まだ山菜には早い3月下旬、一大リゾート地の高原に向かった。ここは4月からの私の勤務自治体内だが、母はこの地が昔からいたくお気に入りで、数えきれないぐらい来たことがある。
来た事はあるが、なぜか泊まった事はない。
というわけで、今回、いい機会なので計画してみた。
例によって遠回りコースで向かうが、このコースはしっかり途中に道の駅もあるし、風景を堪能するには一番お勧めなのだ。
ホテルの敷地内に入ると、なんだか学生や家族連れが多い。平日ではあるが、春休みだということを失念していた。ちょっと賑やかかもしれない。
チェックイン時、無料会員になると色々特典があるというので登録してもらったのだが、ロビーのドリンクが「セルフサービスでご自由に」と聞き、早速、母と2人でコーヒーをいただく。マシンで淹れたものなのだが、とても美味しかった。
ホテルの部屋からの景色は最高で、広い高原の向こうには山々が広がり、ほぼ建物の影もない。
多少、子どもたちがはしゃぐ声が聞こえはするが、気になるほどではなくホッとする。
部屋の広さはリゾートホテルほどではないが、窮屈な感じはしない。露天風呂はないが、大浴場もあるらしい。
夕食は例によってチョイスするタイプ。そして母の大好きな蟹も、私の大好きなジンギスカンもある。
張り切って向かうも、いつもより客が多い。しかも今回は子どもの割合が高く、何人かの子どもがカートを勢いよく振り回している。
こういう時はそこそこの争奪戦になってしまうため、そうスムーズに好きなものをチョイスできないのだ。
何度か往復する事で、蟹を多めに、サラダや味噌汁等、母の好きそうなものを揃え、私も席に着こうとしたその時、
「これがもう少し食べたい」と母。
いつそれが無くなってしまうか、行列ができるかはわからないので、即、行動だ。
「ここの蟹は食べにくい」と母。
「もう二度と来ない」は発令していないが、蟹には不満な様子だ。
チョイスしたものの口に合わなかったもの、今はそれを食べる気分ではないもの等は私の胃の中で処分する。
そうやって結構お腹が膨らんで退散となる。
部屋に戻ってすぐ、食後のコーヒーを飲まなかった母からの鶴のひと声が飛ぶ。
「ロビーのコーヒーが飲みたいわ」
調べてみると、ロビーのコーヒーの営業時間終了まではもう少しだ。慌てて自分のぶんも一緒にもらって来て部屋で堪能する。うまい!
朝、日の出の気配で目覚める。
カーテンを忘れていたのか?
いや、山にしか覗かれる事はないからいいけど。と思いながら窓に目をやって圧倒された。
綺麗とか、美しいとか、そんな俗な言葉では表現しきれない雄大な光景が、しかもどんどん変化していくのだ。
「うわあ!すごいっ!」と母も大興奮。
私は移り変わってゆく風景を残しておきたくて、いちいち記録していくように夢中でスマホのシャッターを押した。
朝食もチョイススタイルで、開始時刻前から長蛇の列だ。
うんざりしながらも覚悟を決め、窓際の席に母を誘導。
その間、母は見知らぬ老人に声をかけたりしているが、早く争奪戦に加わらないといけない私は気が気ではない。
朝は少しメニューの種類が少ないので、そのぶん行列は長くなってしまうのだ。
ホテル自慢のメニューのパンケーキは、アジア系っぽい方が準備していた。
シェフ特製のクリームを載せて、バーナーで炙る一手間があるからだ。
トッピングも選べるので、ブルーベリージャムと蜂蜜の2皿を堪能した。
母は定番の味噌汁とサラダからのスタートで、和食メインだ。
食後のコーヒーはやはり、「ロビーの」をご所望。
私も好きな味なので、もらって来て部屋で景色と共に堪能した。
離れ難いのか、近いうちにまた来たいと言う母。しかしながら、もう有給は使えないから平日は無理だ。
HPから一番近い休日の空き状況を調べ、GWの後に予約した。
帰宅後、何度も「あのホテルのコーヒーが飲みたい」
と言うようになった母。
かなりのリピーターに定着しそうな勢いだ。