いつだったか

片付けていたら

私が小学校一年生の頃の

夏休みの絵日記が出てきた

 

表紙が塗り絵になっていて

案外綺麗に塗ってあった

 

私もやるじゃん

と思いながらめくってみると

殴り書きのような芸術作品の数々

 

そこではたと気づき

もう一度表紙に戻る

そこそこ細かいラインから

はみ出ることなく

様々な色で丁寧に塗られたそれを見て確信

 

「塗ったやろ」

と母に持って行くと

「だって表紙ぐらい綺麗な方がええやん」

と、悪びれもせず認めた

 

ここまで綺麗だと

先生どころかクラスメイトにも

きっとバレバレだっただろうし

手伝ってもらうことが当たり前で育った

「天真爛漫」がコンセプトの私は

手伝ってもらったのだと

自慢していただろうことが

容易く想像できてしまった

 

子どもの提出物を手伝うのは親の勤め

とばかりに

何もかもをせっせと手伝う母のおかげで

4年生の時

新聞の一面最上部に当時連載されていた

「万博日記」に

母の修正入りの私の文章が掲載されたが

罪悪感は全くなかった

 

一番喜んだ母は私に

母が手を入れたことは内緒にしろという

天真爛漫なはずの私は

とても複雑な気持ちになったものの

賞品としていただいた

当時最先端のシャープペンシルに

胸を熱くしながら

早速、分解と組み立てを繰り返した

 

その数年後

今度は妹が

母の手の入った絵で

市内のコンクールで入賞したが

「自分が描いた絵じゃない」

と、数ヶ月間

ずっとご機嫌が悪かった