世の中には、さまざまな『花』の種類がある。
実は私たちにも二つの『花』の種類があることをご存知だろうか。
その人が輝いているさま、あるいは人を感動させる魅力を湛えた様子を『花』に例える。
その『花』は二つある。
ひとつが『誠の花』と呼ばれるもの。
もうひとつが『時分の花』と呼ばれるものだ。
これは『能』の第一人者である『世阿弥』の言葉であり、人生観である。
若いアイドル歌手は、かわいいというだけでちやほやされる。
たまたま買った宝くじが当たり、急に人脈と名声を得た人もいる。
ともに、人生の『花』であろう。
だがこれらは『時分の花』だ。若さゆえに美しくとも、運だけで手に入れた栄誉も、時が過ぎればまたたく間に散ってしまう。
これに対して、弛むことなくコツコツと己を磨いてきた人は、時とともに美しさや人間的魅力を増してくる。これが『誠の花』である。
例え幸運に恵まれなくても、例え外見や業績に自信が無くても、確固たる目標を持ち、地道に努力を継続してきた人が咲かせる花は、ひときわ美しいと思う。
週刊誌などをめくると、あちらこちらに『人生の花』を垣間見ることが出来る。
寒い今の季節、室内でこれらの『花々』が上記のどちらに属するのか、考えてみるのも一興ではないか?