレを利用する大多数は、あなたも含めて、汚さないようにきれいに使っているのです。なのにこれまでは、それは当たり前のこととして、誰にも関心を寄せられませんでした。しかしJR九州の発案で、上記の張り紙が普及してから、トイレを汚す人が激減したという話です。

そつまり「トイレを汚さない」と言うごく当たり前の行為が、日の目を見たというか、関心を寄せられたわけですね。すると先ほどの電話の例のように、汚したりすると、張り紙の主に申し訳ないという気持ちが、湧いてきたのかもしれませんね。

 

 

そういえば昔はトイレの張り紙と言えば、「汚すな!」とか「落書きするな!」が主流でした。ところがこんな張り紙をすればするほど、落書きが増えてしまったのです。理由はわかりますね。「ダメ出し」をするとダメな部分に意識が行くことになり、却って落書きがしたくなってしまうのです。それとも「こんなにきれいに使っているのに、落書きするなとは何事だ!」とお怒りになって、腹いせに落書きしたのかもしれません。

昔小学校には必ず「廊下を走るな!」と言う張り紙がありました。しかしほとんど効果はありませんでした。それは「走る」と言う言葉だけが印象に残り、そのあとの否定語が無視されてしまうからだと言われています。「〇〇するな!」とか「〇〇すべからず」と言う張り紙が多かった時代を生きた皆さん、そういう張り紙を見るとかえって〇〇がしたくなってきませんでしたか?

 

確かオノヨーコさんが昔、こんなことを言っていた気がします。

「暗いことや悲しいこと、否定的なことを口にすると、本当にそのような気持ちになってしまう。だから極力口にしないようにしている」と。

確かにこういうことってあるかもしれません。

「疲れた」と口にしてしまうと、実際はあまり疲れていなくても、本当にぐったり疲れてしまうかもしれません。

「言霊」と言う言葉があるように、どうも私たちは「言葉にとらわれる」傾向が強いようです。これも「ヨイ出し」「ダメ出し」にも重要なからくりなのかもしれません。

人に対してはもちろんのこと、自分自身に対してもどしどし「ヨイ出し」をしていきたいですね。

 

参考・・・「ウツな気持ちを解きほぐす勇気づけ」、「アドラー心理学入門」