さて、退屈な授業も終わったところで、いよいよアドラー心理学の総まとめに入りたいと思います。と言っても難しい理論を展開するのではなく、アドラーさんも求めた究極の目標、「良い人間関係」について、考えて行きたいと思います。
「良い人間関係」・・きわめて漠然としたイメージです。あなたにとって「良い人間関係」とは、どのようなものですか? 具体的に考えてみましょう。
例えば「我慢しない関係」、「お互い認め合える関係」など、いくらでも出て来そうですね。
さらに余裕があれば、「良い人間関係」保つために、あなたが心がけていることは何ですか? 考えてみてください。
いろいろな考え方があるでしょうが、アドラー的に言うと、「お互いに勇気づけられる関係」が理想ではないでしょうか。
アドラーはお互いが良い人間関係を築き、維持していくためには、次の6っつの姿勢が大切だと述べています。
もちろんすべての人と100点満点の関係を築ける人なんていません。しかし特定の相手と良好な関係を築きたいのであれば、その関係をどのように築き上げていくかが問われるのです。
①相互尊敬
これは何度も出てきましたので、説明の必要もないでしょう。人それぞれに違いはあれど、人としての尊厳は同じです。相手の尊厳を大切にして、礼節をもって接する態度が求められます。
②相互信頼
これも何度も出てきましたよね。「いい会社に勤めているから」、「高学歴だから」、「美人だから」などの条件付きではなく、相手をありのままに無条件で信頼することが求められます。
「相手が自分を信頼したから、自分もする」
のではありません。自分から先に、相手より強く尊敬、信頼することが大切です。また、相手の行動の背後にある「善意」を見つけようとすることです。
③協力
同じ目標に対する参加意欲があり、コミュニケーションが取れることです。目標に向けて仲間と合意できたら、ともに問題解決に向けて努力を惜しまないことです。
④共感
相手の考え方、意図などに関心を持つことです。お互いが平等の立場で、相手の立場に立とうとする姿勢が大切です。
相手の眼で見て、相手の耳で聞き、相手の心で感じることが「共感」です。
⑤平等
各人の違いや個性を受け入れつつ、対等の存在として認めることです。各人の最大限の自由を許容しましょう。
⑥寛容
人の価値観は絶対的なものではありません。自分の価値観で他者を測ったり、押し付けたりしないことです。意見が異なるなら、それを批判や非難とみなさず、事実と意見を分けて考え、相手の意見を「そういう見方もあるね」と、受け止めましょう。
「良い人間関係」を築くためには、お互い「勇気づけ合える」関係が望ましいと書きました。それには①勇気づけられる人と付き合う ②自分が勇気づけられる人になる。の両方が必要になってきます。
それでは、どういう人が「勇気づける人」なのか、ざっと書いてみたいと思います。
〇尊敬と信頼で動機づける人
〇楽観的でプラス思考の人
〇目的志向の人
〇大局を見ることが出来る人
〇加点主義の人
〇ヨイ出しが出来る人
〇プロセスを重視する人
〇人格を重視できる人
〇周囲との協力を重視できる人
〇聞き上手
〇失敗を許容できる人
皆さんの周りで、こういう人はいますか? おそらくたいていは、「全く正反対」の人ばかりではないでしょうか。そんな人たちの中にいたら、あなたもいつの間にか「勇気をくじかれて」しまいます。次回から、もう少し「人間関係」について深めていきたいと思います。
参考・・・「勇気の心理学アドラー超入門」