幼い命を奪った本当の原因 | 稜山泊

幼い命を奪った本当の原因

マスコミは、主犯を見付けてニュースにしました。そして、国民は安心したのですが。このままでは、また事故は起きてしまうかもしれない。本当の原因をちゃんと理解しなければ、事故は防げません。

 

 

幼い命が失われました。(写真は、佐賀新聞の記事(5/8)からの引用です。)
 

 

 2019年5月8日午前10時16分頃、滋賀県大津市の大萱6丁目交差点で発生した事故でした。琵琶湖は、真ん中のくびれ部分に渡る琵琶湖大橋で南湖と北湖に分かれます。さらに、南の端は、近江大橋から細くなって瀬田川に水を送っています。この近江大橋の東湖岸から南に行くと、大萱6丁目で内陸部と交わるT字路があります。このT字路を過ぎたところに、レイモンド淡海保育園があります。
 事故は、湖岸道路を南行する軽自動車Aと北行しながらこのT字路で右折する軽自動車Bが衝突して発生しました。どちらも対向車なので、信号は青で起きた事故です。軽自動車Aは、軽自動車Bにぶつかった弾みで左前の歩道に突っ込みました。そこで信号待ちしていた園児たちに突っ込んで、悲惨な事故に繋がったのです。
 

 軽自動車Bは、右折なので非優先側。当然ながら、軽自動車Bが事故の直接原因となった事は、議論の余地はありません。世論は、事故の直接原因を鬼の首を取った様に騒いでいます。しかし、本当の原因は、そういう簡単なものではありません。
 最低でも議論して欲しいのは、軽自動車Aの徐行義務です。道路交通法で交差点を通過するときは、全ての車に徐行義務を課しています。少なくても、軽自動車Aが法で定めた徐行をしていたら、事故は起き得ませんでした

 事故が起きて、問題とされたのは、園児を引率していた園の職員の責任。それから、事故を起こした2台の軽自動車の運転手の責任。ここに何故、軽自動車の運転手に運転免許を与えた行政の責任を問題視しないのかが気に掛かります。

 

 私は、日頃から家族に、歩道や交差点での心得を口にしています。車か突っ込んできたときの事を常に考えないといけないと。今回のケースだと、園児が信号機が付いた電柱の影に居たら、被害には遭い難かったと思います。しかし、残念なことに、車が突っ込んでくる場所で待機していたのです。

 今回の被害を、極一般論でおよその責任関係を示すとこうなります。

・軽自動車Bの運転手は、明らかな安全運転義務の違反で80%の責任。

・軽自動車Aの運転手は、一般的な安全運転義務の違反で10%の責任。

・園の運営者は、安全配慮義務の不十分さで2%の責任。

・残りの8%は、道路の安全性や運転手の安全運転励行に責任を負う国の責任。

 

 直後に軽自動車Aの運転手が釈放されたと報道されました。この報道の裏に、軽自動車Aの運転手には責任は無いという口調です。後の報道で園の責任は無いと報道されました。泣きながら詫びていた園の責任者に同情を送る情報は沢山ありました。その点に反対はしません。しかし、だからといって責任を免れる訳ではありません。

 忘れないで欲しい。慎重な運転が必ずしも安全ではないということを。よく、どんくさい運転手がいます。交差点で合流する時に、左右を何度も見ているのですが、チャンスが有っても発進しません。そういう車は、安全を確認した後、安全で無くなってから発進する運転をします。慎重なだけでは、安全を守ることはできないのです。免許を交付する公安委員会は、こういう運転手にも免許を与えていることを意識するべきだと思います。

 

 そもそも、そういう運転手に危険な免許証を与えている所が問題だと思います。そして、関わる全ての人が改善の余地が無いのか検証すべきです。滋賀県警は何をすべきなのか、できるのか、などなど。そういった部分から議論しないとこういう悲惨な事故は無くなりません。そして、何時もの様に、マスコミはそういう本質的な事には耳を貸しません。一番悪い奴を見付けて、国民を安心させるだけ。それでは事故は無くなりません。その挙げ句に、こういう悲惨な事故に繋がってしまうのです。悲しいことだと思います。

 

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 この記事は、元々、Google主催のBloggerというブログに掲載したものです。筆者のBloggerは、閉鎖予定なので、主な記事をAmebaに移植しています。そういうことで掲載した記事です。掲載日は、Bloggerに掲載したその日で投稿しています。