"認知"はいかが?② | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

認知行動療法には、自分を大切に出来ない考え方が、いくつも掲げられています。その中でも神経質者に多いのが、『すべき思考』と呼ばれるものです。

たとえば他人から、『こうした方が良い』などとアドバイスされると、神経質者の頭の中で、『こうするべきだ』と翻訳されてしまいます。

ずいぶん意味が変わりますよね。

 

 

神経質は『~でなければならない』、『~であらねばならない』と言う考え方が好きです。『~すべき』は英語でmustですから、いつも"~ねばならない"の考えに凝り固まっている人を、musturbationなどと揶揄したりします。

 

対人恐怖の人が、人前で堂々としゃべらなければならない。

等と考えるのも、『~すべき』思考です。火の上に手をかざして、尚熱くないと思わなければならないとする考え方と同じです。我慢の結果、やけどをするだけです。

 

さて、今は森田の時間ではありませんから、認知行動療法的に考えていきます。

そうです。感じ方の元となる考え方の癖 = 認知を修正する必要がありますよね。

たとえば、『こうでなければならない』と言うのを、『こうであるに越したことはない』と修正します。

『誰にでも好かれなければならない』を、『好かれるに越したことは無いが、嫌われることも有る』と言う風に修正します。

 

『修正』と簡単に言いましたが、今まで何十年と染み付いた考え方は、そう簡単に修正できません。

そこで治療者と患者の間で、何度もセッションが行なわれるのです。それだけ認知を修正するのは大変なんですね。

ここでは『自動思考記録表』について説明します。下記の表がパニック障害における自動思考記録表です。いろいろな形式があります。

 

まずは『状況』を書き込みます。

ここでは、『上司に怒鳴られた』とします。

 

次にそのときの気分、ないし落ち込み度を記入します。

たとえば怒り80%、悔しさ90%、不安60%。落ち込み度100%だったりします。

 

そのとき感じた自動思考の内容を記入します。

『また叱られた。俺って本当にダメ人間だ』とか、

『上司は自分を嫌いに違いない』と言うようなものです。

 

 

次に、上記の思考に至った根拠を書き込みます。

たとえば、『他人はあそこまで厳しく叱らなかった』とか、『前回の失敗の時も叱られた』とか、『叱られるのはいつも自分だけ』。

 

今度は、上記の根拠を異なる角度から見つめていきます。具体的には根拠に対する反対の証拠を挙げていくものです。ここが最も難しいかもしれませんね。

たとえば、『売り上げが上がらない時も有る』、

『自分に期待しているから、叱ったのかもしれない』、

『優しく諭されたこともあった』

と言うように、自動思考と矛盾している事実を書き並べていくものです。

 

そして『適応思考』と言って、反証を含めた事実を良くかんがみて、改めて、冒頭の状況をどう解釈するかを、書き込んでいきます。

たとえば、『失敗するときも有るし、うまく行ったときも有る。波が有るのが人間なのだから、気楽に考えて行こう』と言う風に。

 

最後に再び『現在の気分』を書き込みます。

怒り10%、悔しさ30%、不安30%、希望30%となりました。

めでたしめでたし。

勿論セッションではこれ何度も繰り返しますが、自分の考え方の癖を知るだけでもずいぶん勉強になりますよね。