ベイシックミスティクス | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

私たちは誰でも、物事に対して自分流の主観的な意味づけをして、対象を把握しています。したがって同じものを見ていたとしても、受け取っている情報は一人ひとり異なるものになるのです。これを「認知論」と言いましたね。

さらに自分自身や人生、あるいは他者などに対し、その人特有のモノの見方考え方、価値観と言うものがあります。これを「私的論理」と言いました。

「私的論理」とは、その人特有の色眼鏡のようなものです。アドラー心理学ではだれもがゆがんだものの見方をしているととらえています。

 

 

この私的論理の中でも、特にゆがんだ発想になり、自分を生きにくくしているうえに、周囲との間でも摩擦を起こしてしまうような見方考え方を、特に「ベイシックミスティクス(基本的な誤り)」と呼びます。

ベイシックミスティクスはおおむね次の5種類に分類されます。人はみなピンチに陥った時はこれらの思考の誤りに支配されがちになります。また、これらは単独ではなく、当時に複数のベイシックミスティクスとなる場合もあるようです。

それではひとつづつ見て行きましょう。

 

①決めつけ

あくまで可能性に過ぎないものを、勝手に決めつけてしまうこと。たとえばこちらが挨拶をしたのに返してくれないところから、「あの人は私を嫌っている」と決めつけてしまうもの。

新入社員が入ってくると、先輩たちはすぐ「今年の新人は〇〇タイプ」などと勝手に決めつけてしまいがちですバブル世代だとかゆとり世代などと言う大きなくくりで一人一人を先入観のみでとらえてしまうのも、決めつけですよね。

②誇張

物事を拡大して大げさにとらえてしまうことです。例えばちょっと冷たくされただけなのに、周りはいつも私のすべてを否定する。などと考えるものです。

 

 

③見落とし

ある部分だけを切り取って、そのほかの側面を見落とすこと。たとえば一度遅刻しただけで、「あいつはダメなやつだ」と言う烙印を押してしまう。そのほかにいかに会社に貢献していても、一切無視されてしまうような偏ったものの見方です。

④過度の一般化

何か一部でもうまくいかないことがあると、別の事もうまくいかないと思うこと。あるいはたまたま起きたマイナスな出来事を、「いつもだ」ととらえてしまうこと。何事も「一事が万事」になってしまいます。

⑤誤った価値観

「自分は無価値である。」とか『自分は生きる価値が無い』などと自滅的にとらえてしまうこと。例えば上司に失敗を指摘されただけで、自分の全存在を否定されたような気持になってしまう。

 

このほかにも、アドラーは挙げていませんが、〇自分への関連付け ~ 何か良くないことが起きたとき、自分に関係ないことまで自分の責任だと思ってしまう。例えば上司が不機嫌だと、自分が何かしでかしたのではないかと不安になる。

〇白か黒か思考 ~ 物事をすべて「二者択一」で考える。善悪をはっきりさせないと気が済まない完全主義的傾向。

〇べき思考 ~ 何に対しても「~するべきだ」、「~しなければならない」と考える。たとえばどんなにつらくても仕事は続けるべきだ。人に嫌われてはいけない。など。

〇過大評価と過小評価 ~ 自分の欠点は過大に考え、自分の長所は過小評価する。他人の成功を過大に考え、他人の失敗を過小評価する。こういう人は善意で褒めても頑なに否定する。

 

 

では、このような思考に陥った時は、どうすればいいのでしょう。それは自分や周囲にとって健全で建設的な、かつ現実的な考え方を持つことです。これをコモンセンス(共通感覚)と言います。

では、コモンセンスを養うには、どうすればよいのでしょう。

①「本当にそうなの?」、「誰が決めたの?」と疑う。

②「その証拠はどこにあるの?」と、証拠を探す。

③「あっ またやってるな!」と、自覚する。

④「そう考えることで、物事がうまく進むの?」と、自問自答する。

⑤「そうとらえることで、どんなメリットがあるの?」と、自問自答する。

⑥「もしかして・・・の可能性はないのだろうか」と考える。

⑦「こうしたらどうだろう?」と、建設的に考える。

 

これらは頭で考えるよりも、実際に作業を行いながらやってみると、より効果的です。体験によって新しい考え方を「上書き」していくのです。

すると・・

「おや! 今までとは違う!」

「なーるほど、こんな風に考えられるな! こんな風にもできるじゃないか!」

「今までなんてバカみたいなことをしていたんだろう!」

さらに自分の意味付けの癖を知っておくのも良い方法です。共通感覚が身についてくると、自分の思考の癖やゆがみに気づきやすくなります。そうすれば少しずつ、生きることが楽になってくるかもしれませんね。

 

さて、お待たせしました。昨日のクイズの答えです。

正解は、「外科医は息子の母親です。」

さあ、どうでしょう。「外科部長・・百戦錬磨のベテラン医師」などと言う言葉からてっきり「男性」であると思い込んでいた人いませんか? それこそ本日説明した「決めつけ」であり、典型的な「ベイシック ミスティクス」ですよ。

 

参考・・・「勇気の心理学 アドラー超入門」、「私らしさよこんにちは」